自閉症息子が「学校に行きたくない」理由。中学受験で気づいた登校に必要な条件とは?
ライター:寺島ヒロ
うちの息子タケル(ASD、現在23歳)は、小学生の1~3年生の頃、よく登校渋りをしていました。体調が悪く体が思うように動かないからという時もあれば、ちょっとしたきっかけで「今日は家がいい」と言い出すこともあり、全く予想がつきません。今回はそんなタケルの登校渋りについて思い出しながら書いてみようと思います。
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
学校は毎日行くところ?
うちの息子タケル(ASD:自閉スペクトラム症)は、小学校に上がってしばらくすると、登校渋りをするようになりました。
「何が嫌なの?」と聞いてみても理由を言うわけでもないのです。学校で何か嫌な出来事があったとか、ほかに行きたいところがあるとかもない、ただ「今日はお家がいい」と言うだけでした。
「何が嫌なの?」と聞いてみても理由を言うわけでもないのです。学校で何か嫌な出来事があったとか、ほかに行きたいところがあるとかもない、ただ「今日はお家がいい」と言うだけでした。
当時はまだ発達障害だとは分かっていませんでしたが、前々から少し年齢より幼いところがある子だと思っていたので「学校は毎日行かなきゃいけないところだって分かってないのかな?」と考え、私はあまり厳しく「学校に行け」とは言いませんでした。
というのも、当時のタケルは、登校させたとしても帰りたくなるとすぐ学校を脱走して帰ってきてしまう子だったのです。帰り道で迷子になることもしょっちゅうだったので、それぐらいなら家にいたほうが安全だと思っていました。
というのも、当時のタケルは、登校させたとしても帰りたくなるとすぐ学校を脱走して帰ってきてしまう子だったのです。帰り道で迷子になることもしょっちゅうだったので、それぐらいなら家にいたほうが安全だと思っていました。
学校の先生は登校させてくれと言うけれど…
始めの頃、学校の先生方には、とにかく学校へ来させてくれと言われました。学校に来れば指導ができる、でも家庭までは介入できないからとのことでした。
私もできれば登校させたいとは思っていましたが、タケルが動かないときにはどうしようもありません。
また、当時は先生方にも発達障害についてはそれほど知られてなく「起きられない、身体が動かない」と言っても、具体的にどういう状況なのか想像してもらうことは難しかったかなと思います。まさに学校とのすれ違い期でした。
また、当時は先生方にも発達障害についてはそれほど知られてなく「起きられない、身体が動かない」と言っても、具体的にどういう状況なのか想像してもらうことは難しかったかなと思います。まさに学校とのすれ違い期でした。
些細なことでも「行きたくなくなった…」と
体調が悪くもなく、するっと起きられた時でも、些細なことで「行きたくない」と言い出すことがありました。
靴下がうまく履けない、不快な音がした、窓の外を犬が通ったなど……私たちには些細なことですが、タケルにとっては一大事。「もう行きたくなくなった」と言って脱力してしまいます。
仕方がないので「よいしょ」と立たせて身支度を手伝い、学校のそばまで車で運んで、時には先生に車まで迎えに来てもらったりして、ようやく登校させるのですが、やはりすぐに「お迎えに来てください」と学校から電話がかかってくるのでした。
仕方がないので「よいしょ」と立たせて身支度を手伝い、学校のそばまで車で運んで、時には先生に車まで迎えに来てもらったりして、ようやく登校させるのですが、やはりすぐに「お迎えに来てください」と学校から電話がかかってくるのでした。