私立中に進んだ自閉症息子。往復4時間通学、教室でパニック…それでもウキウキ!?
ライター:寺島ヒロ
息子のタケルは現在23歳、自閉スペクトラム症(ASD)と診断されたのは8歳の頃でした。「ハカセになりたい!」という子どもの頃からの夢をかなえるべく、中学受験に挑戦し中高一貫の進学校に入ったタケルでしたが、そのスクールライフには数々の試練と喜びが詰まっていました。その一部を、ここに紹介したいと思います。
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
息子の中学進学で、家族の生活が大変革!
中学校に通うようになって、まず困ったのは「学校が家から遠い」ということでした。
毎朝4時に起きて車で駅まで送り、そこから電車とスクールバスを乗り継いでもらうのですが、何しろ最寄駅からの電車が1時間に1本しかないので、ちょっと私か息子が寝過ごすともう遅刻です。
毎朝4時に起きて車で駅まで送り、そこから電車とスクールバスを乗り継いでもらうのですが、何しろ最寄駅からの電車が1時間に1本しかないので、ちょっと私か息子が寝過ごすともう遅刻です。
動かない体に鞭打って起きる息子も大変ですが、弁当を用意しなければいけない私はさらにその1時間前に起きなければなりません。
購買部でパンでも買えと言えれば少しは楽なのですが、なにしろ、タケルはまだ買い物をすることができないのです。
購買部でパンでも買えと言えれば少しは楽なのですが、なにしろ、タケルはまだ買い物をすることができないのです。
20歳で初めて買い物できた!?自閉症息子の「お金」への不思議なこだわり、思わぬ方法で解決して…
この頃、娘のいっちゃん(ASD・当時10歳)は、非24時間性睡眠覚醒症候群の診断前でしたが、不眠と過眠を繰り返していたので、私は1週間に2日は徹夜、眠れた日でも4時間ほどという過酷な日が続きました。
片道2時間の登下校よりつらいこととは…
それでも、朝晩の通学のことはまだ良いのです。
駅までの送迎は夫に代わってもらうこともできます。お弁当だって、いざとなれば駅で買って持たせてもいいのです。まあ息子は嫌がるので、本当に1学期に1回ぐらいしか使えない手ですが……。
駅までの送迎は夫に代わってもらうこともできます。お弁当だって、いざとなれば駅で買って持たせてもいいのです。まあ息子は嫌がるので、本当に1学期に1回ぐらいしか使えない手ですが……。
私にとって一番の問題は……そうやって、やっと登校しても「迎えに来て」と電話がかかってくるときがある!
それも結構頻繁に!……ということなのです。
それも結構頻繁に!……ということなのです。
昔から音に敏感な息子
タケルは小さな頃から音に敏感で、不快な音に遭遇するとパニックを起こしたり、突然の大きな音に驚いて倒れてしまうようなこともあります。
また、一般的にはあまり問題にならないと思われるような小さな気温や、気圧の変化によって、「そんなに?」というほど体調を崩すこともしばしばでした。
中学生になってもその点は変わらず、授業中にパニックを起こして机に倒れ伏したり、急に「頭がイライラして音が大きく聞こえる!体調不良です!」と言って、勝手に教室から出ようとしたりということがありました。
学校の保健室は、タケルの通う中学棟ではなく高校棟にあったので、「中学生は行ってはならない」と思い込んでいたようで、何度先生や私が言っても絶対に行こうとはしませんでした。
中学生になってもその点は変わらず、授業中にパニックを起こして机に倒れ伏したり、急に「頭がイライラして音が大きく聞こえる!体調不良です!」と言って、勝手に教室から出ようとしたりということがありました。
学校の保健室は、タケルの通う中学棟ではなく高校棟にあったので、「中学生は行ってはならない」と思い込んでいたようで、何度先生や私が言っても絶対に行こうとはしませんでした。
そのため、タケルからSOSの電話がかかってくると、学校まで車で迎えに行くしかありません。
高速なら30分なんですよね。ええ、もちろんタダではありません……。
高速なら30分なんですよね。ええ、もちろんタダではありません……。