発達障害におけるグレーゾーンとは?特徴や注意すべきポイントなどを紹介します!【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
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発達障害における“グレーゾーン”とは、発達障害の特性のいくつかを持つものの、診断基準は満たさない状態を指す通称です。診断基準を満たす場合と比べ困難は少ないと思われがちですが、グレーゾーンならではの悩みも存在します。本記事ではグレーゾーンの特徴や注意すべきポイントなどについて紹介します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

発達障害におけるグレーゾーンとは

発達障害におけるグレーゾーンとは、明確な定義は存在しませんが、定型発達と発達障害の間の境界領域を指す俗称を指します。

医学的な診断基準を全て満たすわけではないものの発達障害のいくつかの特性を持ち、日常生活を送る上でも困難を抱えている状態であるとき、グレーゾーンと言われることが多いようです。

グレーゾーンはあくまで俗称のため、さまざまに形容されますが、以下のような説明がイメージしやすいのではないでしょうか。
保育や教育の場で不適応行動が見られるものの、診断がつかないあるいは未受診

引用:「DSM‐5 の改訂とグレーゾーンの子ども達の支援」|鍛冶谷静,四條畷学園短期大学紀要(2015)
出典:https://ci.nii.ac.jp/naid/110009912334
定型発達との境界が曖昧で、複数の行動特性を併せ持つ

引用:「特別支援教育に関する教育心理学的な研究動向と展望」|黒住早紀子,日本教育心理学会年報第52集(2013)
出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/arepj/52/0/52_90/_pdf
幼少期にグレーゾーンと言われた場合、年齢を重ね再度診断を受けた場合、特性に関する情報が増えたり困りごとが顕在化するなどして改めて発達障害の診断名がつくこともあれば、そのまま発達障害の診断はつかないというケースもあります。

はっきりと診断の出る発達障害と比べれば症状が軽く、したがって親の困りごとも少ないと思われがちですが、グレーゾーンならではの悩みや問題事が存在するのは確かです。

診断や精神障害者保健福祉手帳や療育手帳がなくても受けることのできる公的支援もあります。相談機関を活用することで困難の解消を目指していくことが大切です。
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発達障害グレーゾーンの症状・特徴

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10272002139
グレーゾーンの症状は「どの発達障害の傾向を持つグレーゾーンなのか」によって異なるため、グレーゾーンに特定の症状というものが存在するわけではありません。

またグレーゾーンには、その人の持つ症状や特性の程度やその現れ方が、体調や環境・場面によって左右されるという特徴があります。例えば、学校にいるときは症状が強く出るが、家では比較的症状が弱くなるといったことが起こりえます。

グレーゾーンの場合、発達上の問題や困りごとが気づかれにくかったり、気づいていながら相談や支援がまったくなされていなかったという事例もあります。そうして適切な対処が行われない期間が続くと、元々の症状や特性がさらに強くなり、発達障害として診断名のつく「診断域」に入ってしまう可能性があります。
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さらに、同じような状況が原因で生じてしまう問題として「二次障害」の発現があります。

発達障害グレーゾーンにある人が注意したい二次障害

二次障害とは?

発達障害の特性があることに気づかなかったり、気づいていても適切なサポートを受けられなかったりすると、周囲に理解されず怒られたり非難を受けたり、失敗体験を積み重ねてしまいます。その結果、本人の自尊心ややる気が失われ、新たな困難を抱えてしまうことがあります。こうして副次的に生まれる問題を「二次障害」といいます。

二次障害の例としては、以下のようなものが挙げられます。
・いじめ
・うつ病などの精神疾患
・不登校・ひきこもり
・家庭内暴力
・ゲーム依存  など


これらの二次障害は、発現に気づかなかったり、気づいても適切な対処をしなかったり、あるいは適切な対応をしないままでいたことで状況が悪化・長期化する傾向にあります。発達障害の診断基準を満たす場合と比べ一次的な症状が軽いことが多いグレーゾーンでは、この二次障害を予防・改善することが一つのポイントとなります。

二次障害を予防する方法

二次障害を防ぐためには、まず子どもの持つ発達上の特性を家族など周囲が認識し理解している必要があります。子どもの行動や困りごとが発達上の問題によるものだと分かっていれば、学校や専門機関などの協力を得ながら適切な対応策を打てるからです。

二次障害は、一度生じてしまったとしても早期に発見・対処することで、症状の悪化あるいは長期化を防ぐ可能性を大幅に高めることができるといわれています。

発達に問題があることが気づかれにくいグレーゾーンは、対応が遅れがちになってしまうことも多いです。
たとえ、その時点で発達障害の診断がなくてもそれぞれの特性に合わせた支援を開始することが、二次障害を予防するポイントです。

適切な支援の例
・リマインダー・タイマーを使う
・スケジュールを使う
・視覚的な手掛かりを活用する 
・感覚過敏などの特性に配慮した環境設定を行う
・注意をする際に「なにがいけないか」を具体的に伝える など


子どもは一人ひとり成長の速さや仕方が違うので、あまり神経質になりすぎるのも問題ですが、子どもの言動に関して気になることが多い場合は以下で紹介する専門機関に相談してみることをおすすめします。

・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所 など

自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にものってくれることもあります。まず身近な相談センターに行って、より専門的な相談や受診の必要があればそこから専門医を紹介してもらいましょう。
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