小6のADHD次男。黒板を写せない、机に向かえるのは20分未満。特性に合った中学校選びはどうする?事前準備に奔走

ライター:スガカズ
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発達障害のある次男は4月から中学校の通常学級に進学しました。
私は次男が小学校のときから、次男の学習面に対する心配がありました。
なぜなら、次男は授業中に板書をすることはほとんどなかったからです。
そのため、発達障害があったとしても中学校生活をできるだけ円滑に過ごせるよう合理的配慮をしてもらいたいと思い、親としていろいろと模索しました。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「TOIRO」の制作スタッフ。

小学校では、板書ができないのでノートは真っ白

小学校のときから書字が困難だった次男
小学校のときから書字が困難だった次男
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発達障害のある次男は4月から通常学級の中学校に進学しました。

私は次男が小学校のときから、次男の学習面に対する心配がありました。なぜなら書字に対してかなり苦手意識があり、学校ではノートをとらないからです。読字も本人が嫌がるため、学校の教科書以外で本を読む機会はほとんどありません。
プリントやテストなどは本人の調子がよいときには取り組むことができますが、白紙の解答用紙を見続けると、やはり心配になります。

文字(漢字)を見ながら正確に書き写すことはできるのですが、「目の往復運動が疲れる、書き間違いを直したくない、文字の読み書きをする必要性を本人が感じていない」などの理由から、家庭でも書字を含んだ学習は難しいです。
1日の中で、机に向かうことができる時間は10分~20分。宿題という「きっかけ」があるから机に向かう訳ですが、想定以上の時間がかかると、途端に機嫌が悪くなり、続行は難しいです。
そのため一度習った漢字は定着せず、ぼんやり理解している状態で授業がどんどん進んでいきます。そして、それは国語だけではなくほかの教科でも同じようなことが言えます。

小6では、本人のレベルに合わせた宿題を、先生の了承をいただいた上で取り組ませていました。
文字を書かないことでさまざまな問題が生じるのでは、と心配する母
文字を書かないことでさまざまな問題が生じるのでは、と心配する母
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中学校選び、特別支援教室に入室する準備、合理的配慮の準備

中学校でも支援をしてもらえるよう小6から準備
中学校でも支援をしてもらえるよう小6から準備
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中学校では学習の難易度がグッと上がりますし、自立を求められるため、発達障害のある子どもが小学校のときと同様の配慮をしてもらうことは難しいとよく耳にします。
そのため私は、「次男の中学校生活が、楽しいものでありますように」と願いながら、1年間進学の準備をしてきました。

本人に合った中学校選び

配慮を得るためにはまず「できるだけ本人の特性に合った学校を選んだほうがよいのではないか?」と考えました。

近隣に、特別支援教室の拠点校(A校)がありました。そこは、1学年あたりの生徒数が100人以下の学校で、1学年あたり2〜3クラスで構成されています。そのため、環境がガラリと変わる中学校生活の中で、比較的落ち着いて過ごすことができるのではと思いました。また、特別支援教室の職員室があり、巡回していたとしても週2日は先生がいるようでした。

何かトラブルがあった際に本人の居場所を確保しやすそうですし、私自身も特別支援教室に連絡をしやすそうだと思いました。中学校卒業後の進路についても、拠点校であれば発達障害のある子どもがどのような進路を選んだのか前例が聞きやすいのかもしれないと思いました。

実は、次男本人はもともと、別の中学校(B校)に行きたいと言っていました。ですが、生徒数が多く、生徒への目が行き届いているのか首をかしげる噂も多いです。また、なぜその中学校がいいのか尋ねると、次男がその中学校に行きたい理由が「何人かの友達に誘われているから」といったものでした。
私が頭を悩ませていると、同じ小学校に通う息子の親友(発達に凸凹がある男の子)のママも、私が希望するA校に子どもを通わせたがっていることを知りました。そこで、親友のママと話し合い、次男と親友が同じ中学校に通うように働きかけました。

ただ、いくら環境が本人に合っていそうでも、本人自身が納得していないと、中学校で何か問題にぶちあたった際に親子の信頼関係にひびがはいってしまうかもしれません。「オレは違う中学校に行きたかったのに、お母さんに勝手に決められた」と言われたら私は何も言い返せなくなると思います。

まず私は、A校とB校の特徴を次男に説明することにしました。また、私自身が中学校生活を送った際の経験も話しました。
小6のころには次男自身、「自分は発達障害がある」ことを理解していたからなのか、意外にも私の話に耳を傾けてくれました。

私の話を聞いてしばらくして、次男は「親友がA校に通うのならいいよ」と言いました。
親友も同様に「次男もA校に通うならオレも通いたい」と言いました。
こうして、無事に拠点校である中学校(A校)に決まりました。

特別支援教室に入室する準備

小学校で特別支援教室に入るときと同様に、準備をしました。

説明会、体験、判定会議などを経て、無事に12月初旬に特別支援教室の入室許可を得ることができました。ただ、その時点でA校(通常学級)からは中学校の決定通知書が来ていなかったので、本当に通えるのか分からず、12月末に通知書が届くまでは心が落ち着きませんでした。

合理的配慮の準備

療育センターの小児精神科医に相談しました。WISCのほかに読み書きスクリーニング検査、言語療育(読み書きトレーニング)も通いました。

読み書きスクリーニング検査の結果と過去の経験をもとに支援の内容を簡易的な書面にしました(具体的すぎたり、長い文章だと通常学級の先生にとって負担になるのではないか。また、細かく指摘することで、私自身も思うようにいかなかったときに学校に不信感を抱いてしまうのではないかと思ったため、あえて簡易的にしました)。

また、医師から学習障害の診断書もいただき、事前に学校に相談することにしました。

中学校の先生と事前面談

通常学級で過ごすために事前に次男の特性の共有と、可能ならば合理的配慮をお願いしたいと思い、入学式の前(4月頭)に面談をさせてもらうことになりました。

事前面談で、小学校に就学してから今まで受けた検査の結果、診断書、特別支援教室の連絡シート、個人で書き起こした書面を持参し、過去の体験を交えて共有しました。

・上下関係があると感じるような高圧的な関わり方は避けてほしいこと
・自分のイヤな気持ちや、行動の理由を言葉に説明することが苦手で、クールダウンが必要なので、トラブルがあった際には、時間をおいて可能であればあとで聞き出してほしいこと
・本人自身、怒ってしまう性格を中学校生活できちんと直したいと思っているので、それについては頭に留めて(仮に怒ってしまったとしても、本人が怒りたくて怒っているわけではない)いただきたいこと
・小学校では、文字を書かないが耳で聞いて授業の内容を概ね理解できていたこと
・板書をしていなくても注意しないでほしいこと
・板書が難しい場合、黒板の内容を写真で撮りたいこと
・課題は可能であれば取り組ませるが、現時点では難しそうなので、基本的には静観してほしいこと
中学校の事前面談当日
中学校の事前面談当日
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通常学級の先生(のちに、次男の担任の先生だと判明)と、特別支援教室の先生(主任と次男の担当の先生)と4人で面談ができ、情報共有や理解を円滑に行うことができました。また、配慮についても了承していただけました。
次ページ「わが家の場合はスムーズにいったけれど…」

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