ストレス性の腹痛、もしかして過敏性腸症候群?発達障害との関連はある?【医師監修】
ライター:発達障害のキホン
子どもの腹痛にはいくつかの理由が考えられますが、その中にストレスが要因となる過敏性腸症候群があります。
過敏性腸症候群は、腹痛、下痢、便秘などの症状を繰り返し、日常生活や学校生活にも影響が出ることもある消化管疾患です。
今回は子どもに多い過敏性腸症候群の症状、原因、治し方、発達障害との関係などを解説します。
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
子どもの腹痛のさまざまな原因。ストレスが原因の場合もある?
子どもが「お腹が痛い」と訴えてきたときに、詳しい症状や原因が分からず困ったという方も多いと思います。
子どもの腹痛にはさまざまな原因があり、それぞれに対処法も異なってきます。原因として多いものは便秘、食べ物による食あたりや消化不良、胃腸炎、風邪、急性虫垂炎、ストレスなどがあります。
今回はその中でもストレスや緊張、不安感がきっかけとなる過敏性腸症候群について解説していきます。
子どもの腹痛にはさまざまな原因があり、それぞれに対処法も異なってきます。原因として多いものは便秘、食べ物による食あたりや消化不良、胃腸炎、風邪、急性虫垂炎、ストレスなどがあります。
今回はその中でもストレスや緊張、不安感がきっかけとなる過敏性腸症候群について解説していきます。
「子どものお腹の悩み」アンケート 結果は?
発達ナビでは「子どものお腹の悩み」のアンケートを実施しました。「子どもがストレスや緊張などの理由からお腹を下したことがある」を選んだ方が54%と、半数以上の方が子どものストレス性の腹痛を経験している結果となりました。
寄せられたコメントも紹介します。
当事者です。
私はもちろん緊張でお腹下すこともありました。
(校外学習前後は特に酷かった。見学場所によっては現地でお手洗い借りて5分ほど籠るなんてザラ。5年になってピタッと止んだ)(Zeroさん)
心因性の腹痛の症状、対処方法は?もしかして過敏性腸症候群?
何らかの原因でストレスが強くなると、ホルモンや自律神経、免疫などに影響が生じ、そのことで身体にもさまざまな症状が表れてきます。その中でも腹痛に関連する疾患として、過敏性腸症候群があります。
過敏性腸症候群とは?診断のチェック項目も
過敏性腸症候群とは腹痛とともに下痢や便秘、ガスがたまるなどの症状が表れる消化器官の疾患のことです。英語では「Irritable bowel syndrome」と記載し、略して「IBS」と呼ばれることもあります。過敏性腸症候群は身体的な要因と精神的な要因が関係して、消化管が刺激に対して敏感になっている状態と考えられていますが、原因はまだはっきりとは分かっていません。
過敏性腸症候群の有病率は中学生で2~5%、高校生で5~9%と言われており、児童・思春期の代表的な消化管疾患として知られています。
下痢などの身体症状により行動に制限が生じるとともに、頻繁にトイレに行くことに引け目を感じるなどの精神的な負担も生じ、学生の場合は不登校につながる可能性もあります。また、ストレスや緊張などで症状が悪化することもあり、そのためにさらに外出がしづらくなる場合もあります。
厚生労働省のWebサイトでは以下のように記載されています。
過敏性腸症候群の有病率は中学生で2~5%、高校生で5~9%と言われており、児童・思春期の代表的な消化管疾患として知られています。
下痢などの身体症状により行動に制限が生じるとともに、頻繁にトイレに行くことに引け目を感じるなどの精神的な負担も生じ、学生の場合は不登校につながる可能性もあります。また、ストレスや緊張などで症状が悪化することもあり、そのためにさらに外出がしづらくなる場合もあります。
厚生労働省のWebサイトでは以下のように記載されています。
過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)は、大腸の正常な機能を妨げる慢性疾患です。症状としては、腹痛、腹部疝痛(痙攣)、腹部膨満感、便秘、下痢などがあります。IBS患者の多くは、症状を軽減するために補完療法に頼ることがあり、そして、これらのアプローチの中には、いくらか有用である可能性を示す新たなエビデンス(科学的根拠)も出てきています。
引用:過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)と補完療法について知っておくべき7つのこと|厚生労働省 eJIM
また、過敏性腸症候群は次のように診断基準が定められています。
過敏性腸症候群の診断は、ローマ基準に従って、過去3カ月間に少なくとも週1回の頻度で腹痛がみられ、かつ以下の基準の2つ以上に該当する場合に下されます。
・排便に関連した痛みがある。
・痛みが排便回数の変化(便秘または下痢)に連動している。
・痛みが便の硬さの変化に連動している。
引用:過敏性腸症候群(IBS)|MSDマニュアル家庭版
過敏性腸症候群に似た症状の疾患は複数あるため、子どもが上記の基準に当てはまっても、自己判断せずに消化器内科や小児科などで医師の診察を受けることが大切です。
過敏性腸症候群の治療では薬物療法のほかに、食生活の改善、精神療法などが行われます。
薬物療法では腹痛緩和のために抗コリン薬が用いられることが多く、ほかにも下痢や便秘など過敏性腸症候群の症状に応じて適した薬が処方されます。また、痛みや精神的な症状の緩和のために抗うつ薬が用いられ、薬物療法の効果が低い場合には認知行動療法、催眠療法などを行う場合もあります。
食生活の改善も症状やその人の体質に応じて適した対応を行います。一回の食事の量を減らして食べる回数を増やし、ゆっくりと食事をするようにすると改善する人が多い傾向にあります。
また、負担となる食べ物を減らす方法もあります。乳糖不耐性の人は乳製品を避けたり、ガスがたまりやすい人は豆やキャベツなど消化しにくいものを避けたりするなど、症状や体質を考慮して食生活を改善を行います。
過敏性腸症候群の治療では薬物療法のほかに、食生活の改善、精神療法などが行われます。
薬物療法では腹痛緩和のために抗コリン薬が用いられることが多く、ほかにも下痢や便秘など過敏性腸症候群の症状に応じて適した薬が処方されます。また、痛みや精神的な症状の緩和のために抗うつ薬が用いられ、薬物療法の効果が低い場合には認知行動療法、催眠療法などを行う場合もあります。
食生活の改善も症状やその人の体質に応じて適した対応を行います。一回の食事の量を減らして食べる回数を増やし、ゆっくりと食事をするようにすると改善する人が多い傾向にあります。
また、負担となる食べ物を減らす方法もあります。乳糖不耐性の人は乳製品を避けたり、ガスがたまりやすい人は豆やキャベツなど消化しにくいものを避けたりするなど、症状や体質を考慮して食生活を改善を行います。