感覚過敏でも「着られる冬服」の条件は?着心地、体感気温の違いに悩んだ数十年を経て出会えた着心地のいい服

ライター:宇樹義子
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ASD(自閉スペクトラム症)で感覚過敏がある私。春夏はまだいいのですが、チクチクするニットなどの素材が増える秋冬には特に快適に着られる服が見つけられずに困っていました。しかし、何年か前、服がチクチクしやすい人が快適なニットを見つけるコツを知ることに。今回はこうした、感覚過敏と冬服の話についてお伝えします。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

高級ウールのニットが着られず母に叱られていた幼稚園〜小学校時代

当時は自覚もなく、誰も知らなかったものの、小さな頃から感覚過敏のあった私。着る服には苦労しました。秋冬になると特に、暖かい獣毛でできたニットなどの服が増え、これらが私にはチクチクするのでしんどかったのです。

祖母が質のいいウールの毛糸を使い、素敵なセーターなど編んでくれるのですが、これがどう着てもチクチクする。特に、祖母が腕をふるって編んだ模様編みのところなど、デコボコ部分のゴロゴロした感じもあいまって、本当につらいのです。

チクチクしてしんどい、と訴えても、当時は誰も感覚過敏などという言葉は知りません。「高級なウールを使っているのに。おばあちゃんが愛情込めて編んでくれたのに、あんたはなんてワガママなの」と母に叱られ、無理に頑張って着ていましたが、首などの皮膚は真っ赤になってしまい、学校が終わる頃には不快刺激に耐え続けたことでぐったり疲れ切ってしまうほどでした。

周りとは体感気温の感じ方が違いすぎてつらかった中高校時代

中高になると、もともとの自律神経の不安定さに加え、二次障害での自律神経の乱れも加わったのか、まだティーンなのに更年期? と思うほどのひどい冷えのぼせを感じるように。

夕方、教室に西日が入ってくる時間帯など、クラスの私以外みんながセーターを着込んでいるのに私は顔を真っ赤にしてブラウス1枚になり、ブラウスの腕をまくりあげ、ネクタイをゆるめて下敷きで顔をあおいだりしていました。それで手足は氷のように冷たいという……。

通学電車でも、車内が暑くてクラクラしてくるほどで、コートを脱ぎジャケットを脱ぎセーターを脱ぎ……という感じでした。

今でこそ、自分には自律神経の問題があったのだろうと推測することができますが、当時はともかく漠然と「自分がだらしないからだ。みんなこういうのを顔色にも出さないように我慢してるんだ。それに比べて私は……」と思っていました泣

制服のセーター、ブレザー、コートにはウールが使われており、これらはやはりチクチクしました。ウールなんてみんながチクチクするものだろうと思っていたので、みんな文句も言わず我慢して着ていて偉いなあ、などと思っていたものです。

大人になっても、不快なものを我慢して着ていた

大人になっても、自分が何が着られて何がダメなのかが分かっていませんでした。というか、「世間の皆さんはたとえしんどくてもお洒落とかのために我慢して着るという強靭な精神を持っているのだ」と思い込んでいたのです。

このため長いこと、のぼせやすいし首が痒くなりやすいからタートルネックは鬼門なのに頑張ってタートルネックを着たり、高級なウールなんだからこれぐらいはみんな耐えてるんだと思ってやはり首を真っ赤にしたりしながらウールのセーターを着たりしていました。長袖Tシャツの重ね着が流行れば、ゴソゴソして嫌なのに頑張って着てみたり、重たいし立ったり座ったりのときにもたついてしんどいロングコートを一生懸命着てみたり。
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