「対話」が子どもにもたらす3つの影響とは?映画「こどもがいぎ」が、大人たちに問いかけること――監督インタビューも

ライター:発達ナビニュース
「対話」が子どもにもたらす3つの影響とは?映画「こどもがいぎ」が、大人たちに問いかけること――監督インタビューものタイトル画像

映画『こどもかいぎ』は、子どもたちが「かいぎ」をする保育園を1年間に渡って撮影したドキュメンタリー作品です。「こどもかいぎ」では子どもたちが輪になって自由に話し合います。何を話してもいいけれど、相手の言うことはきちんと聞くのがルール。子どもたちは何を考え、自分の可能性や、人と人との関係をどのように育んでいくのでしょうか。映画『こどもかいぎ』、そこには社会の中で生きていくために大切なヒントがあふれています。2022年7月22日(金)から全国で公開がスタートしました。

「こどもかいぎ」って?――子どもたちによる傾聴、そして話し合う大切な時間

映画『こどもかいぎ』の一場面。「かいぎ」では子どもたちが輪になって自由に話し合います。何を話してもいいけれど、相手の言うことはきちんと聞くのがルール。
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映画『こどもかいぎ』は、子どもたちが「かいぎ」をする保育園を1年間に渡って撮影したドキュメンタリー作品です。

「こどもかいぎ」では子どもたちが輪になって自由に話し合います。何を話してもいいけれど、相手の言うことはきちんと聞くのがルール。テーマはそのときによってさまざまです。ふしぎに思うこと、最近知ったこと、保育園でいやなこと…。さて、どんな意見が飛び出すのでしょうか。

「こどもかいぎ」では結論を出すわけではありません。それぞれが自分の思いを伝え合う中で、子どもたちは成長していきます。子どもたちは、 自分にも相手にも全力でまっすぐ。気持ちを伝えるというのは単に「言葉で」だけではありません。

子どもたちは何を考え、自分の可能性や、人と人との関係をどのように育んでいくのでしょうか。映画『こどもかいぎ』、そこには社会の中で生きていくために大切なヒントがあふれていました。

コロナ禍だからこそ、対話をテーマにしたこの映画を届けたい

映画『こどもかいぎ』の豪田トモ監督がカメラを持っている様子。
映画『こどもかいぎ』の企画・監督・撮影をした豪田トモさん
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今回、監督の豪田トモさんにお話をうかがいました。

発達ナビ編集部(以下、ーー):映画『こどもかいぎ』の完成に至るまでの背景を教えて下さい。
豪田トモ監督(以下、監督):2017年から映画『こどもかいぎ』のプロジェクトがスタートしました。撮影場所探しに1年。ようやくご縁があって舞台となる保育園で2018年の春から1年に渡り撮影させていただきました。150時間の撮影を映画として1時間半にまとめるまでに2年かかりました。
しかし、 完成したタイミングで新型コロナウィルスの流行がはじまり、その当初、映画を公開できるような状況でなくなってしまいました。仕方なく、この映画はお蔵入りにするしかないと思ったんです。

ーーそのような中、公開に踏み切ったきっかけはなんでしょうか?
監督:わが家には娘がいるのですが、当時小5で、分散登校をしていました。ある日、タブレット端末で学校の様子を見せてもらったんですが、そこには給食の時間に黙食している子どもたちの姿があり、ショックを受けました。
そのとき一番に思ったのは、「この子たちは、きっと言いたいことがあるはず。大人は子どもの声を聞けているんだろうか」ということでした。
一度は公開をあきらめた『こどもかいぎ』だったのですが、このことがきっかけになり、コロナ禍だからこそ、対話をテーマにしたこの映画を公開しようと決意したんです。

「対話」とは、思考と思想を交換するもの

映画『こどもかいぎ』の一場面、子ども2人がピーステーブルと呼ばれる話し合いをするために設けられたスペースで話し合いをする様子。
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ーーこの映画の大きなテーマである「対話」というキーワードですが、豪田監督が思う「対話」とはどのようなものでしょうか。
監督:「対話」についてお話するときに、「『会話』と『対話』はどうちがうんですか?」と聞かれることが多くあります。
「会話」と「対話」は、それぞれ辞書で調べると同じようなことが書いてあるのですが、僕自身はそこには大きな違いがあると思っています。
「会話」というのは、感情と情報を交換するものだと思っています。今日会ったこと、楽しかったことを聞いて、それに答えたり、ときに怒っていること、悲しかったことなど感情をぶつけることもあると思います。
一方で、「対話」というのは、思考と思想を交換するものだと思っています。会話よりも、もっと深いところにある、考えていることに根ざしている哲学を相手に伝えるものではないかと感じています。今回、子どもたちが対話する姿をみて、子どもは周りの子たちと考え方や、その裏にある気持ちを交換していると感じました。
違う考え方に出合ったとき、大人はときに偏見につながることもあると思うのですが、子どもにとって対話で出合った「自分と違う意見」は、発見になるんだと感じました。

ーーお話するのが得意な子ども、苦手な子ども、どちらもいると思います。それぞれがその子らしく対話の場に参加するために、大人ができることはどんなことでしょうか。
監督:対話って言葉で話すことだけではないと思うんです。「お話しないといけないんですか?」と聞かれることもよくあるのですが、無理して話す必要はありません。対話では、その場にいて話を聞くということがとても重要です。それだけでも対話を重ねることで、対話の場に自分の居場所を感じることができる、子どもたちの姿を見てそう感じました。
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