子どもの便秘の原因は?よく使われる薬や家庭での対処法【医師QA】
ライター:発達障害のキホン
便秘と聞くと、「よくあることでたいした病気ではない」と思う方もいるかもしれません。しかし、便秘(便秘症)はきちんと治療しないと悪化してしまうこともあり、決して放っておいてよい病気ではありません。今回は子どもの便秘について、症状や原因、家庭でできる解消法などを、小児科医の室伏佑香先生にQ&Aを交えながら分かりやすく解説していただきます。
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
子どもの便秘(便秘症)とは?症状のチェックポイント、なりやすい年齢はある?
便秘とは、便が長い時間出ないか、出にくいことを言います。便秘のために、治療が必要な状態を「便秘症」と言い、便秘症が1~2ヶ月以上続いた場合を「慢性便秘症」と言います。
こんな症状に要注意!便秘チェックポイント
どのような症状で、どのくらい便が出ないと「便秘」なのでしょうか。
・週に3回より少なかったり、5日以上出ない日が続く
・毎日出ていても、出す時に痛がって泣いたり、肛門が切れて血が出る
・小さいコロコロの便や、軟らかい便が少しずつ、1日に何回も出る
上記のような症状や状態が見られる場合、便秘と考えられます。
・週に3回より少なかったり、5日以上出ない日が続く
・毎日出ていても、出す時に痛がって泣いたり、肛門が切れて血が出る
・小さいコロコロの便や、軟らかい便が少しずつ、1日に何回も出る
上記のような症状や状態が見られる場合、便秘と考えられます。
便秘になりやすい時期は?
子どもの便秘症状が気になりだした時期について、全国の1~3歳の子どもを持つ保護者1500名に対して行った調査によると、0歳が5割と一番多く、1歳、2歳、3歳と続いています。実際に便秘になりやすい時期は、
・乳児期:母乳からミルクに移行したとき
・6ヶ月頃~1歳頃:離乳食開始時期
・2歳頃~:トイレトレーニングの時期
・3歳頃~:就園・就学のタイミング
と言われています。
・乳児期:母乳からミルクに移行したとき
・6ヶ月頃~1歳頃:離乳食開始時期
・2歳頃~:トイレトレーニングの時期
・3歳頃~:就園・就学のタイミング
と言われています。
便秘の原因は?放っておくとどうなる?
排便機能は誕生時に完成しているものではなく、成長するにつれて発達していくものです。便秘症になると日常生活のQOLに支障をきたすこともあり、放置すると徐々に悪化する可能性もある疾患です。適切な治療をすれば排便コントロールがしやすくなります。
便秘が起きる原因
子どもの便秘の95%は「食事の問題」と「行動面の問題」で起こる機能性便秘であると言われています。
「食事の問題」としては、水分の摂取不足や繊維質の少ない食事を摂る傾向にあることが挙げられます。
「行動面の問題」としては、ストレスやトイレトレーニングへの抵抗などが挙げられます。遊びを中断したくない、以前の排便で痛い思いをしたから出したくないなど、便意を催しているのに排便しないこともあります。
自然な便意に従って排便しないと、やがて直腸に便が貯留した状態に慣れてしまい、便意を感じづらくなります。すると、ますます便が溜まって硬くなっていくため、始めは軽かった便秘が悪化する、という悪循環も起こりかねません。
また、まれに他の疾患や薬などによって便秘が起こる場合もありますが、腹痛や嘔吐などの便秘以外に目立つ症状が出るため、排便回数が減少する前に保護者が子どもを受診させているのが一般的です。
「食事の問題」としては、水分の摂取不足や繊維質の少ない食事を摂る傾向にあることが挙げられます。
「行動面の問題」としては、ストレスやトイレトレーニングへの抵抗などが挙げられます。遊びを中断したくない、以前の排便で痛い思いをしたから出したくないなど、便意を催しているのに排便しないこともあります。
自然な便意に従って排便しないと、やがて直腸に便が貯留した状態に慣れてしまい、便意を感じづらくなります。すると、ますます便が溜まって硬くなっていくため、始めは軽かった便秘が悪化する、という悪循環も起こりかねません。
また、まれに他の疾患や薬などによって便秘が起こる場合もありますが、腹痛や嘔吐などの便秘以外に目立つ症状が出るため、排便回数が減少する前に保護者が子どもを受診させているのが一般的です。
便秘症を放っておくとどうなる?
