高3自閉症息子、遠方受験に備えてお試し一人旅!本人は自信満々、親はハラハラ…2日目、GPSに異常が!?
ライター:寺島ヒロ
わが家の長男タケルは現在、大学院の2年生で博士課程進学を目指しています。今の大学は彼が第一希望として選んだ学校ですが、当時は実家から500キロも離れた未知の地。「本当にこんな遠くで生活できるのか」と、私は心配でいっぱいでした。今回はそんなタケルが一人旅で受験先を訪れた際のエピソードです。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
志望校けってーい!でも母は不安…
小さい頃から「生きものハカセ」を目指していたタケル(ASD・現在24歳)、高校2年生の夏にはオープンキャンパスなどにも参加して、早々に志望校を絞り込んでいました。
タケルが選んだのは大阪にある小規模な大学で、希望する学科の合格予定者は6名です。
たった6人……!?上位6人に入らないといけないの!?
母は震えましたが、タケルは涼しい顔。
「生物で100点とればいいんだよ!」と言います。
そりゃそうだけどさあ……。
たった6人……!?上位6人に入らないといけないの!?
母は震えましたが、タケルは涼しい顔。
「生物で100点とればいいんだよ!」と言います。
そりゃそうだけどさあ……。
理学部全体では50人位採用しているらしいのですが、学部学科ごととなるとそれぐらいなんだそうです。ちなみに商学部は区分けがなく200人採用とのことでした。
「お試し一人旅」で慣れよう
受験でもう一つ私が不安だったのが、慣れない受験旅でタケルがパニックになって、テストがまともに受けられなかったらどうしようということでした。
そこで、「3年生のゴールデンウィークに一人旅をしたい!」とかねてより言っていたタケルに、大阪の受験校を下見に行ってもらうことにしました。
当時のタケルは一人で電車やバスに乗る練習はしていたものの、外泊や長距離移動は初めてでした。
不安で嫌がるかな?とは思いつつ、私が「旅行計画を自分で組んで、時間がかかってもいいから自力で回っておいで」と伝えると、タケルは「大阪、一人で行ってみたかったんだ」と喜び、あっさり出発してしまいました。ちなみに宿だけは駅近に私が手配しました。
不安で嫌がるかな?とは思いつつ、私が「旅行計画を自分で組んで、時間がかかってもいいから自力で回っておいで」と伝えると、タケルは「大阪、一人で行ってみたかったんだ」と喜び、あっさり出発してしまいました。ちなみに宿だけは駅近に私が手配しました。
好きな事には頑張れる!タケルが行きたかったところとは?
さて、タケルのスマートフォンにはGPSがついています。
心配で心配でたまらない夫は、ずっと片手にスマートフォンを持ってうろうろしていましたが、2日目になって「タケルのスマホが壊れている」と言いだしました。
心配で心配でたまらない夫は、ずっと片手にスマートフォンを持ってうろうろしていましたが、2日目になって「タケルのスマホが壊れている」と言いだしました。
夫曰く「大阪に到着した日は、学校まで行って、近くの公園で半日過ごしてからホテルに帰ったみたい。でも今日は気がついた時にはもうホテルにいなくて、天王寺近くの公園からずっとマーカーが動かない。スマホがおかしくなったか落としたに違いない!」
「どれどれ」と夫のスマートフォンを見てみると、マーカーはかすかに動いているのでした。場所は……んん?オオカミ舎?
「これ、ホントにずっといるんじゃないの?動物園の中みたいだし」と、私が言うと、夫は「こんなに動かないわけはない!大体動物園に何時間もいられないでしょう?」と言います。