「対話」がもたらす3つの影響

映画『こどもかいぎ』の一場面、「こどもかいぎ」の中で自分の意見を話す子どもと、お話を聞く子どもの様子。
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ーー「対話」することは、子どもたちへどのような影響があると感じていますか?
監督:これはたくさんありますね! その中でも大きく3つの影響があると思っています。

1つ目は、その子なりの力がのびていくこと。聴く力、表現する力、思考する力、想像する力、語彙力、タイミングを見極める力など。 対話は相手がいることなので、相手と関係性の中で場を良くしていく力や仲間意識、共感性なども育まれると感じます。また「何でも話していい居場所」があることで、自尊心や自己肯定感が育まれていると感じました。

2つ目は、子どもたちを取り巻くさまざまな社会問題の解決につながるのではないかということです。対話を重ねることで話してみないと分からないこと、話してみたら分かり合えることがあると気づくことができると思います。それは不登校、ひきこもり、いじめ、貧困、ヤングケアラー、精神疾患があることからの困りごとなどの問題解決のヒントにもなると思います。
対話ができるようになることで、「困っていることがある」とSOSを出したり、自分の感情を言葉にする力が育まれ、それは自分の抱えている問題を解決する力になっていくと感じています。

3つ目は、将来をつくる力です。たとえば、年中から高校まで週1回「対話の授業」があったら、それまでに400〜500回は対話ができるんです。自分の思いを話す、相手の話を聞くという経験を重ねることで暴力、暴言、DV、依存症などのコミュニケーション上の社会問題の予防になるのではないかと思っています。

子どもの思いを聞いてほしい

映画『こどもかいぎ』の一場面、「こどもかいぎ」中にファシリテーターである保育園の先生のほうを向いて手を挙げて自分の意見を話そうとする子どもの様子。
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ーー最後に発達ナビの読者である、障害や特性があるお子さんを育てる保護者の方へのメッセージをお願いいたします。

対話は保育園や幼稚園、学校だけでなく、家庭でもできます。子どもの話を聞く、思っていることを知るというのは、愛情表現です。その子の心の中にある声を、時には待って、すべてを受け止めていく。

お子さんが小さいころは身体的なスキンシップが多いかもしれませんが、思春期以降そのようなスキンシップが減っていくことが多いと思います。スキンシップが減り、精神的なスキンシップもとらなくなるとだんだんと対話できなくなり、会話もなくなっていく…そうなってくると子どもに親の愛情が伝わらないということが多くあることを感じました。
「対話」さえできていれば、大丈夫ではないかと僕は思っています。「対話」は自己肯定感を育み、子どもたちの可能性を広げます。ぜひ子どもの思いを聞いてほしいなと思っています。

ーーありがとうございました!
たとえ一見対話は難しいと思えるような子どもや場面であっても、きっとその子の中に「思い」があるはず。それを聞き、受け止めようとする姿勢の大切さを教えてくれる映画でもあると感じました。子どもとの関わり方に迷ったり悩んだりする大人に、きっとたくさんのヒントをもたらしてくれる映画だろうと思います。

映画『こどもかいぎ』上演情報

映画『こどもかいぎ』のポスターには、「対話の本質って何ですか?その意味を子どもたちが教えてくれる」というメッセージが。
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『こどもかいぎ』
2022年7月22日(金)よりロードショー。東京都・シネスイッチ銀座、シネリーブル池袋、イオンシネマ多摩センターほか、全国順次公開予定です
映画『こどもかいぎ』劇場情報
https://www.umareru.jp/kodomokaigi/schedule/
※クリックすると発達ナビから映画『こどもかいぎ』の公式サイトに遷移します
企画・監督・撮影:豪田トモ 
プロデューサー:牛山朋子
編集:池宮三葉
プロダクションマネージャー:徳田香織、宮澤朋子
後援:内閣府、日本保育協会、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、認定NPO法人フローレンス
推薦:厚生労働省
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