2歳児の自閉症の特徴は?チェックリストや相談の目安など【小児科医監修】

ライター:発達障害のキホン
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ASD(自閉スペクトラム症)は、他人とのコミュニケーションが苦手、こだわりが強いなどの特徴があります。1、2歳児は言葉の表出が少なく、成長や発達にも大きな個人差があるため、気づきにくい時期といえます。このコラムでは、2歳頃に見られる症状や、受診についてや療育を受けるまでの流れなどを紹介します。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「TOIRO」の制作スタッフ。
目次

ASD(自閉スペクトラム症)とは?

ASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。

知的障害(知的発達症)を伴うこともありますが、2歳児は「イヤイヤ期」といわれる時期でもあり、ASD(自閉スペクトラム症)の診断がつかず様子見という場合も多くあります。
参考:自閉スペクトラム症 (ASD) の特性理解 (著)傳田 健三
https://doi.org/10.15064/jjpm.57.1_19

遺伝との関係はあるの?

ASD(自閉スペクトラム症)の遺伝に関する研究結果として、発症・発現に何らかの遺伝的な要因が関係している可能性が高いと考えられています。しかし、はっきりとした要因はわかっていません。遺伝要因と環境要因の相互影響が複雑で、かつ偶然性に左右される部分も多いといえます。

2歳児に見られることの多いASD(自閉スペクトラム症)の症状とは

1歳に続き、この時期の成長・発達には大きな個人差があります。2歳で「ASD(自閉スペクトラム症)かも?」と診断される可能性のある行動や反応として、主に

・言葉の発達に遅れがある(2語文を話さない、オウム返しが多いなど)
・激しい感覚過敏やこだわりがある
・他人に関心が薄い

などが挙げられます。詳しくは次章以降で紹介しますが、2歳ではASD(自閉スペクトラム症)と診断されることは少なく、「様子見」といわれることが多い傾向にあります。
参考:7_自閉症|文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20211014-mxt_tokubetu02-000018454_11.pdf

2歳児の発達の目安って?

ここでは定型発達児における、2歳児の発達の目安を紹介します。
1歳児に比べてできることも格段に増え、言語獲得は2語文を話す程度といわれています。

・歩く、走る、跳ぶなどの基本的な運動機能や、指先の機能が発達する
・食事、衣類の着脱など身の回りのことを(完璧ではないが)自分でしようとする
・排泄自立にむけての身体的機能が整ってくる
・発声が明瞭になり、語彙も著しく増加し、自分の意思や欲求を言葉で表出できるようになる
・盛んに模倣し、大人や同年齢の子どもと一緒に簡単なごっこ遊びを楽しむようになる
・行動範囲が広がり探索活動が盛んになる中、自我の育ちの表れとして、強く自己主張する

「自我の表われ、強い自己主張」は、いわゆるイヤイヤ期であるといえるので、定型発達児でも強い癇癪を起こしやすい時期であるといえます。
参考:保育所保育指針解説書 |厚生労働省
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12895174/www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku04/pdf/hoiku04b_0001.pdf
参考:イヤイヤ2歳|国立障害者リハビリテーションセンター
http://www.rehab.go.jp/application/files/1515/8226/5892/22_.pdf

ASD(自閉スペクトラム症)の特性は2歳児でも表れる?言葉、感覚過敏、こだわりなど…違和感や気になるサイン

2歳児は「イヤイヤ」が強く出る時期であるため、「激しい癇癪やこだわりがあるのはASD(自閉スペクトラム症)だから?」と思ってしまうこともあるかもしれませんが、その他に見られる日常の様子を見ていくことが大切です。では2歳児の気になる発達の遅れや特性とは、どのようなものがあるのでしょうか。

2歳児の気になる発達の遅れ、2歳児に表れやすいASD(自閉スペクトラム症)の特徴とは

2歳台の子どもの気になる行動として、

・人見知りが強い、または少なすぎる
・他人の行動を真似・模倣しない
・見てほしいものや興味があるものについて共感を求めてつたえようとしない
・「まんま、たべる」「ワンワン、いた」などの2語文を話さない
・極端にまぶしがる、大きな音に過剰に反応するなどの感覚過敏(反対に鈍感すぎる)
・突然癇癪を起こす、またそのあとの切り替えが難しい
・変化をひどく嫌う、特定のものへの強いこだわり(場所見知りや強い偏食など)


などが挙げられます。
1歳6ヶ月児健診では「M-CHAT」という質問紙を使用した「スクリーニング検査」が推奨されていますが、2歳児にも引き続き参照されることがあります。1歳台と同様に社会性、言葉の発達(喋るのが遅い)などが表れやすい傾向があると共に、感覚過敏や癇癪やこだわりなども多く出てくる時期です。

「M-CHAT」などの検査で当てはまる項目が多くても、2歳児は自我が芽生える時期であり、成長にも大きな個人差があるため、ASD(自閉スペクトラム症)であるか判断ができず、様子見となることもあります(基本的にM-CHATは保健師などがチェックするものであり、保護者自身がチェックするものではありません)。
次ページ「2歳児に表れることの多いASD(自閉スペクトラム症)の特性による症状」

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