便秘症を放置し、だんだん悪くなっていくと排便機能が育たず、大人になっても改善しない場合もあります。さらに悪化してしまうと、肛門疾患や結腸癌などのリスクが増加するケースもあります。早期診断と積極的治療が重要です。
子どもの便秘のお悩みQ&A
「薬を飲んでくれない」「促しても排便につながらない」など、子どもの便秘は保護者の悩みの種でもあります。ここでは、小児科医の室伏佑香先生がQ&A方式で分かりやすく「子どもの便秘のお悩み」に答えてくださいました。
Q:処方された薬を飲んでくれない
(質問)便秘の薬を飲みたがらないので、ジュースで飲ませてもいいですか? 虫歯が心配です。
(回答)虫歯、気になりますよね。夜寝る前やお昼寝前に歯磨きをしっかりすること、ジュースを飲んだ後に少量の水を飲む、またはうがいして流すことで、虫歯についてはリスクを減らすことができます。便秘を治すには処方された薬をしっかり飲むことが大切です。薬は便を軟らかく保つものや、腸の動きを活発にするものがありますが、便が詰まってから飲むよりも、溜まらないように毎日飲むほうが効果的です。ただし、水以外の飲み物との飲み合わせに気をつける必要のある薬もあるので、かかりつけ医に相談してください。
(回答)虫歯、気になりますよね。夜寝る前やお昼寝前に歯磨きをしっかりすること、ジュースを飲んだ後に少量の水を飲む、またはうがいして流すことで、虫歯についてはリスクを減らすことができます。便秘を治すには処方された薬をしっかり飲むことが大切です。薬は便を軟らかく保つものや、腸の動きを活発にするものがありますが、便が詰まってから飲むよりも、溜まらないように毎日飲むほうが効果的です。ただし、水以外の飲み物との飲み合わせに気をつける必要のある薬もあるので、かかりつけ医に相談してください。
Q:トイレを怖がる、トイレトレーニングがうまくいかず便秘気味
(質問)トイレを怖がって入れずウンチができません。トイレトレーニングもうまくいかず、便秘気味になってしまっています。
(回答)無理強いは禁物です。便秘症発症のピークは 2~4歳のトイレトレーニングの時期とされます。排便時の痛みや、不適切なトイレトレーニングなどによる不快な排泄を繰り返すことで、意識的にあるいは無意識的に排便を避けるようになる可能性があります。トイレでできないお子さんは、はじめは着衣のまま便座やオマルに座らせてもかまいません。排便しなくても5~10分座っていることができたら褒めてあげたり、ご褒美をあげましょう。
(回答)無理強いは禁物です。便秘症発症のピークは 2~4歳のトイレトレーニングの時期とされます。排便時の痛みや、不適切なトイレトレーニングなどによる不快な排泄を繰り返すことで、意識的にあるいは無意識的に排便を避けるようになる可能性があります。トイレでできないお子さんは、はじめは着衣のまま便座やオマルに座らせてもかまいません。排便しなくても5~10分座っていることができたら褒めてあげたり、ご褒美をあげましょう。
Q:治療はいつまで続ける?治るのでしょうか……。
(質問)現在6歳(年長)の娘がいます。未就園児の頃から3年ほど便秘の治療をしています。治療はいつまで続くのでしょうか?いつ治るのでしょうか?
(回答)適切に治療を行えば、数日~2ヶ月で「週に3回以上快適に便が出る」状態になることが多いです。その状態を続けていると1~2年の間に便秘症が治ることも少なくありません。大人になるまで治療を続ける必要がある場合もありますが、生活や食事に気をつけたり、正しく薬を飲んでいれば、日常生活を問題なく過ごせます。治療を継続していても便の回数が週に2回以下だったり、出すときに痛みや出血があったりするようなら、薬の量が足りない可能性があります。軟らかすぎる便が続く時は量が多いかもしれません。そのような場合でも、自分の判断で量を調節せず、排便日誌をつけて、医師に相談してください。
(回答)適切に治療を行えば、数日~2ヶ月で「週に3回以上快適に便が出る」状態になることが多いです。その状態を続けていると1~2年の間に便秘症が治ることも少なくありません。大人になるまで治療を続ける必要がある場合もありますが、生活や食事に気をつけたり、正しく薬を飲んでいれば、日常生活を問題なく過ごせます。治療を継続していても便の回数が週に2回以下だったり、出すときに痛みや出血があったりするようなら、薬の量が足りない可能性があります。軟らかすぎる便が続く時は量が多いかもしれません。そのような場合でも、自分の判断で量を調節せず、排便日誌をつけて、医師に相談してください。