人に頼るのが苦手な自閉症息子、「できない」が言い出せず委員会活動で大ピンチ!?【発達性協調運動症(DCD)の医師解説も】
ライター:星あかり

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スバルは3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。幼稚園に入園するまでは「ちょっとぬり絵から個性がはみ出しているな」と感じたくらいで特に不器用さを感じたことはありませんでした。しかし幼稚園入園後は周りの成長に置いていかれる形で不器用が溢れ出たのです。そして小学生になってから「発達性協調運動症(DCD)」と診断され、作業療法士のリハビリに通っています。年相応に道具を使うことや体を動かすことに関しては基本的にサポートが必要なスバルの委員会活動でのお話です。

監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
スーパー不器用BOY
スバルは幼稚園での生活の中で、明らかに飛び抜けて不器用なことが発覚しました。
特に道具を使うことが苦手で、筆、はさみ、縄跳び、楽器はもちろん、日常生活の中でも服のボタンやファスナー、お弁当包みなど、あらゆることにサポートが必要でした。
小学校入学までにはボタン、ファスナー、お弁当包みなどの身の回りのことはどうにかマスターしましたが、常に年相応とは言えない不器用さで、図工や体育、算数など授業で使う新しい道具が出てくるたびに苦戦していました。学年が上がるたびに定規、コンパス、リコーダー、彫刻刀、裁縫道具、ミシン……次々と扱う道具が増えていきます。
もちろん日々練習を繰り返すうちに一人でも使えるようになった道具もあるのですが、とても初見で扱うことは難しく特別支援学級でも交流学級でも先生のサポートが必要なのでした。
特に道具を使うことが苦手で、筆、はさみ、縄跳び、楽器はもちろん、日常生活の中でも服のボタンやファスナー、お弁当包みなど、あらゆることにサポートが必要でした。
小学校入学までにはボタン、ファスナー、お弁当包みなどの身の回りのことはどうにかマスターしましたが、常に年相応とは言えない不器用さで、図工や体育、算数など授業で使う新しい道具が出てくるたびに苦戦していました。学年が上がるたびに定規、コンパス、リコーダー、彫刻刀、裁縫道具、ミシン……次々と扱う道具が増えていきます。
もちろん日々練習を繰り返すうちに一人でも使えるようになった道具もあるのですが、とても初見で扱うことは難しく特別支援学級でも交流学級でも先生のサポートが必要なのでした。
高学年になり始まった「委員会活動」でトラブル発生?
高学年になると委員会活動が始まりました。スバルは美化委員会に入りました。活動内容は校内の掃除の促進とリサイクルなど環境意識を高めるエコ活動です。
特に器用さを求められる委員会ではないと安心していました。ところがどっこい活動が始まって早々にスバルは「ぼく入る委員会間違えちゃったかも」と肩を落として帰宅しました。
話を聞いてみると、美化委員会のメインの活動の中に溜まったダンボールや古紙を紐で十字に縛ってリボン結びにする作業があると言うのです。スバルはまずリボン結びができません。それからダンボールのような大きなものを緩まないように十字に縛るのも難しいです。
思わず私も「それは入る委員会間違えたな」と言ってしまいました。
特に器用さを求められる委員会ではないと安心していました。ところがどっこい活動が始まって早々にスバルは「ぼく入る委員会間違えちゃったかも」と肩を落として帰宅しました。
話を聞いてみると、美化委員会のメインの活動の中に溜まったダンボールや古紙を紐で十字に縛ってリボン結びにする作業があると言うのです。スバルはまずリボン結びができません。それからダンボールのような大きなものを緩まないように十字に縛るのも難しいです。
思わず私も「それは入る委員会間違えたな」と言ってしまいました。
リボン結びの練習を始めてみたけれど……
とりあえずリボン結びの練習を始めました。
とはいえ、数年前から「マジックテープの靴は卒業して紐靴にしたい」という本人の希望をもとに、靴の買い替えのタイミングでリボン結びの練習をしていたので練習ははじめてではありません。しかしなかなかマジックテープの靴を卒業できずにいました。せっかくの機会なので今回は本格的に練習に取り組むことにしました。
まず靴紐より太く結びやすそうな紐を2色用意し、左右違う色の紐を結ぶ練習からスタートしました。これは幼稚園の時にハンカチでお弁当箱を包む練習をした時にもそうだったのですが、色が違うほうが穴にくぐらせるべき相手が目に見えて分かりやすいのです。
2、3日に1回くらいのペースで練習して、左右色の違う紐でのリボン結びをマスターするのに1か月。左右同じ色の紐でのリボン結びをマスターするのに半月。次は現場でも使うビニール紐での練習です。この素材がスバルにはとても難しく、なかなかマスターできません。
もちろんこの練習期間にも学校では委員会が行われ、ダンボールを結ばなければならない日がたくさんありました。スバルの同学年のメンバーは交流学級などで関わりがあるので、スバルが不器用なことを知っている子が多いのですが、6年生の委員長からは「ふざけてないで真面目に結んでください」と毎回注意されていました。
とはいえ、数年前から「マジックテープの靴は卒業して紐靴にしたい」という本人の希望をもとに、靴の買い替えのタイミングでリボン結びの練習をしていたので練習ははじめてではありません。しかしなかなかマジックテープの靴を卒業できずにいました。せっかくの機会なので今回は本格的に練習に取り組むことにしました。
まず靴紐より太く結びやすそうな紐を2色用意し、左右違う色の紐を結ぶ練習からスタートしました。これは幼稚園の時にハンカチでお弁当箱を包む練習をした時にもそうだったのですが、色が違うほうが穴にくぐらせるべき相手が目に見えて分かりやすいのです。
2、3日に1回くらいのペースで練習して、左右色の違う紐でのリボン結びをマスターするのに1か月。左右同じ色の紐でのリボン結びをマスターするのに半月。次は現場でも使うビニール紐での練習です。この素材がスバルにはとても難しく、なかなかマスターできません。
もちろんこの練習期間にも学校では委員会が行われ、ダンボールを結ばなければならない日がたくさんありました。スバルの同学年のメンバーは交流学級などで関わりがあるので、スバルが不器用なことを知っている子が多いのですが、6年生の委員長からは「ふざけてないで真面目に結んでください」と毎回注意されていました。
