「なんでうちの子だけ…」発達グレー息子、集団療育でもママの膝の上に!?ーー療育センターの2年間、先生の言葉と懇談会で感じた見えない絆を振り返って

ライター:星河ばよ
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長男が療育センターに通い始めたのは、年少の終わりごろ。きっかけは保育園で受けた面談で発達の遅れを指摘されたことでした。正直私は、まだ長男の発達に遅れがあることを受け入れられていなかったのですが、長男のため、その一心で門を叩きました…。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

発達グレー長男が年少から通い始めた「療育センター」での流れについて

長男が療育センターに通い始めたのは、年少の終わりごろ。きっかけは保育園で受けた面談で発達の遅れを指摘されたことでした。

療育センターの存在は以前からなんとなく知っていましたが、何をするのか、どんな先生たちがいるのか、何も分からなくてとにかく不安でした。けれどもそこに通えば、長男のゆっくりな発達を促してくれるのではないか、というひとすじの希望を感じていました。

【療育センターでの流れ(一例)】
1.心理士による発達検査
2.専門医による発達診断、療育指導、相談
3.理学療法士・言語聴覚士・作業療法士による各種検査
4.医師による今後の療育プログラムの提案
5.子どもに合った療育プログラムの開始
(自治体や施設により異なるかもしれません。ご参考まで)

最初の1年目(年中のころ)は療育センターへ毎月1度通い、担当のソーシャルワーカーや臨床心理士の方のお世話になりながら療育プログラム(※)を受けました。
※長男の場合は、つみき遊び、間違い探し、迷路、すごろく、かるた、トランプの神経衰弱など遊びながらできるトレーニングを行いました。

ちなみに保護者は隣の部屋から、トレーニングの様子をマジックミラー越しに見学ができました。そこでは臨床心理士の方と長男のやりとりもスピーカー越しに聞こえて来ます。いつもちょっとわくわくしながら見学していました。

2年目(年長のころ)になると、これまでの毎月1度の療育プログラムに加えて、隔週での集団療育が始まりました。

長男が通っていた療育センターは平日のみだったため、当時私は会社に頼んで月曜と火曜を週休にしてもらって通いました。私が仕事の都合で連れていけないときは、夫や実母に頼んでやりくりしました。
発達グレーの長男が年少のころ通い始めた、療育センター。保護者は隣の部屋から、トレーニングの様子をマジックミラー越しに見学ができました。(イラスト、星河ばよ)
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集団療育で、母の膝の上に丸くなって座る長男

長男が年長になった4月から始まったのが集団療育でした。集団療育では「小学校入学を見すえた活動を行う」というコンセプトのもと、長男を含め8〜10人くらいの子どもたち(長男と同程度の発達特性がある)が毎月2回集まって、お絵かきや工作、ちょっとした運動などを1時間半程度行いました。

またその合間にはあいさつやちょっとした休憩もあり、毎回子どもたちの中から号令係や配布係を決めます。つきそいの保護者は同じ部屋のうしろのほうで見学しました。

長男は臨床心理士の方との個別トレーニングはなんとかこなしていましたが、この集団療育では毎回気乗りしない様子で、いつも興味なさそうな顔をしていました。
今でも忘れられないのが、ほかの子どもたちが活動に熱心に取り組んでいる中、いすに座って見学していた私のところに長男がたびたびやって来て、膝の上で丸くなるように座っていたことです。
ほかの子どもたちが活動に集団療育での活動に取り組んでいる中、いすに座って見学していた母のところにたびたびやって来た発達グレーの長男。膝の上で丸くなるように座る長男と困る母。(イラスト、星河ばよ)
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今ではもう笑い話ですが、当時の私はとにかく周りの保護者の目が気になってしまい「もう帰りたい…」という気持ちでいっぱいになってしまいました。

そんな私たちに集団療育の先生はいつも優しい声かけで、長男の気持ちを上手に切り替えてくれて…。長男が私の膝の上に座りにくるのはほぼ毎回でしたが、私も数ヶ月経過してようやく慣れました(笑)。
「ママのことが大好きなんだね」と優しく声をかけてくれる療育センターの先生。(イラスト、星河ばよ)
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ちなみに、そのときのことを最近になって長男に聞いたところ、「(みんなの前で自己紹介したり、活動したりするのが)恥ずかしかったんだよね〜」と照れくさそうに言っていて。
なんだか謝りたくなったと同時に、「いやむしろそっちの方が目立ってるような…」と笑ってしまいました。

ほかの保護者の方々とは仲良くなれなかったけれど

隔週の集団療育で毎回顔をあわせる中で、何人かのほかの保護者同士は親しくなっていた様子でした。私は少し「いいなあ」とは思いましたが、相変わらず心が閉じたままで、もともとの性格もあって自分からほかの保護者の方に声をかけることはしませんでした。

集団療育では長男以外の子どもはみんな先生の指示を聞いて活動したり発言したりしているように見えました。
(一体ほかのお子さんはどこに困りを抱えているんだろう…)と疑問に思うばかりで、私は正直わが子のできないところばかりが気になっていました。

あるとき保護者だけの懇談会がありました。隣の部屋では子どもたちが集団療育の真っ最中で、賑やかな声が聞こえています。懇談会のテーマは「今悩んでいることについて」。
保護者が順々に、わが子の悩みを語っていきました。ほかの保護者の方々の悩みは、普段の集団療育で見ている様子から私はまったく気づいていませんでしたが、思わず「分かるー!」と共感せずにはいられないものばかりでした。
同じ療育センターに通う保護者の方との懇談会の場。それぞれの悩みに共感し、同志のように思えました。(イラスト、星河ばよ)
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私は今まで自分ばかりがつらさを抱えているようで、なんとなく孤独だと感じていたけど、この日はほかの保護者の方たちと見えない絆で結ばれたような、あらためて同志になったような、自分は一人じゃないんだという心強い気持ちになりました。
次ページ「療育センターでの2年間を振り返って思うこと」

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