不登校の特別支援学校中3息子。「学校をあきらめたくない」の言葉に先生が薦めたのは…通信制高校!?
ライター:花森はな
現在、通信制高校1年生の息子は、自閉スペクトラム症(ASD)と強度行動障害があります。小学校3年生の3学期から行き渋りが始まり、一時は復学できましたが、6年生で再び不登校になりました。特別支援学校中等部へと進学し、ほとんど登校できないまま中学3年生に。前回は、就職か進学か迷い、福祉事業所合同説明会に参加した時のお話を書かせていただきましたが、今回は引き続き通信制高校進学を見据えて、個別相談や説明会に行った時のお話をさせていただこうと思います。
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
やっぱり学校に行きたい!先生の言葉で開けた新たな道
夏休みが終わり、学校に行けない中学3年生の息子は、進路について悩んでいました。一時は就労支援を利用しての就職を目指していましたが、就労支援の利用対象者は18歳以上のため卒業後すぐに就職という道は実質不可能でした。かといって、特別支援学校高等部へとそのまま進むことにも抵抗がありました。というのも息子はスクールバスで特別支援学校に通っていたのですが、次第に車酔いに耐えられなくなり乗れなくなってしまったのです。そして、ほかの通学手段を選択するのも難しい状況でした。
特別支援学校中等部に在籍している生徒のほとんどは特別支援学校高等部への進学を選択します。とりあえず高等部に進学して、あとのことはそれから考えようか……という時でした。家庭訪問に来てくださっていた担任の先生がこう言ったのです。
「無理してスクールバスに乗ることないよ!通信制高校はどう!?」
目からウロコでした。精神障害者保健福祉手帳(2級)を持ち、強度行動障害のある息子には、特別支援学校以外の選択肢が考えられなかったのです。
「通信制高校もいろいろあるんだよ!オンラインでも大丈夫なところもあるし、パソコンのコースなんかもあるし。息子くんに合いそうな学校もあるんじゃないかな?」
先生の言葉を聞いて、息子は言いました。
「……やっぱり僕、学校に行きたいねん。就職と思ったけど、それは学校に行かれへんからで、本当は学校をあきらめたくないねん」
先生が帰られたあと、私が真っ先にしたのは通信制高校の資料請求でした。
特別支援学校中等部に在籍している生徒のほとんどは特別支援学校高等部への進学を選択します。とりあえず高等部に進学して、あとのことはそれから考えようか……という時でした。家庭訪問に来てくださっていた担任の先生がこう言ったのです。
「無理してスクールバスに乗ることないよ!通信制高校はどう!?」
目からウロコでした。精神障害者保健福祉手帳(2級)を持ち、強度行動障害のある息子には、特別支援学校以外の選択肢が考えられなかったのです。
「通信制高校もいろいろあるんだよ!オンラインでも大丈夫なところもあるし、パソコンのコースなんかもあるし。息子くんに合いそうな学校もあるんじゃないかな?」
先生の言葉を聞いて、息子は言いました。
「……やっぱり僕、学校に行きたいねん。就職と思ったけど、それは学校に行かれへんからで、本当は学校をあきらめたくないねん」
先生が帰られたあと、私が真っ先にしたのは通信制高校の資料請求でした。
通信制高校とサポート校の違いって?
