【精神科医・本田秀夫】自閉症の子「いろいろ経験させたい」親心のワナーー私が提案するサポートとは
ライター:本田秀夫
自閉スペクトラムには、「臨機応変な対人関係が苦手」「こだわりが強い」といった特性があります。今回は、自閉スペクトラムの特性がある子が「ちょっと変わった行動」をとる心理とそのサポートについてお話ししていきましょう。
執筆: 本田秀夫
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授
附属病院こどものこころ診療部長
発達障害に関する学術論文多数。日本自閉症スペクトラム学会会長。
附属病院こどものこころ診療部長
人間と物を分け隔てしない
友達が自転車に乗っていて転んだとき、自閉スペクトラムの特性がある子どもが自転車に「大丈夫?」と声をかけたという話があります。多くの人はそのような場面で、まず人間のことを心配します。しかし、人間と物を同列に見て、「友達は平気そうだけど、自転車は壊れたかも」と考える人もいるのです。
自閉スペクトラムの特性がある子どもが、人に興味がないわけではありません。そうではなくて、人間と物を分け隔てしない。平等に考えるのです。そう理解したほうが、お子さんの心理を想像しやすくなると思います。
※「特性=障害」とはならないため、障害(Disorder)を除いて、「自閉スペクトラム(AS)」、「注意欠如多動(ADH)」ということもあります。このコラムのなかでも、『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』と同様に「自閉スペクトラム」と表記しています。
自閉スペクトラムの特性がある子どもが、人に興味がないわけではありません。そうではなくて、人間と物を分け隔てしない。平等に考えるのです。そう理解したほうが、お子さんの心理を想像しやすくなると思います。
※「特性=障害」とはならないため、障害(Disorder)を除いて、「自閉スペクトラム(AS)」、「注意欠如多動(ADH)」ということもあります。このコラムのなかでも、『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』と同様に「自閉スペクトラム」と表記しています。
自閉スペクトラムの子のアタッチメント
「人間と物を平等に見ている」ということが、親子の「アタッチメント(愛着)」を形成する場面にも表れることがあります。
一般的には「愛着形成」というと、子どもが親に見守られて安心・安全を感じて、親子関係に愛着を持っていくような流れのことを指しますが、自閉スペクトラムの特性がある子の場合、対人関係が必ずしも重要なわけではありません。それよりもむしろ一貫性や継続性、法則性を安心・安全の根拠にするところがあります。
自閉スペクトラムの特性がある子は親との関係に対して、情緒的に特別な意味を持たないことがあるのです。「この人は母親だから特別」という形で愛着を持つというよりは、「この人はいつも同じようにふるまってくれる」という点で相手を信頼し、愛着が生まれていくようなところがあります。
一般的には「愛着形成」というと、子どもが親に見守られて安心・安全を感じて、親子関係に愛着を持っていくような流れのことを指しますが、自閉スペクトラムの特性がある子の場合、対人関係が必ずしも重要なわけではありません。それよりもむしろ一貫性や継続性、法則性を安心・安全の根拠にするところがあります。
自閉スペクトラムの特性がある子は親との関係に対して、情緒的に特別な意味を持たないことがあるのです。「この人は母親だから特別」という形で愛着を持つというよりは、「この人はいつも同じようにふるまってくれる」という点で相手を信頼し、愛着が生まれていくようなところがあります。
大人の同じふるまい、予想通りの行動に安心感
相手の行動に一貫性があることで安心し、安全だと感じて、相手を信頼していく傾向があるのです。そのため、愛情深くても気まぐれな人に対しては安心を感じにくいところがあります。それよりも、いつも同じようにふるまう人、自分の予想通りの行動をとる人のほうが信頼できるわけです。