受験・授業・単位取得…発達障害のある学生が受けられる具体的な支援は?――大学、短大、高専での障害学生支援について日本学生支援機構に聞く【事例も紹介】

ライター:発達ナビ【編集部Eye】
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発達障害のあるわが子が大学、短期大学、高等専門学校で受けられる支援とは?
今回は、日本学生支援機構学生生活部障害学生支援課の取り組みや調査結果についてインタビューとともにお届けします。

目次

発達障害があるわが子、大学で受けられる支援とは?

発達障害があるお子さんやその保護者のみなさんが進路選択を行う際、中学校や高校、さらにその先の進路についても考えることも多いのではないでしょうか。
そうしたとき、
・発達障害のある大学生はどのくらいいるのか
・大学受験の際に配慮を求められるのか
・授業やレポート、試験では、どのような配慮や支援を受けられるのか
・国立大学のほうが合理的配慮を受けやすいのか

など、気になることが尽きないかもしれません。

今回は、日本学生支援機構学生生活部障害学生支援課の取り組みや調査結果についてインタビューとともにお届けします。
――日本学生支援機構の障害学生支援の概要と役割について教えてください。

障害学生支援課:日本学生支援機構は、2004年に創設された独立行政法人で、国や大学等の機関と連携して、奨学金事業をはじめとするさまざまな事業を実施しています。

その一つとして、大学等が障害のある学生を支援するための教職員向けの研修事業や、各大学等における障害のある学生の修学支援に関する実態を把握するための調査などを行っています。この調査は、2005年度から大学、短期大学、高等専門学校を対象に毎年実施され、調査結果は当機構のホームページで公表しています。

また、9大学を拠点校とする「障害学生修学支援ネットワーク」を設け、各拠点校において、全国の大学等から障害のある学生の修学支援に関するさまざまな相談に応じるなどの取り組みを行っています。

――教職員のみなさんに向けた支援、研修等も行われているのですよね。

障害学生支援課:当機構では、各大学等の障害学生支援の実務担当者を対象とした研修会を例年行っています。2023年度は7月4日、5日の2日間にわたって、障害種別の学生の修学上のニーズや支援方法、障害学生のキャリア・就職支援に関する内容を取り上げ、オンライン形式で行いました。

このほかにも、各大学等の教職員を対象に、障害のある学生に対する支援の在り方や、合理的配慮の提供などをテーマとしたオンラインセミナーを行う予定です。

――ホームページで公表されている調査結果、特に具体的な支援事例は学校関係者の方はもちろん、保護者の方にとっても参考になりそうです。

障害学生支援課:改正障害者差別解消法が2024年4月から施行されることとなり、私立も含めた全ての大学等において、不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供の禁止などが法的義務とされることになりました。

当機構では、2016年度から2022年度まで、大学等における不当な差別的取扱いや合理的配慮に関する紛争の防止・解決等の事例を収集し、そのうち、大学等で合理的配慮を行う際などに参考となるものを選定して、ホームページで公表しています。

――例えばどのような事例が見られますか。

障害学生支援課:2022年度に公表した事例のうち、発達障害に関しては、それぞれの特性に応じた配慮がされた例を公表しています。例えば、手書きが困難である学生に出願書類のパソコンでの作成を認める例や、実験科目においてティーチング・アシスタントが実験の進行に係る補助やアドバイスを行う例などがあります。

このほか、学生から申出があった配慮について、大学と学生とが話し合い、大学が提供できる内容で学生も納得して決定した例などを公表しています。

――これから障害学生支援で注力されることを教えてください。

障害学生支援課:大学等に在籍する障害学生の数は年々増加し、これに伴って障害学生を受け入れる大学等も広がっている傾向にあります。各大学等では、そうした学生が適切な支援を受けて充実した学生生活を享受することができるよう日々尽力しています。当機構としても、引き続き、セミナーの開催や情報発信を通じて、各大学等の取り組みを支援していきます。

