癖じゃなくてチック症!?5歳自閉症息子の長引く咳払い、医師からのアドバイスは?

ライター:海乃けだま
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発達障害と併存することもあるチック症。2歳半でASD(自閉スペクトラム症)と診断されたわが家の息子も例外ではなく、あることをきっかけにチックの症状が出始めました。今回はそんな息子のチックの始まりと現在についてお話しさせていただきます。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

そもそもチックって……?それまでの私のチック症に対する認識

子育てをしている方なら、一度は耳にしたことがあるんじゃないかと思うチック症。私は恥ずかしながら息子が発達障害と診断されるまで、「あー、聞いたことある。ストレスとかが原因やっけ?」くらいの認識でした。
2~3歳頃から息子が目をぎゅっと目をギュッとまばたきするようになった時も、私はただただ「独特な癖だな~」くらいにしか思っておらず、それが“チック症”とは全く結びついていませんでした(この時が一番私の心が平和だったかもしれない……)。
「独特な癖だなー」と思っていた行動も、もしかしてチックだった?
「独特な癖だなー」と思っていた行動も、もしかしてチックだった?
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息子が2歳半の時ASDと診断されたことをきっかけに検索魔になっていた私ですが、発達障害について調べれば調べるほど怖くもなっていました。

"発達障害に合併しやすい疾患"とか"発達障害の二次障害"とか……インターネットって良くも悪くもいろんな情報が溢れてるじゃないですか……。

もう見れば見るほど、読めば読むほど、「こうしちゃいけない、ああしちゃいけない」ばっかりに目がいって、そのうち「こうしたら二次障害になっちゃうかも!」と、"理想の母像"と"完璧な育児"を自分に課していたように思います(ま、思うだけで全くできてなかったんですけどね……笑)。

もしかして……チック症? 風邪をきっかけに出てきた症状で気づいた息子のチック。

息子が療育に単独で通園するようになった夏(4歳9ヶ月頃)のある日、鼻水と咳がよく出るタイプの風邪をひきました。普段の息子は風邪をひいてもあまり鼻水や咳が出ないタイプだったので、その時の風邪は「珍しく鼻水も咳も長引いてるなぁ」と思っていました。

痰が絡んだような"ゴホゴホ"の咳が、徐々に"コンコン"になり、治ってきたかなぁと思っていた矢先、"コンコン"の咳の後に"エ゛ーーーッヘン"という妙な咳払いがつくようになりました。治りかけで喉が痒いのかな~なんて最初は思っていたのですが、そのうち"コンコン"の咳もなくなりいよいよ全快しても"エ゛ーーーーッヘン"は治りません。

『…………え?これ、もしかして……チックなんじゃ?』そう考え出したら最後、もうその"エ゛ーーーッヘン"が気になって気になって仕方がありません。

息子がその咳払いをするたびに「またやってる……あ、また……え? 10分おきくらいにやってないか??」と頭の中は咳払いでいっぱいになっていきました。
延々と繰り返す咳払いに、母は発狂寸前に……!
延々と繰り返す咳払いに、母は発狂寸前に……!
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小児精神科の定期受診で相談してみると……

一日中咳払いをする息子にいよいよ「やめてくれぇー‼︎」と爆発しそうになっていた頃、ちょうど小児精神科の定期受診がやってきました。診察室でも相変わらず"エ゛ーーーッヘン"を連発する息子。しかし先生は何も言いません。

発達の状況、最近の困り事などを一通り聞かれた後、最後に「ほかに何か気になることある?」と聞かれ、思い切って先生に「この咳払いって、やっぱりチックですか?」と聞いてみました。

先生からは「あーー、そやね。チックやねー。でも指摘せずに、気にしないのが一番よ。そのうち消えてくからね」と大事な感じはなくサラッと返答されました。

『やっぱりチックやったんか……』と落ち込む一方で、先生のこのあっけらかんとした返答に少し気持ちが楽にもなったのを覚えています。
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息子のチック症のそれからと今……

息子のチックに初めて気づいたのは4歳の頃の風邪がきっかけですが、思い返せば、2~3歳頃に「独特な癖だな~」としか思っていなかった目をギュッとまばたきする行動も、おそらくチック症状だったのだろうと思います。そのまばたきもいつのまにかしなくなっていました。

"エ゛ーーーーッヘン"という咳払いのチックの行方はといいますと、夏の終わり頃にはいつのまにかしなくなり……新たに首をすくめるというチックが現れました(笑)。それまた首をすくめるチックも、冬ごろにはいつのまにかなくなり……代わりにしゃっくりのようなチックが現れ……というように、わが家の息子のチックはさまざまな症状へと変貌しながらも繰り返し出現しています。

現在はというと、先月インフルエンザにかかり、またもや"エ゛ーーーーッヘン"の咳払いのチックが出ています(いや、戻ってくんのかーい! 笑)。

病院の先生に言われた、『気にしない』『注意しない』の姿勢で今も見守り続けています。
形を変えながら、出たり消えたりを繰り返す息子のチック
形を変えながら、出たり消えたりを繰り返す息子のチック
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執筆/海乃けだま
(監修:室伏先生より)
息子さんのチック症に関して、ご共有ありがとうございました。チックは比較的よく見られる症状で、お子さんでは10人に1~2人ほどと言われています。けだまさんが共有してくださったように、チックは、少ない時期があったかと思えば、また増えてということを繰り返すことも多いですので、一喜一憂せずに長い目で見守っていただくのがよいと思います。特に学年の切り替わりやイベントの多い時期などに増えて、ひと段落すると落ち着くというお子さんも多いようです。症状は緊張している時に出やすいお子さんもいらっしゃれば、自宅のようなリラックスできる環境で増えるというお子さんもいます。発症は幼児期~小児期が多く、成人期までに軽快、消失してしまう方が多いとされています。

一過性で1年以内に症状が消失してしまうこともよく見られるので、軽い症状であれば、指摘したり叱ったりせず、見守っていただくのがよいと思います。日常生活に影響が出るような場合(大きな声で叫んでしまったり汚言があり周囲への影響がある、チックによる体の動きが大きく苦痛がある、本人がとても気にしていたりチックのせいで自己肯定感が低下しているなど)や長期化する場合には、薬剤による対症療法や認知行動療法などが行われることもあります。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略
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