「熱性痙攣(けいれん)」は予防できる?後遺症は?てんかんや急性脳症疑いでの検査、ダイアップや解熱剤など薬の使用方法まで小児科医が解説【図解でわかる】

ライター:マンガで分かる発達障害のキホン
「熱性痙攣(けいれん)」は予防できる?後遺症は?てんかんや急性脳症疑いでの検査、ダイアップや解熱剤など薬の使用方法まで小児科医が解説【図解でわかる】のタイトル画像

発熱時に起こる意識障害を伴う全身の痙攣のことを熱性痙攣(熱性けいれん)と呼びます。痙攣は、自分の意志とは無関係に筋肉が収縮する症状で、熱性痙攣は主に乳幼児期に発症します。熱性痙攣の治療や予防法、てんかんとの違い、検査などについて気になることを専門家に質問しました。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

熱性痙攣(熱性けいれん)とは?

約38℃以上の発熱に伴って起きる痙攣のことを「熱性痙攣(熱性けいれん)」、「ひきつけ」などと呼びます。20〜30人に1人以上は発症するといわれており、生後6ヶ月~5歳の乳幼児期に発症することが多いといわれています。そのうち生後12~18ヶ月が最も発症しやすいとされています。このページでは、熱性痙攣の治療や予防法、服薬は必要なのか、てんかんとの違いや検査についてなど小児科医に解説していただきます。

Q:熱性痙攣の治療や予防法はありますか?後遺症などはありますか?

A:熱性痙攣は一過性のものが多いため特に後遺症などはなく、治療をせずに成長と共に自然に治っていくのを待ちます。しかし、5分以上痙攣が続く場合には、鎮静薬の投与を要する場合があります。

1度に起こる痙攣の時間が長かったりする場合は座薬(ダイアップ)などによる予防投与をすすめられる場合があります。
回答者:藤井明子先生(どんぐり発達クリニック院長/小児科専門医/小児神経専門医/てんかん専門医)
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熱性痙攣の予防策とは?
熱性痙攣は高熱が出ない限り発症することはありません。高熱が伴う風邪やインフルエンザなどの感染症に感染することを予防してください。日々の手洗い・うがいを徹底することが大切です。なお予防接種などを積極的に受けることもおすすめします。

発熱時に解熱剤を使用することも効果的です。しかし解熱剤自体には、熱性痙攣を抑える効能はありません。

ジアゼパム投与(ダイアップ)の予防投与の対象は?
ジアゼパムの予防投与は、熱性痙攣の再発を優位に減少させるとされています。

下記の場合に使用します。
・過去に熱性痙攣を認め、持続が長かった既往がある
または、
下記のうち二つ以上を満たした熱性痙攣が2回以上認めた場合
・全身で痙攣せず、体の一部または左右非対称の痙攣が起きる
・24時間以内もしくは発熱中に痙攣発作を数回にわたって再発する
・熱性痙攣 または てんかんの家族歴
・12ヶ月未満
・発熱後1時間未満の発作
・38度未満での発作
熱性痙攣は一過性のものが多いため特に後遺症などはなく、治療をせずに成長と共に自然に治っていくのを待ちます。しかし、5分以上痙攣が続く場合には、鎮静薬の投与を要する場合があります。

1度に起こる痙攣の時間が長かったりする場合は座薬(ダイアップ)などによる予防投与をすすめられる場合があります。
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Q:熱性痙攣とてんかんの違いを教えてください

A:てんかんとは、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作が起こる慢性的な脳の疾患のことで、熱性痙攣と同様に痙攣を症状とする疾患です。

熱性痙攣が起こるのは主に発熱時に限られますが、てんかんの場合は発熱時以外にも発作が起こります。
回答者:藤井明子先生(どんぐり発達クリニック院長/小児科専門医/小児神経専門医/てんかん専門医)
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熱性痙攣は主に乳幼児期に限って発症するのに対し、てんかんは発症してから長く治療し続ける疾患です。てんかんは、意識を失い全身を痙攣させる大発作、身体の一部がピクッと動く発作、話の途中でぼんやりしてしまう発作などがあり、必ずしも痙攣を伴うものではないことも特徴です。

一般的なてんかん発症率の0.5~1%に対して、熱性痙攣が発症した後のてんかんの発症率は2~7.5%程度といわれています。このため、何らかの関係が存在すると考えられていますが、詳しいことは分かっていません。
参考:熱性けいれんの定義|日本小児神経学会
https://www.childneuro.jp/uploads/files/about/FS2015GL/4fs2015_general.pdf
熱性痙攣は主に乳幼児期に限って発症するのに対し、てんかんは発症してから長く治療し続ける疾患です。てんかんは、意識を失い全身を痙攣させる大発作、身体の一部がピクッと動く発作、話の途中でぼんやりしてしまう発作などがあり、必ずしも痙攣を伴うものではないことも特徴です。
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また、熱性痙攣と似ている病気として髄膜炎や脳症などがあります。熱性痙攣のように発熱と痙攣が伴います。髄膜は、脳や脊椎を覆っている膜です。髄膜が炎症することによって高熱、激しい頭痛、悪寒、嘔吐など風邪に似た症状が発症し、痙攣や意識障害を引き起こす場合も珍しくありません。脳症はウィルスが直接脳に感染し、炎症を起こすことによって発症する疾患です。髄膜炎と同様に高熱や痙攣、意識障害がおこります。
次ページ「Q: 熱性痙攣の検査にはどのようなものがありますか?」

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