【LITALICO発達特性検査】 結果の理解と活用:「感覚」の困りQ&A

ライター:LITALICO発達特性検査 活用サポート
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LITALICO発達特性検査は、保護者がお子さまについての質問に回答することでお子さまの特性や困っていること、その対応方法が分かるオンラインの検査です。

この記事では、LITALICO発達特性検査の検査結果で、感覚過敏や鈍麻、感覚刺激など分類「感覚」の困りが表示された場合のよくある疑問にお答えします。検査結果を読み解くときや、お子さまへの接し方やサポートを試す際などのヒントとしてご活用ください。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

LITALICO発達特性検査の分類「感覚」の困りとは

LITALICO発達特性検査とは

LITALICO発達特性検査は、保護者がお子さまについての質問にスマートフォンやパソコンから回答することで、お子さまの特性や困っていること、その対応方法が分かるオンラインの検査です。

検査について知りたい方はこちらをご覧ください。

分類「感覚」の困りについて

分類「感覚」の困りはLITALICO発達特性検査において、以下のような特性に当てはまる場合に表示されます。さらに特性の現れ方のタイプによって「感覚過敏」と「感覚の鈍さ」「感覚への興味」の小分類に分かれています。これらの特性は混じり合って現れる場合もあります。

・感覚過敏
感覚刺激に対して過敏に反応する特性について測定する分類です。例えば聴覚が敏感である場合、サイレンの音や赤ちゃんの泣き声などの特定の音に強い不快さを感じることがあります。味覚が敏感な場合は、特定の味やにおいが苦手で、偏食があるかもしれません。触覚が敏感であれば、衣服の縫い目がチクチクして気になり、特定の素材の服を好むといったことが考えられます。過反応と呼ばれることもあります。

・感覚への興味
感覚刺激を強く求める特性について測定する分類です。同じ動きを繰り返す、勢いよく布団やマットにぶつかることを好むなど、特定の刺激を求める行動が見られる場合があります。よく見られる例としては、ザラザラした物やフワフワした物といった特定の感触の物を触り続ける、くるくる回り続ける、力いっぱい動く、ぶつかるなどの行動を好むなどがあげられます。一般的に感覚探究と呼ばれることもあります。

刺激を求めること自体は問題ありませんが、知らない人の髪を触ったり、走り回って人や物にぶつかりけがをしたり、刺激がない状態だと落ち着きがなくなったりするなど、困りごとにつながる場合もあります。

・感覚の鈍さ
感覚刺激に対して気づきにくい特性について測定する分類です。痛覚や触覚、温度など身の回りの感覚刺激に気づきにくい特性があり、けがをしても痛がらない、気づかないことがあるかもしれません。暑さや寒さに鈍感で、気温に合わせた服装選びが苦手な場合もあれば、ぐるぐる回るあそびをしても目が回りにくい場合もあります。一般的に感覚鈍麻や低反応と呼ばれることもあります。

本人が自覚していないことも多く、不快感や痛みの感覚を感じにくい場合、体調不良や危険に気づきにくいこともあります。

それぞれの困りや特性のより詳しい説明については、LITALICO発達特性検査の検査結果「お子さまの特性」で解説しています。

次に、発達特性検査の検査結果で分類「感覚」の困りが表示された場合のよくある疑問にQ&A形式でお答えします。検査結果を読み解くときや、お子さまへの接し方やサポート方法を試す際など、検査結果を実際に活用するためのヒントとしてご活用ください。

Q.専門家に相談する目安はありますか?その場合、どこに行けばいいでしょうか?

