あとがき

幼い頃から太郎の特性について悩んでそのまま何も行動できていなかったら、今頃私と太郎はどうなっていただろうかとも最近思うことがあります。太郎と私の関係もぐちゃぐちゃで家庭が崩壊、親子関係も崩壊していたのでは……と。今穏やかに過ごせているのは、さまざまなサポートを受けることができているから。そして、太郎の持ったあたたかい個性のおかげだと思っています。

高校進学へ向けて太郎、頑張っています。

執筆/まゆん
(監修:初川先生より)
中学3年生になった太郎くんが高校受験というものを漠然とではあれ捉えて、準備をしている様子、そして担任の先生との関係性、そこから振り返ったこれまでの歴史についてシェアをありがとうございます。多くの子にとっては、高校受験が人生初の受験で、受験とは何かということ、そもそも学校を選ぶということ自体なかなかイメージしづらいかもしれませんね。中学校では、3年間の中で折々に進路に関するアナウンスやガイダンスがなされていると思います。また、担任の先生との三者面談では進路の話題になることが多いでしょう。中学卒業後の進路をどう描くかについては、お子さんの学力や地理的条件(遠い学校まで公共交通機関使って通えるかどうかはそのお子さんによりですね)、そして経済的条件(公立、私立)など、さまざまな検討事項があります。さまざまな視点があるからこそ、どれか1つの視点に偏ることなく、さまざまな視点でぜひ検討していただきたいところです。そのうえで、実際どこを志望するかについては説明会参加、学校公開、個別相談会などを利用して本人にも学校生活をイメージしてもらい、高校側にもお子さんのことを知ってもらいつつ検討できればと思います。

また、実際に進路をどう定めるかにかかわらず、前もってできる準備としては学習を定着させておくことやいわゆる内申点を取ることなどがあります。太郎くんが点数を気にするのもその1つで、点数は分かりやすい目安なので頑張りやすくなりますね。定期試験では何が問われるのか、範囲表をもとに提出すべき問題集なども合わせて準備したうえでテストに臨めるとよいでしょう。中学校の評価は客観的で、多くの場合生徒自身にも評価基準が知らされているので目標を持って取り組みやすくはあります。

さて、最初に受験が初めてだからこそイメージしづらいと書きましたが、だからこそ、本人が受験や進路についてどう考えているかは折々にしっかり聞いていく必要があります。保護者や周りの大人がやみくもに点数のみ、あるいは偏差値のみに固執してしまうと本人の意志がおいてけぼりになることもあります。なかなかイメージしづらい受験や高校生活だからこそ、今どんな風に捉えているのか、受験で大事そうなことは何だと思うか、といったことを聞きながら、本人に分かる説明と目標共有などができると良いと思います。特別支援学級に在籍しているお子さんだと特別支援学校の高等部に進学するか、普通高校に進学するかなど選択肢がむしろ多岐にわたる場合もあると思います。担任の先生や主任の先生などとの面談を重ね、情報収集をしながらお子さんに合った進路をある程度大人が絞ったうえで、本人に見学や体験をしてもらう場合がよいこともあるでしょう。いずれの場合であれ、三者面談をはじめとする先生方との連携がとても大切になります。太郎くんと担任の先生との関係がよさそうで何よりです。太郎くんの得意不得意などをよく知る先生はきっと一緒に進路について考えてくださるパートナーになりますね。
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https://h-navi.jp/column/article/35030064
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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