32歳で発達障害と診断されて。服薬で激減したミス、睡眠障害――精神科を受診して変わった私のQOL

ライター:宇樹義子

30歳を過ぎて発達障害の診断を受け、向精神薬を飲み始めた私。最初は薬の劇的な効き目に驚き戸惑いましたが、今は薬はすっかり生活に欠かせないものになっています。今回はこうした、私の服薬にまつわる経験についてお伝えします。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

劇的に効いた、発達障害向けの薬

私が発達障害の診断を受けたのは32歳のとき。これよりも2年前に発達障害を自覚し、ほかの精神科医(発達障害は専門外)にも発達障害の可能性を指摘されていたため、診断には驚かなかった、つもりでしたが…

エビリファイという、脳の覚醒度を調整してくれる薬(もともとは統合失調症用の抗精神病薬です)を処方され、半信半疑で飲んでみた初日、なんと頑固な昼夜逆転が劇的に改善されたのです。

昼夜逆転には10年来悩まされていました。朝は昼下がりになるまでボーッとして目が冴えず、夜は空が明るくなるまで脳みそが高速回転している感じで眠れない。生活に気をつけてみたり精神安定剤を処方してもらったりいろいろやったのですが、どうにもならずに本当に困っていたのでした。

なのに、エビリファイの最も用量の小さな錠剤を1錠飲んだ初日、私は夜9時に眠くなってパタッと眠り、気持ちよく熟睡して、翌朝6時にパッチリ目が覚めたのです。

※エビリファイの副作用などを調整した、レキサルティという新薬が発売されました。現在はエビリファイから変更し、レキサルティを服用しています。

生活が変わっていく

服薬するようになって変わったことはまだあります。ケアレスミスが減り、生活の段取りもよくなって、まるで1日の時間がそれまでの2倍に、あるいは自分が発揮できる能力が2倍になったように感じたのです。

日中は寝てばかり、夜はネットサーフィンしてばかりだった私は、夜に寝て朝に起き、3食決まった時間に食べるように。最低限の家事もこなせるようになっていきました。

私は診断に対してどこか半信半疑でしたが、精神安定剤の服用ではどうにもならなかった症状が、発達障害があることを踏まえた薬の処方で、これほど劇的に軽減するとなると、私はやっぱり発達障害があるのだと認めざるをえませんでした。

この時期は希望と絶望が入り混じった不思議な時期でした。自分の感じてきた不全感が自分の「努力不足」のせいだけではなかったという安堵、薬の力を借りればここまでパフォーマンスが出せるのだという自信が感じられるいっぽうで、そう感じるほどに「やっぱり私には間違いなく障害があるんだ」「30年間ムダな努力と傷つきを背負ってきたのでは」という無力感に襲われるのです。

症状に応じた薬の追加

その後私には、ときどき過覚醒状態に陥り、焦りから無理を重ねてドドッと体調を崩す、という癖があることが分かりました。それで主治医が、デパケン(バルプロ酸ナトリウム)を飲むように指示しました。

この薬は、脳の異常興奮を抑えるもので、もともとはてんかんや双極性障害の薬。片頭痛の予防薬としての効果もあるので、片頭痛が持病の私には合っていました。

最近になって自ら主治医に追加を希望してごく少量飲むようになった薬がセレネース(ハロペリドール)です。これは古くからある抗精神病薬。「不安・抑うつ発作」という、トラウマが関わる、フラッシュバックに近い症状によく効くという論文を見つけて希望しました。

セレネースを飲み始めた頃はもともと自分自身の調子がかなり安定してきていたので、薬の影響がどれだけあるかは分からないのですが、少しトラウマを刺激されて動揺することがあっても、動揺が以前より小さく、落ち着くまでの時間も短くなったように感じています。
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