――ありがとうございました。

データで見る!発達障害がある学生への支援

日本学生支援機構では、診断書のある発達障害学生だけでなく、診断書はないものの発達障害があることが推察され教育上の配慮を行っている学生についても調査を行っています。2021年度は大学、短期大学、高等専門学校を合わせて1,176校から回答を回収、発達障害の診断の有無にかかわらず支援を受けている学生は、8,622人という調査結果でした。
表72 発達障害学生数及び支援発達障害学生数[学校種別]
表72 発達障害学生数及び支援発達障害学生数[学校種別]
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日本学生支援機構|令和 3 年度(2021 年度) 大学、短期大学及び高等専門学校における 障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書(P69)
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_syugaku/__icsFiles/afieldfile/2022/08/17/2021_houkoku_2.pdf
次に、主な入学後の支援内容について見てみます。実施している学校数にはばらつきがあるものの、授業支援だけでなく専門家によるカウセリングや自己管理指導、障害学生向け求人情報の提供など授業以外の支援も行われていることが分かります。
表75 支援発達障害学生への主な支援内容[授業支援及び授業以外の支援]
表75 支援発達障害学生への主な支援内容[授業支援及び授業以外の支援]
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日本学生支援機構|令和 3 年度(2021 年度) 大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書(P72)
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_syugaku/__icsFiles/afieldfile/2022/08/17/2021_houkoku_2.pdf
それでは、インタビュー内でも取り上げた支援事例について、その一部をご紹介します。

【受験・入学】ASD(自閉スペクトラム症)のある学生:「試験時の座席について、一番後ろかつ隣は空席を希望(私立短大)」

【受験・入学】ASD(自閉スペクトラム症)のある学生:「試験時の座席について、一番後ろかつ隣は空席を希望(私立短大)」
【受験・入学】ASD(自閉スペクトラム症)のある学生:「試験時の座席について、一番後ろかつ隣は空席を希望(私立短大)」
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日本学生支援機構|「障害者差別解消法」施行に伴う障害学生に関する紛争の防止・解決等事例集 令和4年度収集事例(P54)
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_kaiketsu/__icsFiles/afieldfile/2023/03/27/book2022.pdf
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【授業・研究】ADHD(注意欠如・多動症)のある学生:「障害があることをクラスメートに知られずに配慮を受けたい(国立大学)」

【授業・研究】ADHD(注意欠如・多動症)のある学生:「障害があることをクラスメートに知られずに配慮を受けたい(国立大学)」
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日本学生支援機構|「障害者差別解消法」施行に伴う障害学生に関する紛争の防止・解決等事例集 令和3年度収集事例(P32)
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_kaiketsu/__icsFiles/afieldfile/2023/03/20/book2021.pdf

【試験・単位】SLD(限局性学習症)のある学生:「本人はレポート代替を希望していたが、かかりつけ医の所見に従い別室受験とした(私立大学)」

【試験・単位】SLD(限局性学習症)のある学生:「本人はレポート代替を希望していたが、かかりつけ医の所見に従い別室受験とした(私立大学)」
【試験・単位】SLD(限局性学習症)のある学生:「本人はレポート代替を希望していたが、かかりつけ医の所見に従い別室受験とした(私立大学)」
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日本学生支援機構|「障害者差別解消法」施行に伴う障害学生に関する紛争の防止・解決等事例集 令和2年度収集事例(P32)
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_kaiketsu/__icsFiles/afieldfile/2021/04/16/book2020.pdf
ほかにも、受験時、授業や課題についてなど、さまざまな支援事例が紹介されています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
日本学生支援機構|障害学生に関する紛争の防止・解決等事例集
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_kaiketsu/index.html

各校の支援内容を確認し、気になることがあれば早めに相談を

今回ご紹介した日本学生支援機構の調査結果から、大学、短期大学、高等専門学校では、受験・入学から卒業までさまざまな障害学生支援を受けられる可能性があることが分かります。

希望する支援内容によっては、医師の診断書など必要書類をそろえる必要があり、それをもとに学校関係者と丁寧に合意形成を図ることが重要になります。お子さんが進学先で希望する学びを深めて卒業を目指せるように、早めに各校の支援内容を調べてオープンキャンパスなどで相談しておくと安心です。
独立行政法人 日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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