3歳半健診で「みんなパンツ」の衝撃!余裕ゼロの自閉症息子とADHD娘のトイトレ事情。入園までにオムツは外れる?大事なのは…

ライター:海乃けだま
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わが家のおっとりマイペースなASDのある息子と、グイグイ積極的なADHDのある娘は、まさに真逆な兄妹です。今回はそんな真逆な兄妹のトイレトレーニング事情についてお話しさせていただきます。

監修者初川久美子のアイコン
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

何をどう伝えよう?言葉の理解面での壁。とりあえず育児書通りにやってみたけれど…

2歳前後になると意識し始める人も多いトイレトレーニング(トイトレ)。わが家でも、ASDのある息子が2歳を過ぎた春、トイトレを始めようと重い腰を上げました。
当時の息子の発語は喃語混じりの単語のみ…トイレについての理解は、絵本などから"トイレ"という名称は知っているという程度でした。ちなみに排尿を伝えてきたことは一度もなし。(今なら"また時期じゃない"と延期一択ですが、第一子で気合いが入ってました。笑)そこでまずぶつかったのが「尿意」の壁でした。感覚という抽象的なことをどう教えたらいいのか…膀胱のあたりを押さえてみたり、自分のトイレ姿を見せてみたり(恥)試行錯誤する日々…。

しかし言葉の理解もゆっくりな息子にはどうにも伝わらず、むしろトイレに興味を持ってもらうために置いた絵本やご褒美シール、トイレの玩具が注意力散漫な息子にとって逆効果となるのでした…。
トイレに興味を持ってもらうために置いた絵本やご褒美シール、トイレの玩具が注意力散漫な自閉症息子にとって逆効果となる。「全部うまくいかへん…」と頭を抱える母
良かれと思ったことがすべて裏目に…
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「焦らずに個々のペースに合わせよう」頭では分かっているはずなのに、娘も目が離せなくて段々と余裕がなくなり…

息子のトイトレに試行錯誤していたころ、娘は1歳を迎えました。後々分かったことですが、娘はADHDと診断されています。息子のトイトレに専念したくても、多動な娘が後ろで何をしているか気が気でならない場面がたくさん出てきました。
ASDのある息子のトイレに付き合っている最中に、テレビを動かそうとしているADHD娘に気づき「あかーん!」と叫ぶ母。
ADHDのある娘の動きが気になって、トイトレに集中できず
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それでも息子はトイレに誘えば一応大人しく座ってくれていたため、タイミングさえ合えばきっと成功すると期待してしまっていたのです。
そしてその期待はいつのまにか、一向に進まないトイトレへの焦りとイライラに変化していきました。当時の私は、午前中は息子の療育の母子通園クラスに通い、クタクタで帰ってきてから子ども2人の食事の用意・食事介助、そして午前中にできなかった家事をこなしながらトイレ誘導…。息子のトイレに集中したいたった2、3分ですらじっとしていられない娘に、次第に気持ちに余裕はなくなっていきました。
一向に進まない自閉症息子のトイレトレーニングに、育児・家事疲れも重なり、次第に余裕がなくなってきた母。
進まないトイトレに、育児・家事疲れも重なり、次第に余裕がなくなって…
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一体誰のためのトイトレなのか…。息子のためであるはずのトイトレは、保護者である私が「おむつを外せない」という後ろめたい気持ちをなくしたいがためのトイトレになってしまっていました。これではダメだとトイトレは一旦お休みすることにしました。

転機は3歳半健診。まだオムツが外れていなかった息子はもちろんオムツを履いて健診へ。そこで目にしたのは…

トイトレを中断し数ヶ月が経ったころ、役場から一通の手紙が届きました。そう、3歳半健診です。検尿の文字にトイトレが進んでいない不安が一瞬よぎりましたが、採尿さえできればなんとかなるとたかを括っていました。しかし健診の会場に着いて真っ先に目に飛び込んできたのは息子と同い年の子どもたちのパンツ姿でした。新型コロナウイルス感染症の影響で、同じ部屋に居合わせた親子は6~7組だけでしたが、息子を除いて1人残らずみんなパンツだったのです(絶句)。
自閉症のある息子の3歳児健診の日、同じ会場に居合わせた子どもたちが、全員オムツではなくパンツをはいていたことに衝撃を受ける。
3歳児健診で息子以外「みんなパンツ」の衝撃
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3歳半健診から帰宅した私は、ようやく目を背けていたトイトレに再度向き合うことにしました。
この当時の息子はお話も上手になり、受け答えもかなりできるようになってきていました。一緒にお風呂に入っているとき、洗い場でおしっこが出そうな様子だったので、試しに声をかけてみると、今まで出なかったのが嘘のようにすんなりとおしっこが出たのです!「これがトイレで成功すれば…!!」そう意気込んでトイレ誘導にも力が入りました。そしてついに…ある日療育園へ息子のお迎えに行くと、先生から「今日、トイレでおしっこ出ましたよ!!」と報告が…!そのたった1回の成功から、突然日中のオムツが外れました。3歳半健診から2週間後のことでした。
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娘も軽い気持ちでトイトレ開始。息子のときの経験を活かそうとするも…

