縄跳び、鉄棒を軽々こなす同級生との差にショック!不器用で疲れやすい自閉症息子、年長の運動会では…?
ライター:海乃けだま
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2歳半でASD(自閉スペクトラム症)と診断されたわが家の息子は2歳半から療育園に通い、年長の年に地域の幼稚園へ転入しました。寝返りをしたのは10ヶ月、ひとり歩きをしたのも1歳5ヶ月と、赤ちゃんの時から運動発達がゆっくりだった息子……はたして幼稚園の運動会を乗り越えられるのか!?今回はそんな本人よりも親がドキドキしっぱなしだった運動会の様子をお話ししたいと思います。
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
まるで王様!?"自ら"動くことがほぼなかった赤ちゃん時代
何に対しても興味が薄かった赤ちゃん時代の息子は、運動発達もゆっくりでした。母子手帳のチェック項目などでは3~4ヶ月が目安とされる『首座り』をクリアした以降、徐々に運動発達の遅れが出始めます。
同じく6~7ヶ月が発達目安とされている寝返りは、先に腰の座りを習得したことで毎回「座らせてくれー!」の泣きで私がホイホイ座らせてあげていたため、10ヶ月になるまで自ら寝返りをすることはありませんでした(……なぜホイホイ座らせてしまっていたかというと……当時家の建て替えのためにアパートに住んでいたので、泣き声や物音を極力立てないようにご近所にとても気を遣っていたのでした)。
転ばないよう、怪我をしないよう、息子の周りをフカフカのクッションで囲み、転んでしまっても寝返りができないので私が座らせてあげていました。また、おもちゃへの興味の薄い息子はすぐに飽きてしまうので、色んなおもちゃ代わる代わる並べ……微動だにしない息子をまるで王様のように扱っていたのでした(振り返れば、なんて過保護な育児をしていたんだと遠い目になります……)。
同じく6~7ヶ月が発達目安とされている寝返りは、先に腰の座りを習得したことで毎回「座らせてくれー!」の泣きで私がホイホイ座らせてあげていたため、10ヶ月になるまで自ら寝返りをすることはありませんでした(……なぜホイホイ座らせてしまっていたかというと……当時家の建て替えのためにアパートに住んでいたので、泣き声や物音を極力立てないようにご近所にとても気を遣っていたのでした)。
転ばないよう、怪我をしないよう、息子の周りをフカフカのクッションで囲み、転んでしまっても寝返りができないので私が座らせてあげていました。また、おもちゃへの興味の薄い息子はすぐに飽きてしまうので、色んなおもちゃ代わる代わる並べ……微動だにしない息子をまるで王様のように扱っていたのでした(振り返れば、なんて過保護な育児をしていたんだと遠い目になります……)。
その後もずり這いしたのが10ヶ月、ひとり歩きをしたのは1歳5ヶ月でした。
2歳半〜5歳半、療育園での様子
療育の親子通園クラスに通いはじめた頃には少しずつ好きなものが出てきた息子。電車のおもちゃを追いかけたり、地面からゼロ距離で眺めたり(笑)と、好きなおもちゃを通じて自ら動いて遊ぶようになっていました。
3歳手前で2語文、3語文を話し始めると、電車ばかりだった遊びもおままごとややり取り遊びへと広がり、当時親子通園していた療育園でのリトミックも楽しんで参加するようになりました。
とはいえ、運動発達が急激に進むということはなく……体幹の弱さや持ち前の怖がりな性格から、ジャンプができるようになったのも3歳目前、片足のケンケンは5歳手前でした。
3歳手前で2語文、3語文を話し始めると、電車ばかりだった遊びもおままごとややり取り遊びへと広がり、当時親子通園していた療育園でのリトミックも楽しんで参加するようになりました。
とはいえ、運動発達が急激に進むということはなく……体幹の弱さや持ち前の怖がりな性格から、ジャンプができるようになったのも3歳目前、片足のケンケンは5歳手前でした。
幼稚園に転園後、同級生の身体能力に驚愕‼︎……やはり少し落ち込んでしまった母
息子が5歳半になり、年長クラスに上がるタイミングで、地域の幼稚園に転園しました。転園後すぐに春の遠足が予定されていたので、付き添いすることになりました。行き先はなんと登山!!園児でも登れるくらいの標高とはいえ、「息子以前に産後運動を怠っていた私に登れるのか!?(笑)」という不安を抱えながら出発しました。
出発するやいなや、同級生のお友達の早いこと!!!!息子の歩幅に合わせていたら、列からどんどん置いていかれそうになるので、5分に一回「疲れたぁ~」と言う息子を励ましながらほぼ私が手を引っ張り登ることになりました(運動発達がゆっくりであることに加え、体力も少なく、疲れやすい息子でした)。
出発するやいなや、同級生のお友達の早いこと!!!!息子の歩幅に合わせていたら、列からどんどん置いていかれそうになるので、5分に一回「疲れたぁ~」と言う息子を励ましながらほぼ私が手を引っ張り登ることになりました(運動発達がゆっくりであることに加え、体力も少なく、疲れやすい息子でした)。
遠足で同級生の子たちとの体力の差に圧倒されたのも束の間、同じ幼稚園に通う娘の登園時(当時娘は年少で、登園時間が年長より30分ほど後でした)、ふと園庭をみると、縄跳びをいとも簡単にヒュンヒュン跳ぶ年長のお友達、鉄棒を回っているお友達、そして鬼ごっこをしているお友達の足の速いこと……!!