違和感や相談したいことがあるなど、少しでも気になることがある場合は、専門家への相談を検討しましょう。特に以下のような場合、家庭で抱え込まずに専門家に相談することが望ましいと考えられます。

・家庭でのサポートをいくつか試してみたが、なかなかうまくいかない場合
・保護者自身がお子さまと接することに疲れてしまったり、不安を感じる場合
・困りごとが強く長い間現れ、日常生活に支障が出ている場合やお子さま自身がつらそうな場合
・園や学校とうまく連携が取れない場合

相談先は、困りごとによっていくつかありますが、まずは自治体の子育て支援センターや児童発達支援、学校のスクールカウンセラーなどがあげられます。その際には検査結果を持参し、見てもらうと、保護者や本人の困っていることや特性の共有ツールとして役立つこともあるのでご活用ください。

また、感覚についての困りごとは、使用する道具や過ごす環境を調整することが必要になります。その場合は具体的な工夫について作業療法士などの専門家に相談し、サポートを受けるのもいいでしょう。

医療機関へ相談したい場合は、まずはかかりつけの小児科で相談するのも一つの選択肢です。その際には検査結果を提出することで特性を把握する資料として参考になるかもしれません。

Q.感覚に関する特性と関連する疾患や障害はありますか?

LITALICO発達特性検査で、特定の分類(例えば「感覚」の困り)で困難が示されても、特定の疾患や障害の有無や診断を意味することはありません。

また、現在のところ、感覚の過敏や鈍さ自体に対して医学的な診断名はありません。例えばASD(自閉スペクトラム症)の診断基準には感覚に関連した項目が含まれていますが、感覚の困りがあるからといって必ずしもASD(自閉スペクトラム症)であると診断されるわけではありません。

ただし、特性によって日常生活に強い困難を感じている場合などには、相談機関に問い合わせてみるといいでしょう。

また、困りごとにほかの要因や疾患が関係しているかどうかを調べるためには、医療機関に相談するといいでしょう。例えば聴覚過敏はてんかんやメニエール病、頭部外傷など、複数の要因が原因となっている可能性があるため、専門家による判断を仰ぐことが重要になります。
視覚の過敏や鈍麻がある場合は眼科、嗅覚の過敏や鈍麻がある場合は耳鼻咽喉科など、困りごとがある感覚の専門科や、発達障害専門医の在籍する児童精神科などに相談するといいでしょう。

児童精神科などの場合、受診までに時間を要することが多いので、まずはかかりつけの小児科などで相談するのも選択肢の一つです。

診断の有無とサポートの必要性は別の問題

現在のところ、感覚の過敏や鈍さ自体に対して医学的な診断名がないため、感覚に関する困りごとだけでほかの症状がない場合、医療機関を受診しても診断されない場合も多いかもしれません。ですが、診断がない場合、サポートは不要である、ということではありません。むしろ、困りごとが生じたり、特性に合わせたサポートが必要になることは多いといえます。

感覚過敏や感覚の鈍さ(鈍麻)のように、医学的な診断名がない困りごとの場合には、公的な支援や医療的なサポートにつながりにくい場合もあるかもしれません。

そのような場合に、本人や周りの人が感じている困りごとについて、発達特性検査で得られた結果をもとに、サポートを試すことでうまくいく方法が得られる可能性があります。また、児童発達支援や放課後等デイサービスなど公的な支援の中には、診断がなくても支援の必要が認められれば利用できるケースもあります。

診断の有無にかかわらず、本人や周りの困っていることにフォーカスし、本人の特性に合わせた対応方法を探すために、LITALICO発達特性検査の検査結果をぜひ活用してください。

Q.感覚に関する困りや特性は変わったり、なくなったりすることはありますか?

感覚刺激に対する反応特性自体は生まれ持ったものであり、大きくは変わりにくいと考えられます。ですが、状況によって困りごとの現れ方が変わったり、強さが変わったりすることはあります。

例えば、苦手な感覚の刺激が多い場面や避けられない場面では、感覚の特性がある人にとってはより困難が強くなったり、特性が目立つかもしれません。環境が変わったり、年齢があがることで、困難の強さや求められる適応的な行動も変化することがあります。

苦手な感覚を減らす手段や環境を整えることで、困ったことや状況自体を避けたり軽減することができます。

苦手な刺激を避けるなど、困りごとが起きにくい状況や環境にすること、うまくいった経験を増やすアプローチをすることが、結果的に特性による困りごとを減らすことにつながります。

Q.感覚の特性について、特に気をつけることはありますか?

