自閉症娘の感じてる世界って?オンライン疑似体験で感じた知識とは違う「リアル」。もっと早く受ければよかったと後悔も

ライター:荒木まち子
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最近ではVRゴーグルを使った発達障害疑似体験などもありますが、私が体験したのは自宅で受けられるリモート疑似体験です。単に障害の大変さを知るだけでなく、思わず笑顔になるような工夫が随所にちりばめられていたプログラム。それは“障害を知ることは、明るい未来につながる!”と思えるものでした。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

娘との会話から

娘が中学生のときのことです。

私「バス通り沿いのお菓子屋さん、違うお店になってたね」

娘「どこ?」

私「○○バス停の近くのお店。ほら、△△交差点の…」

娘「…分からない」

私「えっ、しょっちゅうバスで通ってるのに⁉」

バスの中で娘が携帯電話に夢中になっていて外を見ていないせいかな?とも思いましたが、そこは娘が携帯電話を持つ前からよく使っていた道です。

娘は小学生のときにSSTとビジョントレーニングを受けていた時期がありました。私は当時、特別支援教育士の先生から「娘さんの視界はペットボトルの穴から覗いたような感じなんですよ」と言われたことを思い出しました。

娘がバスから見える景色を覚えていないのは、そのせいなのかな?

自閉スペクトラム症のある娘が見える世界、感じる世界ってどんなものなんだろう?

私はずっとそんな疑問を抱いていました。

8年後にチャンス到来

2022年の夏、私は「新宿区手をつなぐ親の会 疑似体験キャラバン隊『Winds』」によるオンライン(リモート)による知的・発達障害の疑似体験に参加をしました。

必要なものはA4の紙2枚とペン一本だけ。

過去に疑似体験で『参加者が軍手をつけた状態で折り紙を折ったり、シールを貼ったりする』という光景を見た記憶があった私は、果たしてリモートではどんな体験ができるのかとワクワクしながらプログラムの開始を待ちました。
準備するものはA4の紙2枚とペンのみ。「軍手で作業をするイメージだったけどこれでどんな体験ができるのかな?」とワクワクする筆者。
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その内容は

プログラムのなかにはいくつかの体験が用意されているのですが、度肝を抜かれたのは冒頭に流れた“自閉スペクトラム症のある子どもが見ている世界を再現した動画”でした。(イギリスの自閉症協会(The National Autistic Society)が作製したものでYouTubeでも公開されています。)

主催者から、視聴して気分が悪くなってしまう場合があるかもしれないとの注意がありましたが、確かに見ていてつらくなる感じがありました。

過去にもテレビなどで『自閉スペクトラム症のある人はこんなふうに聞こえています』『こんなふうに見えています』というような映像を見たことがありましたが、そのときよりもリアルな感じがして、私は何度か動画から目を外してしまいました。

もちろん障害のある人全員が同じように見えたり、感じたりするわけではないと思いますが、こんな状態がずっと続き、逃げることができないのならば、自閉スペクトラム症のある子どもがとても疲れたり、パニックになってしまう気持ちが分かるような気がしました。
次ページ「ほかにもさまざまな疑似体験のプログラムが」

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