食べずに痩せれば「罪深い私が薄まる?」、リスカしたら「生きている実感が持てる?」居場所を見つけるまで続いた、発達障害の私の自傷歴

ライター:宇樹義子
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017025844

発達障害のある私。生きづらさから逃れようと自傷に走っていた時期がありました。今回は私の自傷歴についてお伝えします。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

高校生の頃の自傷傾向

私に自傷の傾向が出たのは高校生のころだったと記憶しています。この時期、私にはいま思えば離人症と思われる症状がありました。現実感がなくなる、自分だけ少し床から浮いて暮らしているように感じられる、幽体離脱したように感じる、など。

当時は自分の発達障害にも、抱えている複雑なトラウマにも気づいていませんでした。精神科など専門家にかかることも思いつかず、「頭がおかしいのだ」と自分を責めて、恥じる日々。

そんな中、恥や罪の感覚、また、失われた現実感を強い刺激で取り戻したいといった理由から、さまざまな自傷的行動に走るようになりました。

軽い摂食障害と日焼けへの執着

当時の私は、「自分は罪深く恥ずかしい存在だから、その存在感をできるだけ薄めたい。自分の汚(けが)れをきれいにしたい」という感覚を抱えていました。そこで、必要のないダイエットをしたり、休み時間に学校の庭に出て肌を焼いたりするように。

どんどん痩せて身体が薄くなっていくほど、自分の存在の罪が軽くなるような気がしました。食べ物のかわりに水を飲めば文字通り「存在が薄まる」、日光に当たれば「日光消毒ができる」と感じたり。この頃の写真を見ると、私はカリカリに痩せて真っ黒に日焼けしています。

リストカットをしたことも

つきまとって離れない離人感に難儀していた私は、何か強い刺激を受ければ「悪い夢から目が覚める」ように現実感を取り戻せるのではと考えました。そこで友達に頼んでビンタしてもらったり、尖ったもので皮膚をつついてみたりするように。ささくれを剥いたり、ニキビを潰しまくったりもしました。

リストカットをすれば、痛みと赤い血の刺激で「目が覚める」のではと考えて、手首の皮膚一枚切るようなごく軽いリストカットをしてみたこともありますが、あまり効果を感じられずに数回で終わりました。

私がなぜリストカットが癖にならなかったかと言うと、精神疾患があり、ささいなことで激しく取り乱してしまう母親のことが頭にあったのかもしれないと今は思います。私がリストカットすれば母親が取り乱すのは容易に想像がつきました。そういう母親に対処するストレスのほうが大きく感じられたのかもしれません。
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安心できる居場所ができたら自然と脱した

高校を卒業したあとも、吸うとしんどくなるのに無理に煙草を吸う、不健全な性的関係に身を投じるなど、いろいろと自傷的とも言える行動を続けていた私。いつの間にかそういうことをしなくなったなあ、と思い返していて、20代後半でつきあいはじめた恋人のことを思い出しました。彼は私にとって生まれて初めて、私のことを大事にしてくれる人だったのです。

彼の愛情にひたひたに浸かるようにして過ごしていたら、いつの間にか煙草が欲しくなくなりました。わざわざ危険な異性関係に飛び込もうという気もなくなったのです。

何かに動揺したら電話で彼と話せば落ち着くことができる。ときどき会って抱きしめてもらえばフーッと深呼吸ができて、それまで自分がずっと浅い呼吸をしていたことに気づくのでした。

居場所があれば…

自分の中を探ってみて、今は自傷傾向はほとんどないと感じます。優しい夫や友人知人といった理解者に周囲を囲まれ、自分にもこの世界には居場所があると感じられるのです。

それでも、私がこの世においては発達障害者としてマイノリティであるのは事実。誤解され攻撃され排除されやすい側であることも事実です。実際にそうされてきたトラウマ記憶もたくさんあります。そういった記憶のフラッシュバックとしてだと思うのですが、ときどき、自分が集団から歩き去り、孤独に夜空を見上げながら、若いころ吸っていた細巻きの煙草をふかす夢を見たりします。そんなときはポロポロと涙をこぼしながら目を覚まします。

すべての人に、ありのままの本人を認め、受け入れてくれる人がひとりでも、場がひとつでもあれば… と祈る日々です。

傷つきながら生きてきた人が、幸運にも何かの時点で居場所を見つけられるとしたら素晴らしい。それでもその人には、ふとしたときに蘇ってくる孤独で痛ましい記憶との戦いが日々続きますが、その人が、一日ずつを踏みしめるようにどうにか生きていけたら嬉しいことだなと、私は思うのです。

文/宇樹義子
(監修・鈴木先生より)

話を聞いてくれる人が一人でもいればいいですね。学校の先生でも、職場の上司や同僚や医者や心理カウンセラーでもいいのです。周りの理解がないと子どもたちは現実逃避の一つの方法としてゲームやスマホ依存に走ることもあります。

リストカット(最近はアームカットが多いですが)は特に女性に多く見られます。

クリニックでは、心理カウンセリングだけでなく、ADHDのあるお子さんには衝動性を回避する意味でADHD治療を、また自傷をやめさせる意味で抗精神病薬の併用も行っています。
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