知的障害、0歳での兆候は?遺伝や相談先について解説【医師監修】

ライター:発達障害のキホン
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知的障害(知的発達症)は知的能力の遅れと適応能力の低さによって、生活や学習などでさまざまな困りごとが起きる障害です。知的障害(知的発達症)は出生前や出生直後に何らかの要因で生じることが多く、0歳の子どもにも知的障害(知的発達症)に起因する症状が表れる場合があります。今回は知的障害(知的発達症)の種類や0歳児に表れる兆候、子どもの発達が気になる時の相談先を解説します。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
目次

知的障害(知的発達症)とは?

知的障害(知的発達症)とは、おおむね18歳までに思考力や計算力などの知的能力と、社会生活を営むための適応能力に遅れがみられる障害のことです。

症状としては、言葉や文字の習得の遅れ、意思疎通の困難、ルールの把握の困難、食事や着替えなどの身の回りのことの困難、学校での学習の遅れなどがあります。

行政や医療などによって知的障害(知的発達症)の基準には違いがあります。多くの場合、障害の程度によって、軽度、中度(または中等度)、重度、最重度と4つの種類に分類されています。分類はIQで表される知能指数と、社会的な能力である生活能力(適応能力)の両方を考慮したうえで行われます。

医学的な診断基準である『DSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版改訂版』では軽度・中等度・重度・最重度と4つに区分されていますが、知能指数(IQ)での目安は明示されていません。知的機能と適応能力について、概念的領域(記憶や言語、論理的思考など)、社会的領域(対人コミュニケーションなど)、実用的領域(生活における能力など)の3つの領域の状態から重症度を特定します。
参考:知的障害(精神遅滞)|厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-004.html
参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/19-%E5%B0%8F%E5%85%90%E7%A7%91/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%83%BD%E5%8A%9B%E9%9A%9C%E5%AE%B3
参考:知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/101-1c.html

知的障害(知的発達症)は遺伝する?

知的障害(知的発達症)が生じる要因の一つに遺伝があります。しかし、知的障害(知的発達症)が遺伝による場合はまれだと言われています。
遺伝以外にも出生前の感染症や染色体異常、出生後の頭部損傷や感染症などさまざまなことが要因となり得ます。
参考:知的能力障害|MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/23-%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%A8%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%83%BD%E5%8A%9B%E9%9A%9C%E5%AE%B3
参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/19-%E5%B0%8F%E5%85%90%E7%A7%91/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%83%BD%E5%8A%9B%E9%9A%9C%E5%AE%B3

0歳頃に表れる知的障害(知的発達症)の症状、発達の遅れ、違和感

出生時や出生直後に表れる場合

0歳の赤ちゃんには身体面、神経面で知的障害(知的発達症)の特徴が表れることがあります。身体面では頭の大きさや手や足の形などに異常がみられる場合があります。また、運動機能の発達が遅れることで、寝返り、座る、立つなどといった動作が0歳の間にみられないといった場合もあります。

ほかにも、けいれんや嘔吐、尿の匂いの異常、哺乳不良などが兆候として表れることがあります。これらは、背景に遺伝的な疾患や感染症などがあるために生じる兆候だと言われています。
なお、この上記のような症状がみられる場合も、必ずしも知的障害(知的発達症)があるというわけではありません。

0歳頃に表れる知的障害(知的発達症)の兆候

知的障害(知的発達症)がある場合、運動発達面での発達の遅れなどがみられることが多いとされています。例えば、下記のような症状があげられます。

・あまり泣かない、またはいつも泣いている
・首が座るのが遅い
・寝返りをするのが遅い
・座位をするのが遅い
・ずりばいをしない
・ミルクの飲みが悪い
・低緊張がある
・全体的に発達の遅れがみられる
※上記は一例です

ただ、ほとんどの子どもには幼稚園に入る3歳頃までは、周りが気づくような症状はみられないとも言われています。
また、0歳の赤ちゃんの発達は個人差が大きいため、上記のような様子がみられて心配な場合は、専門機関に相談するようにしましょう。
参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/19-%E5%B0%8F%E5%85%90%E7%A7%91/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%83%BD%E5%8A%9B%E9%9A%9C%E5%AE%B3
参考:山田 和孝著「精神遅滞児の運動発達面でのスクリーニング検査」『 脳と発達』26巻(1994)6号 p. 498-503
https://doi.org/10.11251/ojjscn1969.26.498
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