通信制高校の資料請求には、一括検索サイトを利用しました。一校一校調べるよりも、条件を指定して資料を送っていただく方が時間短縮に繋がると考えたのです。資料請求ボタンを押してしばらくすると、数校から電話がかかってきました。その中の一校にすぐ見学に行くことに決めました。それは通信制高校のサポート校でした。
通信制高校のサポート校は都会のビルの中にありました。中に入ると、個別に区切られた学習ブースでそれぞれ勉強をしていて、さながら塾のようでした。人がたくさんいる場所が苦手な息子はここにいるのは無理そうだな……と感じましたが、個別相談という形で説明をお聞きしました。まず最初にお伺いしたのは、「通信制高校」と「サポート校」の違いでした。
通信制高校のサポート校は都会のビルの中にありました。中に入ると、個別に区切られた学習ブースでそれぞれ勉強をしていて、さながら塾のようでした。人がたくさんいる場所が苦手な息子はここにいるのは無理そうだな……と感じましたが、個別相談という形で説明をお聞きしました。まず最初にお伺いしたのは、「通信制高校」と「サポート校」の違いでした。
通信制高校は、自宅学習がメインで、単位取得(74単位+ホームルーム30単位)で高校卒業資格が得られます。空いた時間で好きなことをしたり、登校日を自分で選べるなどのメリットがあります。単位制高校との大きな違いは、必修科目がある、高卒資格を取得するには単位認定試験とスクーリングに加え、レポート提出が必須になります。
サポート校は、通信制の高校生の卒業をサポートする「塾」のような存在です。連携している通信制高校に籍があり、連携先の通信制高校卒業で高校卒業資格を取得できます。サポート校のみでは、高卒資格は取得できません。
通信制高校は完全にオンラインという訳ではなく、学校によって登校日数が異なります。サポート校では自宅に出向いて指導をしてくださる手厚いプランもあるということで心が動きましたが、問題は学費でした。通信制高校に進学する場合、学費は通信制高校のみで済みますが、サポート校を選ぶと通信制高校とサポート校の両方に学費が発生するのです。学費の助成もあるとはいえ、母子家庭のわが家ではその費用を捻出することは難しく、サポート校への進学はあきらめることになりました。この点が早い段階で分かっただけでも、最初にサポート校での説明を受けてよかったと思いました。
通信制高校は選択肢がたくさん!
通信制高校にターゲットを絞ったところで、次はどの学校に見学に行くかを決めなければなりません。息子と相談し、まずは私が息子が行けそうな学校をいくつか絞ることになりました。通信制高校一括検索サイトから届いた学校のパンフレットを1つずつクリアファイルに入れ、「土曜授業」「近い」「学び直し」などその学校の特色を付箋に書き出して印をつけました。そしてファイルボックスを3つ用意し、「○(見学)」「△(保留)」「×(却下)」の印をつけ仕分けしました。息子の場合、遠方でのスクーリングがある学校や都会すぎる学校は避ける必要があったため、仕分けしていくうちに息子が通えそうな学校の雰囲気も見えてきました。その中から数校に見学を申し込みました。
A通信制高校はほぼ全日制に近い授業内容で、B通信制高校はまるで専門学校のような校風、C通信制高校は登校日数を選べるプランがあるなど、同じ通信制高校でも、学校によって内容がかなり違いました。ある学校では相談に乗ってくださった管理職の先生が、「息子くんの様子を聞くとうちの学校では難しいかもしれませんが、こちらの学校なら合ってるかもしれないので、行ってみたらどうですか?」とほかの学校を紹介してくださいました。どの学校の説明を聞いていても共通していたのが、「ぜひうちの学校に!」というよりも「いい学校が見つかりますように!」という姿勢でした。通信制高校を選択する子どもたちは、不登校だけではなくそれぞれに事情のある子がどうしても多いので、そういったことに相談段階で寄り添っていただけてるように感じました。
A通信制高校はほぼ全日制に近い授業内容で、B通信制高校はまるで専門学校のような校風、C通信制高校は登校日数を選べるプランがあるなど、同じ通信制高校でも、学校によって内容がかなり違いました。ある学校では相談に乗ってくださった管理職の先生が、「息子くんの様子を聞くとうちの学校では難しいかもしれませんが、こちらの学校なら合ってるかもしれないので、行ってみたらどうですか?」とほかの学校を紹介してくださいました。どの学校の説明を聞いていても共通していたのが、「ぜひうちの学校に!」というよりも「いい学校が見つかりますように!」という姿勢でした。通信制高校を選択する子どもたちは、不登校だけではなくそれぞれに事情のある子がどうしても多いので、そういったことに相談段階で寄り添っていただけてるように感じました。