片足ケンケンがやっと様になってきた段階だった息子との運動能力の差に驚くとともに、ショックを隠しきれませんでした。
片足ケンケンがやっと様になってきた段階だった息子との運動能力の差に驚くとともに、ショックを隠しきれませんでした。
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いよいよ運動会。はたして息子は……!?
そんなこんなでショックを受けつつも、運動会が近づいてきました。お迎えで担任の先生に会うたびに「今日はリレーで最後になって泣いてしまいました」とか「通し練習を1回したら疲れてしまって……」とか……不穏なことばかり聞いていました。
運動会当日、息子本人以上にドキドキしながら見に行きました。息子が出る種目は年長のみのキッズソーラン、年長・年中合同のダンス、障害物競走、バトンリレー。「……うまくできなくても、列から離れずその場にいれれば100点!」と考えていましたが、列から離れるどころか、自分の出番やポジションをしっかりと覚えて動いているではありませんか!!!!しかも時折笑顔を見せて楽しんでる……(涙)!!!!!
細かいことを言えば、ピシッと手を伸ばすところが伸びていなかったり、腰を落とすところがへっぴり腰だったり、小走りで集まるところを息子だけ優雅に歩いていたり、息子版にカスタマイズされていましたが……(笑)。
先生やお友達が声をかけてくれて誘導していてくれたものの、息子なりに全ての競技を頑張っていました!
運動会当日、息子本人以上にドキドキしながら見に行きました。息子が出る種目は年長のみのキッズソーラン、年長・年中合同のダンス、障害物競走、バトンリレー。「……うまくできなくても、列から離れずその場にいれれば100点!」と考えていましたが、列から離れるどころか、自分の出番やポジションをしっかりと覚えて動いているではありませんか!!!!しかも時折笑顔を見せて楽しんでる……(涙)!!!!!
細かいことを言えば、ピシッと手を伸ばすところが伸びていなかったり、腰を落とすところがへっぴり腰だったり、小走りで集まるところを息子だけ優雅に歩いていたり、息子版にカスタマイズされていましたが……(笑)。
先生やお友達が声をかけてくれて誘導していてくれたものの、息子なりに全ての競技を頑張っていました!
現在、小学1年生の息子は、自転車もまだ補助輪なしでは乗れないし、縄跳びも跳べないし、鉄棒も1回も回れません。ですが、大きな怪我をしない程度に、運動も日常生活に困らない程度にできるようになればと思っています(私たち両親も運動が苦手なので、高望みはしません(笑))。
執筆/海乃けだま
執筆/海乃けだま
(監修:室伏先生より)
けだまさん、息子さんの運動発達のご様子や運動会で頑張られたお姿について共有くださり、ありがとうございました。運動会、ご自身の出番やポジションをしっかり覚えて参加できたこと、そして何よりご本人が楽しむことができていたとのこと、成長が感じられてとてもうれしいことですね。
ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動症)と診断されるお子さんには、DCD(発達性協調運動症)が合併することも多いです。協調運動とは、ある動作に対して複数の身体の部位を連動させて滑らかに動かす運動のことを言います。例えば、本をめくって読む(両手、眼)、縄跳び(両方の腕と脚)、ピアノ(両手と眼、ペダルもあるのであれば脚も)、ボール投げ(腕、脚、眼)、など生活には協調運動が溢れています。DCD(発達性協調運動症)は、このような運動を年齢相応に行うことができず(単にできない場合だけでなくぎこちない、動作が遅いなども含まれます)、日常生活に支障がある場合に診断されます。こうしたお子さんには、筋緊張低下もみられることがあります。しばしば、体幹が弱い、疲れやすいなどと表現されることもあります。これは筋肉の疾患などで見られる筋力低下とは異なります(合併することはあります)。
筋力と筋緊張の違いは分かりにくいのですが、筋緊張とは常に持続的に生じている筋肉の緊張状態のことを言います。イメージとしては、ズボンのゴムを思い浮かべていただけるとよいかと思いますが、ズボンのゴムはその位置を保つために常に一定の張りがありますよね。筋肉は、姿勢を保ったり、関節を安定させたりするために動いていない時も常に一定の張りを保っています。これは無意識に行われており、例えば寝ている子どもを抱っこしても、体の重みで関節が変な方向に過度に曲がってしまうということは生じないわけです。筋緊張低下は、このゴムの張りが少し緩いという状態と考えていただけると分かりやすいと思います。
