自閉症息子、2歳過ぎても手づかみ食べ、スプーンは握れず…6歳の今も続く食事の悩み

ライター:海乃けだま
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わが家の息子は2歳半でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。指先を細かく動かしたり、力を入れたり、右手と左手で別の動きをするなどの動作がすごく苦手で、特にその動きがたくさん必要になる食事の時間はいつも頭を悩ませています。
今回はそんな息子の離乳食期から現在に至るまでの食事動作についてお話しさせていただきます。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。

手づかみ食べをしなかった離乳食期

息子の離乳食開始は生後5ヶ月の頃でした。以前のコラムでも書きましたが、息子は産まれてからおもちゃなどを舐めたり口に入れたりすることが全くなかったので、ちゃんと食べてくれるか少し不安でした。しかし始めてみると、好き嫌いやアレルギーなどもなく、離乳食自体はとても順調に進みました。

ドロドロ状の食事から少し形ある食事に進んだ頃、手づかみ食べしやすいように一口サイズにしてお皿に並べるようにしていました。しかし、息子は手がベタベタするのがとても苦手なようで、ほとんど手づかみをしてくれませんでした。おにぎりなどのご飯粒が手にくっつくととたんに不機嫌になり、手をブンブン振り回して米粒を部屋中に飛ばしてくれました(白目)。唯一手づかみで食べていたのは手が汚れない赤ちゃんせんべいだけでした(笑)。
手が汚れるのを嫌がり、ほとんど手づかみ食べをしなかった息子
手が汚れるのを嫌がり、ほとんど手づかみ食べをしなかった息子
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手が汚れるのが嫌ならスプーンとフォークを使ってみよう!

手がベタつくのが嫌で全く手づかみ食べが進まないので、「ならばスプーンとフォークを使ってもらおう!」と試してみましたが……握る力が弱い息子は自分で食べ物に刺したり、ごはんをすくったりすることはできませんでした。それどころか……スプーンなどに興味を示したり、ママの手を引き寄せて食べようとしたりすることすらなかったのです……。

息子にスプーンを握らせて、その上から手を添えてお皿からすくって口へ運ぶなど、いろいろ試しましたが、全く上達せず……。試行錯誤をずーーーーーーっと続けた結果、私がフォークに食べ物を刺した状態で息子に渡して、なんとか自分で口に運べるようになったのは、息子が1歳半になった頃でした。

娘の誕生、食事の時間が苦痛に……

ようやく息子がスプーンやフォークを口に運べるようになって歓喜していた頃、娘が誕生しました。

それまで息子につきっきりで1対1の食事ができていましたが、そうはいかなくなりました。第2子ということで育児の要領もつかめていたし、良く母乳を飲みよく寝てくれる娘だったので、かなり育児としては楽だったのですが、それでも息子の食事に常につきっきりでいることはできません。

『娘を抱っこしながら息子の食事介助~寝不足の毎日を添えて~』の時間はだんだんとストレスになり、"早くこの時間を終わらせたい"という気持ちが勝り、スプーンを口に運ぶ動作がとてもゆっくりな息子を待っていられず、サッササッサと食べさせてしまっていました。
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娘の離乳食開始、2人揃って手づかみ食べ…。まさに毎食地獄絵図。

そうしているうちに、今度は娘の離乳食を始める時期になりました。食に対して貪欲な娘は、9ヶ月になる頃にはママの手をグイグイと引っ張って食べていました(笑)。

息子も2歳2ヶ月になり、手づかみなら自分で食べられるようになってきたので、2人揃って手づかみ食べをするように……テーブルの下、椅子、服、カーテン、壁……あらゆる場所が食べ物まみれになり、それはもう地獄絵図でした(白目)。
部屋中いたるところに食べかすが飛び散り、地獄絵図に……
部屋中いたるところに食べかすが飛び散り、地獄絵図に……
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スプーンとフォークの練習を始めて……。

その後娘が10ヶ月を過ぎた頃からスプーンを使いたがり、これが刺激になればと、息子もスプーンとフォークの練習を本格的に始めることにしました。……が、私一人では圧倒的に大人の手が足りない!!! 両手両目を駆使して子どもたちの食事介助をしていましたが、心底千手観音様になりたい気分でした。
性格真逆な子ども2人との食事タイム、圧倒的に大人の手が足りない!!!
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息子はスプーンとフォークを使い出したものの、思うようにいかないとすぐ手づかみ食べをしていました。そして食事が終わると案の定、テーブルの下は食べかすだらけでした。

お箸デビューと、お友達の何気ないひとこと……

3歳半で療育の単独通園に通い出した頃から、息子が嫌がらない程度に補助箸にもチャレンジしていましたが、しっかりと補助箸を使えるようになってきたのは4歳を過ぎた頃でした。

6歳になった現在は、幼稚園では補助のついていない幼児箸で頑張って給食を食べています(箸でつまむのはまだ難しく、刺したり、かき込んだりしています)。家では断固として使ってくれず、基本はスプーンとフォーク、油断すると手づかみ、たまーーに補助箸の割合で食べています。さらに左手をお皿に添えることを常に忘れているので、「お皿持って!」と毎回声かけしています。

先日、夫の趣味友達のご家族とお出かけした際に、みんなで食事をしたのですが……小学1年生のお子さんから「ひとでくんって本当に6歳? 手で食べてるよ?」とごもっともなひとことを言われてしまいました(発達年齢は4歳前後と言われてるので、あながち間違いではない……)。

4月から地元の小学校に入学する予定なのですが、勉強に限らず日常生活も不安だらけです(白目)。
執筆/海乃けだま
(監修:新美先生より)
離乳食時期から就学前までの、食事にまつわるご苦労のエピソードを詳しく教えていただきありがとうございます。食事に関しては、お子さんによって、感覚の偏りや手先の器用さなどさまざまな特性が影響して、いろんな「育児書通りじゃない」が起き得ます。食育は子育ての基本と思っている保護者も多く、ここがうまく進まないと不安になりやすいかもしれません。こんなふうに、独特の反応をする子どももいるのだと、似た仲間を見つけるとほっとすることもあるので、こういった具体的なエピソードを聞かせてもらえるとうれしいですね。

味覚の過敏さや、舌触りの敏感さ、慣れないものへの抵抗、嗅覚、触覚の問題などなどから、食べられないものが多いお子さんもいます。また食欲に鈍感だったり、食が細かったりでそもそも食べることが大変なお子さんもいます。そして、手先の不器用さ、触覚の過敏さ、多動、興味の偏り、こだわりなどから食事動作の自立に時間がかかるお子さんもいます。いろんなトラップがあってうまく行かないことはあるかもしれません。それでもそんな様子から、ご本人の特性を理解して、長い目で見てつき合っていくことが大事です。慌てなくても、食は一生続くので、無理をかけすぎず、お子さん自身が食べることを嫌にならないように見守っていただければと思います。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35029843
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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