「将来の夢はない」中3自閉症息子、テストの点数には興味なし?でも高校受験前に変化が…

ライター:まゆん
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ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、中学3年生。高校受験を前に、学習に取り組む様子に変化が見られるように……!?

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

「将来の夢はない」と言うけれど

ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は現在中学3年生である。高校進学については「分からない」「将来の夢はない」と言っている。

しかし、最近変化が見られてきた。高校進学について、まだ「通う高校」が決まっていないためイメージもわいていないようだが、試験で「点数」を取れないと入学できないものだと頭にあるようだ。

そう感じたのは、学習への取り組む時間の変化に気づいたからだ。私も同居する祖母も「勉強しなさい」などの強制的な声かけはしないようにしている。しかし、「点数を取れないと、希望する高校があっても入学が難しい」ということはテスト結果を持って帰ってきた時に話の流れで言うことがある。というかその時にしかむしろ言わない(その時がチャンスだとも思っている)。

祖母は「太郎ちゃーん、高校に入るには点数が大事ぞー」と言う。太郎は毎回「うん」「そうなん?」「テスト難しい」「分かった」という具合で、表情もあまり変えずにクールに返事をしている。
「点数が大事ぞー」と言う祖母に太郎は……
「点数が大事ぞー」と言う祖母に太郎は……
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学習に取り組む時間の変化

今までは自宅での学習の時間は少なくほぼ自由時間としていたが、リフレッシュも必要だろうと私は考えていたので何も言わず過ごしていた。

最近は、勉強部屋に引きこもって机に向かう太郎。効率的に学習できているかは別として、なんだかやる気は見えてくる。テスト前になると、特に勉強部屋から出てこない。大好きな駒もほとんど触らない。ひたすら机に向かっている。

大丈夫かなあと心配になり、ときどき部屋を覗きに行く。特に環境の調整に気が回らない太郎のために、祖母が空調を気にしてよく見に行ってくれる。
勉強部屋から出てこない太郎
勉強部屋から出てこない太郎
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振り返ると中学2年生の時に担任の先生から…

中学2年生の頃から学校の特別支援学級の担任の先生が代わった。先生は2年生の三者面談の頃から太郎に厳しめの言葉を伝えていた。私からしたらやや圧迫気味にも聞こえた。

「どういった高校行きたい?」「今の点数どう思っとる?」「点数伸ばさんと、もっとやる気ださんと」と真顔で言っていた。そんな抽象的で圧が感じられる言葉をかけるのは太郎に不向きなのでは?とも思ったり、先生と太郎との関係性が気になったりもした。
新しい先生との三者面談
新しい先生との三者面談
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そのまま中学3年生になり、先生もそのまま持ち上がりで担任になった。

太郎は家で先生についての不満や不安をもらすことはなかった。つい最近用事があって私が学校に行くことがあった。ちょうど給食が終わって昼休みに入る時間だった。教室を覗くと先生と楽しそうに会話をしている太郎と、先生の自然な笑顔を見ることができた。

その時、先生と太郎の関係性が全て見えた気がした。
先生と太郎の様子が気になり教室を覗いてみると……
先生と太郎の様子が気になり教室を覗いてみると……
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先生はときどき学習や生活面で厳しい言葉を言うことがあるようだが、太郎は先生の言葉の真意をどこかでとらえているのかもしれない(きっとそうだ)。だから以前よりも勉強に取り組むようになったのだろう。

先生のような関わり、私とは違う人との関わり方も太郎には必要で、全てが社会的な学習に繋がっているのだとあらためて思った。
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