感覚に関する特性があるお子さまについて、特に接し方のポイントになることが以下の2つです。

お子さま本人の苦手さや感じ方を第一に考える

周りから見ると「大げさ」「我慢できる範囲だ」と感じるかもしれません。ですが感覚の感じ方には個人差があり、我慢したり克服したりするのは難しいことを周囲が理解することが重要です。

保護者や周りの人の感じ方とは違うということを前提に、刺激に過敏性があって本人がつらいと感じる場合、あるいは本人には感覚を感じにくい場合など、本人の感じ方を優先して対応することが重要です。まずは何が苦手なのか、何が理由で困っているのかなどを、観察したり話し合ったりするところから始めてみましょう。

道具や環境を変えることで対策する

感じ方は本人にコントロールできないことを前提に、本人の苦手さや困る状況を減らせるようにしましょう。苦手な感覚を避けたり、感覚による困りごとが起きる状況を減らすなど、状況に合わせて、解決できる道具や環境の工夫を探してみるといいでしょう。

もし、家庭での調整が難しい場合、作業療法士などの専門家に相談してみましょう。

Q.家庭での様子とそのほかでの様子が違います。どちらが本当の姿でしょう?

お子さまの特性は同じでも、環境によって現れる様子や困りごとが変わります。特に、感覚過敏の特性がある場合、外出時や集団生活の場で困りが強く出ることもあります。例えば、スーパーのBGMや店内放送、全校集会などでの大勢の話し声、給食のにおい、教室の明るさなどは、個別に調整するのが難しいかもしれません。

このように、家庭では起きない問題が、園や学校、外出先では困りごととなって現れることもあります。あるいは「小さな音によく気づく」「味に敏感」など、保護者としては気になる感覚の鋭さが、特定の環境や場面では長所として捉えられることもあります。

同じ感じ方であっても場所や場面で困りにも強みにもなり得るため、環境面の要素が強く影響することを認識することが大切です。お子さまが困っているかどうかにフォーカスして情報を共有したり、うまくいく方法を一緒に探していきましょう。

Q.特性と対応方法が当てはまらないように感じます。なぜでしょうか?

感覚の困りごとが、実は別の特性や背景要因と関連していることもあります。

また、LITALICO発達特性検査は保護者の視点で回答していただく検査です。保護者の主観的な評価が反映されたり、部分的な場面での回答結果として、偏りが生じる可能性もあります。その結果、検査の質問回答によっては、検査結果で表示される特性と対応方法が当てはまらないと感じることがあるかもしれません。

また、
・睡眠がよく取れていない、疲れているなどで感覚刺激が気になる
・学習面で課題の難易度があっていなくて集中できず、感覚刺激が気になる
・不安な状況になると、ちょっとした刺激が気になりやすくなる

など、同じ感覚の困りごとがあっても、さまざまな特性や背景要因が影響していることもあります。その場合、感覚への対応だけでは解決しないこともあります。

そのような場合には、困りごとがどこから生じているかを考えたり、その要因や困りごとに合わせた対応が必要になってくるかもしれません。本検査の結果だけでは複合的な要因を判断することや、うまくいく方法を見つけることが難しい場合もあるので、その際には専門家に相談するといいでしょう。

まとめ

感覚の困りごとには個人差があります。保護者の方自身の感じ方とお子さまが感じている感覚に違いがある場合、ご自身の過ごし方の延長線上で対応方法を考えるのは難しいかもしれません。また、検査結果は詳細な内容でたくさんの情報が示されるため、何から手をつけていいか、迷うことがあるかもしれません。

そんなときは、お子さまの様子で当てはまりそうな背景はないか、ちょっと考えてみる、検査結果レポートで紹介された方法のなかで、できそうなものを一つだけやってみる、それだけでもよいのです。お子さまの特性を理解し、困る状況を減らしていくことができれば、保護者や周りの人にとっても、子育てがちょっとスムーズになり、つらい状況が減っていくことにつながります。

LITALICO発達特性検査を、お子さまの特性理解とサポートのためのツールとして、ぜひご活用ください。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。


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