一方、娘のトイトレも2歳を迎えた夏、ちょうど息子のトイトレが成功したころに「ついでに外れればオムツ代もかからなくなるし…お兄ちゃんのトイレの成功が刺激になるかもしれない!!」と軽い気持ちで始めました。
息子のトイレのときに娘にも見せて「こうやっておしっこするんだよ〜!娘ちゃんもやってごらん」と声をかけてトイレ誘導をしていました。しかしこの方法は悪手でした…娘はかなりの負けず嫌いだったのです。お兄ちゃんのトイレの成功に嫉妬し、拗ねてしまったのです。トイレに座るどころか、トイレに行くこと自体拒否される毎日。少しでもトイレのイメージを良くしようと、息子のときに封印していた絵本やご褒美シール、トイレの玩具を総動員するも、飽きっぽい娘への効果は一瞬…しかもトイレに成功している息子がそのトイトレグッズに気が逸れて悪影響が出る始末(ため息)。
娘のトイトレも早々に延期することになりました。
ADHD娘は兄への嫉妬からトイレ拒否、ASD息子は妹のトイトレグッズに気が散る負のループに陥る。
ADHD娘は兄への嫉妬からトイレ拒否、ASD息子は妹のトイトレグッズに気が散る負のループに
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迫る娘の入園‼︎果たしてオムツは外れるのか!?

娘のトイトレを延期してから、半年経った3歳を迎える春。幼稚園の入園には間に合わせたい!!とトイレ誘導を再開しました。以前のような断固拒否の態度はなくなり、一応トイレに座ってはくれましたが…じっとしているのが苦手な娘(ADHD)は5秒座るのがやっとでした。もちろん5秒では排尿までには至らず…。あの手この手でトイレに座る時間を稼ぐ毎日でした。
じっとしているのが苦手なADHDのある娘に、あの手この手でトイレに座る時間を稼ぐ母。
あの手この手で娘がトイレに座る時間を稼ぐ毎日
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しかし出ない。1滴も出ない(余談ですが私は産後、ジャンプすると尿もれするようになりました)。
そのうち時間稼ぎ作戦にも飽きてきた娘は、またもやトイレを拒否するようになってしまいました。
「もうお手上げや…」入園がもう目前になった3月上旬、プレ幼稚園に行っていた私は先生にオムツが外れそうにないことを伝えました。先生は快く「一人ひとりペースがありますから、大丈夫ですよ。幼稚園に来てから、できるようになる子も多いですからね!」と言ってくれました(号泣)。

プレ幼稚園のその日、"年少さんと一緒に遊ぶ"というものでした。娘よりずいぶんとお兄さん・お姉さんに見える年少さん、みんな自らトイレに行っている年少さん。…その光景を見て思い出したのです。可愛いパンツの存在を…!!
娘はそのときちょうど可愛いものが好きになってきていました。娘のパンツは以前に数枚だけ買っていたのですが、トイレのやる気を出すために「可愛いお姉さんパンツを買いに行こう」と提案しました。それが娘にはヒットしたらしく、自分でパンツを選び、自らパンツを履き、トイレに自ら座りに行ったのです!!最初は失敗したものの、「濡れてもいいパンツだから大丈夫だよ」と声をかけると、また新しいパンツに履き替え…1週間ほどでトイレでおしっこに成功するようになったのです!!
入園にはギリギリ間に合いませんでしたが、1ヶ月経たずに日中のオムツが外れたのでした。

オムツはずれは早ければいいというものではない。大事なのは本人のやる気とタイミング。

今となっては”トイトレは本人のやる気次第”だし、タイミングがある!!と断言できるのですが、息子のときも娘のときも、なかなか進まないトイトレに焦ってしまっていました。「どうせいつかは外れるんだから、あんなにイライラしなければ良かった」と後悔する反面、焦りの原因には周囲からのプレッシャーがあったのも事実です。トイトレってとてもデリケートなことだと思うのですが、結構口出しをしてくる人が多い気がするのはなぜでしょう…。

今と昔ではライフスタイルも違いますし、育児も日々進化しています。昔は良しとされてきたことが今では違うこともあります。トイトレのことも発達ゆっくりさんのことも、育児世代だけでなくもっと幅広い世代に周知され、もっと温かく見守ってくれる社会になるといいなあと思います。
…あ、兄妹共に日中オムツが外れたと書いてますが、割とちょびっと漏れもありますし、娘に至っては大便はオムツです。そして夜間もおもいっきりオムツです。
オムツ完全卒業までの道のりはまだまだ遠い…。

執筆/海乃けだま
(監修:初川先生より)
ご兄妹のトイトレエピソードをありがとうございます。最後にけだまさんがまとめとして書かれていたように、トイトレはお子さん本人のやる気(興味関心や意欲)にもよりますし、まさにそれに合うタイミングが来ると感じます。読者の方へ、焦らずにというメッセージをくださりありがとうございます。本人のペースをどうにかすることはとても難しいので、機が熟すのを待つのが大事ではあります。
ただ世の中にはさまざまなトイトレ成功の工夫がシェアされており、それをやったら早くできるのではないかと期待させてくれる分、保護者が追い詰められてしまうこともありますね。そして、トイトレに関して口出しされる外圧があったのですね…それは大変でしたね。
妹さんの入園にあたって、先生にご相談され、温かいお言葉をいただいたエピソードもありましたが、まさに幼稚園保育園の先生や子育て相談の場所などでそうしたことをご相談していただけるとよいかなと思います。特に、特性のあるお子さんの場合には、育児書通りには子育てが進まない面もあります。そういうことにお詳しい方に聞いてみる、聞いてもらうのはよいかもしれません。子育ては一生懸命になるとつい冷静さを失ってしまったり、視野が狭くなってしまったりします。いろんな人に話してみて、良さそうな方のご意見を取り入れてみると、冷静になれたり、柔軟になれたりすることがあると思います。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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