3歳児健診で「しつけの問題」「障害ではない」と言われ…自閉症診断前、悩み続けた7年間

ライター:寺島ヒロ
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わが家のきょうだいは同じ療育センターで検査を受け、2人ともASD(自閉スペクトラム症)傾向があることが分かりました。発達障害と診断を受けた時の事は以前にも書かせていただいたのですが、今回「3歳児健診特集」ということで、現在23歳で大学に通う兄のタケルが3歳児健診を受けたときの事を少し詳しく書いてみようと思います。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

赤ちゃんの頃から少し変わった子

タケルに発達障害の可能性があることは、以前から私にはぼんやりと分かっていました。なぜなら、私は学生の時に心理学を受講していたので、少しは知識があったからです。
 
「妙に大人びた仕草をしたり、音にすごく敏感だったり、些細なことで激しく泣くところは高機能障害とか自閉症に似ているな。でも1歳前後で言葉も出ているし障害というほどではないのかな?」と思っていました。
そのほかにも、視点が定まらない、笑顔が出ない、ちょっとことで火のついたように泣く、我慢強い……というか鈍い? ところがありました。(※高機能障害や自閉症は当時の名称です。現在ではASDに統合されています)。
視点が定まらない、笑顔が出ない、ちょっとことで火のついたように泣く、我慢強い……というか鈍い? などなど気になることが……!(※高機能障害や自閉症は当時の名称です。現在ではASDに統合されています)。
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タケルは2000年生まれ。『発達障害者支援法』の公布は2004年です。「喋れる自閉症」、その後しばらく「アスペルガー症候群」と呼ばれる自閉症のことを、私はまだ知らなかったのです。
 
(※アスペルガー症候群は当時の名称です。現在ではASDに統合されています)。
参考:発達障害者支援法とは
https://junior.litalico.jp/about/hattatsu/news/detail/environmental009/

幼稚園で強くなった違和感

3歳で幼稚園の年少組に入ると、タケルが周囲の子どもたちと異なる行動や反応を示すことが目につくようになりました。
 
常にそわそわと体を動かし、一時もじっとしていません。ほかの子どもたちの近くにはいますが、一緒に遊ぶことはなく、砂場で山をつくる、ボールプールを必ず3回潜る、滑り台も必ず3回すべる……などの自分の決めたルーティンを黙々とこなしていました。
読み聞かせなどでほかの子ども達と並んで座っていても、頭がぴょこぴょこと飛び出てくるのでタケルがどこに居るかすぐに分かります。
タケル、発見!
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先生の指示も聞いていないことが多く、しばしば「おうちでちゃんと、しつけしていますか?」というような事を言われていました。しかし、タケルはおうちでは普通……いえ、むしろとても良い子なのです。
タケル自身は幼稚園でもちゃんとやりたいし、やっているつもりなのに、なぜか周囲とずれてしまう、私からはそういう感じに見えました。
「しつけとか指導とかそういうことではないのではないか?」という思いが、また頭をもたげてきました。しかし、行政や保健所の子育て相談などに相談しても、はっきりとした診断やサポートを受けるには至りませんでした。

3歳児健診で心配なところを訴えるも……

幼稚園に通い始めて数ヶ月しかたっていませんでしたが、明らかにほかの子どもたちと様子が違うと感じていた私は、生まれてからこれまでの事をできる限り振り返って、詳細なイラスト入りの育児日記を書いて持参し、3歳健健診に臨みました。

しかし、「高機能障害か自閉症では?」と言う私の言葉を受けての検査は、簡単なIQテストと「クレーン現象」などの顕著な行動のチェックに留まり……結局「特に異常は見られない」ということになりました。

担当の医師からも「自分のしつけがうまくいかないことを障害のせいにしてるのでは? 親がちゃんと教えてあげれば大丈夫」と言われました。その言葉に少し安心もしましたが、同時に強い不安も感じました。
 
タケルは記憶力が非常に良く、教えられたことは本当によく覚えているのです。私は、タケルが23歳になる今に至るまで、何かを二度教えたことはありません。幼稚園でも先生の言ったことを全部聞いていないのではなく、一対一で言われたことは覚えているし、内容も理解しているのです。
 
親の私たちが教えていることが「十分ではない」と言われれば否定はできません。ですが、やはり「そういうことではないんではないか?」と思えました。そして「医師や子育ての専門家にも分からない事例だとしたら何なんだ?」と不安は深まるいっぽうでした。
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