母の死、資格試験で心身は限界を超え…大人の発達障害の私、回復までの4ステップ

ライター:宇樹義子
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今年の夏、無理がたたって体調を崩してしまいました。順調に進めていた日本語教師養成講座の受講もいったん後ろ倒しにし、しばらく徹底的に休むことに。ASDのある私が体調を崩した経緯と、自分なりのケア方法についてお話します。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

心身が限界を超えてしまった

7月に入り、日本語教師養成講座で模擬授業をどんどんこなしていた時期のこと。自分の模擬授業が終わって少しした時に、急に激しい胃痛と吐き気が襲ってきました。

ASDのある私は、さまざまな刺激に敏感に反応をし、体調に影響が出てしまう傾向があります。6月半ばに母を亡くし、その時点ですでに体調を崩していたのですが、日本語教師養成講座のスクールの都合で、7月からのハードスケジュールをこなさなければなりませんでした。「かなりの無理がかかる」と分かりつつもその無理をこなしていた状況だったので、胃腸症状が出た時には「案の定、きたな……」と思いました。

7月からの2ヶ月間は想像以上にきつく、土日もずっと休みなしに模擬授業の教案を作っている状態。このままでは本当に倒れてしまうと思いましたが、この科目は授業の編成上、途中で別の日程に振り替えることができないことが分かりました。

仕方なく、私は大学受験で無理をしすぎて以来、絶対自らは選ばなかった「死ぬ気の頑張り」を自分に強いました。それからはやはり、胃痛と食欲不振、下痢傾向が続き、入眠のしにくさ、睡眠の質の低下も出てきました。

悪いことに8月に入ると新型コロナにまでかかり、残遺症状がプラスされてもうわけが分からないぐらいあちこち具合が悪くなりました。この夏の異常な暑さもあいまって、本当に参りました。

どうにか8月末近くに実践系の授業を終えた私は、「誰がなんと言おうと残りの課程を後ろ倒しにしなければ年単位で再起不能になる」と思い、9月から数ヶ月、徹底的に休むことに決めました。

心身の負荷が閾値を超えた最大のサインは「食べられない、寝られない」

私は、心身の負担が閾値を超えたサインとして、まず「食べられない、寝られない」を設定しています。過労やうつ傾向などで病院に行く目安もこの2点だと言われているのを聞いたことがあります。

食事と睡眠は生命維持に不可欠な要素ですから、ここがうまくいかなくなると事態は深刻だということになりますね。

私の場合、ここに痛みと精神症状を加味して考えています。

体のどこかが常に痛い
(頭痛、腱鞘炎、腰痛など。自律神経が参っているところから、筋肉が常に過緊張状態にあるのではと考えています。頭痛は思うように洗髪できなくなるレベルになると深刻な状態)

気持ちのざわつき
(頭の中で思考が止まらず、ずっとくるくる回っていて、スイッチオフができないような状態)

イライラ
(私はこんなに頑張ってるのに! みたいな感じで、普段よりも狭量になる。イライラした瞬間に胃がキュッとさしこむのも感じていました)

サインが出たらすぐに対処を

心身への負荷が閾値を超えたと思ったら、すぐに対処することが必要です。

ケアが遅れるほどに回復に時間がかかります。私は今回、サインが出てからやむをえず2ヶ月ぐらい無理を重ねてしまいましたが、経験上「回復にはケアせずにいた期間の半分は必要」と考えています。

たとえば、私は2ヶ月間無理してしまったので、1ヶ月間は全てを投げうって完全に休養することが必要、といった要領です。

今までで一番回復に時間がかかったエピソードとしては、大学受験でしょう。少なくとも高校の3年間ずっと過労状態で、風邪をひくと治らず、一度は血尿血便を出して倒れたこともありました。受験直前は睡眠、トイレ、食事、お風呂のほかをすべて勉強に注ぎ、1日に16時間は勉強していたので、受験を終えたらバーンアウトしてしまい、大学時代はほぼ棒に振ってしまうことに。以来、「勉強する」ということ自体がトラウマになってしまいました。
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