ルーティンのある生活が安心材料になる

ですから、決まったルーティンの生活をすることが、自閉スペクトラムの特性がある子にとっては安心材料となります。

幼児期にまるで判で押したように「パターン化」した暮らしをして、情緒的に安定して育つと、大きくなってから多少のイレギュラーが起こっても、メンタルに影響しにくくなります。生活の基本的な部分が安定しているので、情緒的に揺れにくくなるのですね。

親のもともとの生活スタイルもあると思いますが、子どもが望む一貫性や継続性などを考慮して、親子で平和に過ごせるルーティンをつくっていくことをおすすめします。

「いろいろな経験をさせたい」で情緒不安定になることも

反対に、小さい頃から「早くいろいろなことに慣れさせなきゃ」と言われて、習い事などに頻繁に連れ出されていた子の中には、情緒不安定になる子もいます。

もちろん、新しい課題も多少はあってもいいのですが、毎日予想外のことが起きて、気持ちが疲れてしまうような生活を送っていたら、「いつもと同じ」を好むタイプの子はなかなか安心できません。情緒的に安定した暮らしが送れなくなってしまうわけです。

「北風」よりも「太陽」のようなサポートを

私は、自閉スペクトラムの特性がある子への接し方は「北風と太陽」でいうところの「太陽」がよいと考えています。「北風」を吹かせるようなやり方で無理やり特定の活動をさせようとしても、かえってこだわりが強くなり、抵抗されることが多いです。

それよりも「太陽」のようにあたたかくサポートしながら、本人が動き出すのを待つほうがいいでしょう。
本田 秀夫『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』
本田 秀夫『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』 マンガ:フクチマミ
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自閉スペクトラムの特性がある子はルーティン化した生活をしていると、自分のほうからパターンに飽きて、新しいことに取り組み出すことがあります。人間は安心・安全を保障されると、慣れるのも飽きるのも早いのです。こだわりの強い子も、安心感のある環境で育つと、自発的に行動パターンを広げていきます。
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