4歳児にみられる自閉症の特性は?検査内容や療育など【小児科医監修】

ライター:発達障害のキホン
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4歳頃になると、ASD(自閉スペクトラム症)の特性である「コミュニケーションの困難さ」や「こだわりや過敏さ」などが日常生活の中で顕著に表れはじめる時期となってきます。今回は、4歳児の気になる症状や特徴、チェックリストなどを紹介します。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「TOIRO」の制作スタッフ。
目次

ASD(自閉スペクトラム症)とは?

ASD(自閉スペクトラム症)は、
・対人関係や社会的コミュニケーションの困難さ
・特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ
などの特性がある発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。

遺伝について

ASD(自閉スペクトラム症)は多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる生まれつきの脳機能障害だと考えられています。しかし、はっきりとした原因はまだ分かっていません。5歳児時点でASD有病率は約3.22%ともいわれています。
参考:斉藤まなぶ、廣田智也、坂本由唯、足立匡基、高橋芳雄、大里絢子、Young Shin Kim, Bennett Leventhal, Amy Shui,、加藤澄、中村和彦著「5歳児の全母集団サンプルにおける自閉症スペクトラム障害の有病率と累積発生率、および併発する神経発達障害のパターン」『分子的自閉症 11』 (2020)
https://doi.org/10.1186/s13229-020-00342-5

4歳児にみられることの多いASD(自閉スペクトラム症)の症状

4歳頃は言葉の発達や社会面・精神面での発達が著しく伸びる時期であるため、その遅れに気づきやすい時期ともいえます。3歳児健診などで「様子見」と言われたり、園生活などで集団行動ができずに先生から指摘され詳しい検査を勧められ、受診して気づくこともあります。

4歳頃の子どもに多くみられるASD(自閉スペクトラム症)の特性としては、
・集団生活が苦手、友達と遊ぶことが苦手
・強いこだわり
・感覚の過敏さ
・癇癪を起こしやすい
などがあげられます。詳しくは次章以降で紹介します。
参考:自閉症Q&A|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/07/dl/s0730-6a1.pdf

4歳児の発達の目安って?

4歳頃になると、言葉や心の発達はもちろん、全身のバランスを取る能力も発達し、体の動きが巧みになっていきます。

・自然など身近な環境に積極的に関わり、さまざまな物の特性を知り、それらとの関わり方や遊び方を体得していく
・想像力が豊かになり、目的を持って行動し、つくったり、描いたり、試したりするようになる
・自分の行動やその結果を予測して不安になるなどの葛藤も経験する
・仲間とのつながりが強くなる中で、けんかも増えるが、一方で決まりごとの大切さに気づき、守ろうとするようになる

こうした成長の中で、感情が豊かになり、身近な人の気持ちを察し、少しずつ自分の気持ちを抑えられたり、我慢ができるようになったりしていく時期です。
参考:児童発達支援ガイドライン|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000171670.pdf

もしかしてASD(自閉スペクトラム症)?幼稚園、保育園で気づいた違和感、こだわり。4歳児の検査、診断

4歳児は、幼稚園でいうと年中の年にあたります。幼稚園や保育園などの集団生活の中で、発達の遅れや問題行動が気になってくる時期でもあります。

4歳児の気になる発達の遅れ、4歳児に表れやすいASD(自閉スペクトラム症)の特性とは

ASD(自閉スペクトラム症)の特性や行動としては、第1章でも触れた発達の遅れ、集団生活(友達と遊ぶことなど)が苦手、こだわり、常同行動、感覚の過敏さ、癇癪などがあります。成長には個人差があるため一概にはいえませんが、園などの集団生活の中で起こりやすいトラブルや困りごととしては、

・集団行動や友達と一緒に遊ぶことなどが苦手、指示が通りづらい
・大きい音が苦手
・粘土、砂場、裸足などが苦手
・絵を描くことが苦手、運動が苦手など、不器用さが出てくる
・偏食が強く、給食が食べられない
・(言葉の遅れがある場合)友達や先生との意思疎通が難しくなる


などがあげられます。
園へ行きしぶる・朝送って行ったときに(保護者と離れるとき)泣く、あるいは行事やみんなの前での発表を嫌がる(参加しにくい)など、癇癪を伴う激しい拒否反応が出るケースもあります。

4歳児で行うASD(自閉スペクトラム症)の検査ってどんなものがあるの?

3歳児健診で「様子見」と言われた、あるいは4歳になって園の先生に発達の遅れなどを指摘され、検査を受けるかどうか考える保護者の方も多いでしょう。
検査は、医師や(発達)心理士が行います。4歳頃に受ける検査は以下のようなものがあります。

・問診
保護者から、成育歴や「いつぐらいから」「どのような困りごとや症状があるか」などを対話形式で聞き取ります。明確に伝えるためにも、普段の様子をメモしておくといいかもしれません。

・行動観察
数十分程度、子どもとの対話や遊ぶ中で、どのような言動を取るのかを観察します。

・発達(心理)、知能検査
「田中ビネー知能検査V」や「新版K式発達検査」、「AQテスト」などが行われます。

そのほかにも、ASD(自閉スペクトラム症)の診断で行われる検査は多くあります。専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われることが多いですが、診療できる医療機関は限られています。かかりつけ医や保健センターなどに相談してみるといいでしょう。
参考:自閉症|文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20211014-mxt_tokubetu02-000018454_11.pdf
参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html
次ページ「4歳児に表れることの多いASD(自閉スぺクトラム症)の特性をチェック 」

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