この筋緊張の維持には、固有感覚(筋緊張の状態、どの筋肉がどのくらい引き伸ばされているか→関節の曲げ伸ばしの状態)という感覚を筋肉がキャッチし、それを脊髄や脳に伝えて、さらにそこからの情報が筋肉に伝えられることが必要です。筋緊張低下の要因は複数ありますが、発達障害のあるお子さんにおける一つの要因として、この筋緊張を感じる固有感覚の鈍さがある可能性があります。筋緊張低下があると、姿勢が崩れやすくなり、本人のやる気やしつけの問題だと見なされてしまうこともありますが、上記を理解すると決して本人の気持ちの問題ではないことが理解できると思います。この場合、筋力と違って筋肉を鍛えることで改善することが難しいばかりでなく、疲れやすい状態にある筋肉に過度な負荷をかけてしまうことにもなりかねません。
とはいえ、もちろん運動は大事ですので、支援としては、本人のペースや体力、運動能力に合わせた継続的な運動(本人が楽しめるもので)を行いながら、本人が姿勢を保ちやすい支援(成長に合わせた椅子を使い、椅子に滑り止めマットを敷くなど)を行うことが基本となります。
けだまさん、息子さんの運動発達のご様子や運動会で頑張られたお姿について共有くださり、ありがとうございました。運動会、ご自身の出番やポジションをしっかり覚えて参加できたこと、そして何よりご本人が楽しむことができていたとのこと、成長が感じられてとてもうれしいことですね。
ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動症)と診断されるお子さんには、DCD(発達性協調運動症)が合併することも多いです。協調運動とは、ある動作に対して複数の身体の部位を連動させて滑らかに動かす運動のことを言います。例えば、本をめくって読む(両手、眼)、縄跳び(両方の腕と脚)、ピアノ(両手と眼、ペダルもあるのであれば脚も)、ボール投げ(腕、脚、眼)、など生活には協調運動が溢れています。DCD(発達性協調運動症)は、このような運動を年齢相応に行うことができず(単にできない場合だけでなくぎこちない、動作が遅いなども含まれます)、日常生活に支障がある場合に診断されます。こうしたお子さんには、筋緊張低下もみられることがあります。しばしば、体幹が弱い、疲れやすいなどと表現されることもあります。これは筋肉の疾患などで見られる筋力低下とは異なります(合併することはあります)。
筋力と筋緊張の違いは分かりにくいのですが、筋緊張とは常に持続的に生じている筋肉の緊張状態のことを言います。イメージとしては、ズボンのゴムを思い浮かべていただけるとよいかと思いますが、ズボンのゴムはその位置を保つために常に一定の張りがありますよね。筋肉は、姿勢を保ったり、関節を安定させたりするために動いていない時も常に一定の張りを保っています。これは無意識に行われており、例えば寝ている子どもを抱っこしても、体の重みで関節が変な方向に過度に曲がってしまうということは生じないわけです。筋緊張低下は、このゴムの張りが少し緩いという状態と考えていただけると分かりやすいと思います。
この筋緊張の維持には、固有感覚(筋緊張の状態、どの筋肉がどのくらい引き伸ばされているか→関節の曲げ伸ばしの状態)という感覚を筋肉がキャッチし、それを脊髄や脳に伝えて、さらにそこからの情報が筋肉に伝えられることが必要です。筋緊張低下の要因は複数ありますが、発達障害のあるお子さんにおける一つの要因として、この筋緊張を感じる固有感覚の鈍さがある可能性があります。筋緊張低下があると、姿勢が崩れやすくなり、本人のやる気やしつけの問題だと見なされてしまうこともありますが、上記を理解すると決して本人の気持ちの問題ではないことが理解できると思います。この場合、筋力と違って筋肉を鍛えることで改善することが難しいばかりでなく、疲れやすい状態にある筋肉に過度な負荷をかけてしまうことにもなりかねません。
とはいえ、もちろん運動は大事ですので、支援としては、本人のペースや体力、運動能力に合わせた継続的な運動(本人が楽しめるもので)を行いながら、本人が姿勢を保ちやすい支援(成長に合わせた椅子を使い、椅子に滑り止めマットを敷くなど)を行うことが基本となります。
不器用な自閉症息子、運動会のダンスで自信喪失。1年後、年長で自ら編み出したスキルが秀逸すぎて…!?
動きながらバランスを取るのが難しそう…そんなときは
これも発達障害の特徴?立ったまま着替えられない、靴が履けなかった息子。小学校入学後が心配で…
「息子さんだけできていない」担任の言葉にショック。発達障害診断前の試行錯誤した日々
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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