発達障害息子が中学校で運動部デビュー!遅刻や忘れ物、思春期ならではの友達関係はどうだった?
ライター:もっつん

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息子のタクは小学1年生の時にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)と診断されました。小学2年生への進級を機に転籍して以降、中学3年生の卒業まで特別支援学級に在籍していました。
小学校から中学校へ進学する際にはたくさん不安もありましたが、大きく成長できた一つのきっかけは部活。
今回は特性がありつつ部活によって成長できた面や、友達トラブルの際に私がやったことを振り返りたいと思います。

監修: 森 しほ
ゆうメンタル・スキンクリニック理事
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックにて勤務。産業医として一般企業のケアも行っている。
・ゆうメンタルクリニック(上野/池袋/新宿/渋谷/秋葉原/品川/横浜/大宮/大阪/千葉/神戸三宮):https://yuik.net/
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なんとなく始めた卓球部、中学生活はまさかの理由で遅刻を連発
タクは中学校から卓球部に入部しました。なんとなく面白そうという軽い気持ちで入部を決めたようです。今まで触ったこともない卓球をいきなり始めると聞いた時はびっくりしましたが、顧問の先生が特別支援にも精通したベテランの先生だったこともありタクの挑戦を応援しようと考えました。タクが中学校になる頃、数年習っていたダンス教室を突然辞めることになり熱中できるものがなくなっていたという背景があったので、身体を動かせる運動部に入りたいんだろうなぁと思いました。
そんなタクは卓球にのめり込むのがとても早かったです。ラケットを握るとすぐに夢中になり、練習を重ねるごとにどんどん上達していきました。コツをつかむとさらに楽しくなり、放課後の時間があっという間に過ぎていきます。家に帰ってからもラケットを手放さず、夜遅くまで壁打ちをしていました。コンコンと響く音がなかなか止まらず、「もう遅いからやめてね」と何度声をかけたことか。
そんな変化の中で心配なことも出てきました。帰宅時間が遅くなることで、一人での寄り道が増えたのです。特に気になったのは「道端での石拾い」。タクは昔からキレイな石や面白い形の石を見つけるのが好きで、部活帰りに立ち止まっては夢中になって石を集めていました。部活の疲れを忘れてしまうほど熱中してしまい、気づけば日が暮れかけていることも。「ちゃんと帰れるかな?事故にあってないかな?誰かの敷地内で石拾いしてないかな?」と親としては心配が尽きませんでした。
さらに朝の登校時間にも影響が出始めました。ある日、先生から「タクくんが遅刻しました」と連絡があり、理由を聞くと「校庭で石を拾っていて、気づいたらチャイムが鳴っていた」とのこと。卓球への情熱と同じくらい、石拾いへの情熱も衰えてはいなかったようです。熱中できるものが見つかるのはうれしいけれど、好きな事には時間を忘れて夢中になりすぎてしまうタク。親としては「部活と日常生活のバランス、大丈夫かな?」と、少し気がかりな部分もありました。
その後、石拾いが収まるようにいろいろと対策をしてみました。校庭の砂利は希少石が含まれている可能性か限りなく低いことや、化粧砂利に使われている種類を実際に図鑑で調べたり、市街地で自然の化石が見つけられないことを説明し納得させるようにしました。日々の石探しは少しずつ減らしていき、そのかわりに天然石採掘で有名な観光地に家族旅行を計画したり、石の博物館に連れていき好奇心を満たしてあげられるようにしました。
そんなタクは卓球にのめり込むのがとても早かったです。ラケットを握るとすぐに夢中になり、練習を重ねるごとにどんどん上達していきました。コツをつかむとさらに楽しくなり、放課後の時間があっという間に過ぎていきます。家に帰ってからもラケットを手放さず、夜遅くまで壁打ちをしていました。コンコンと響く音がなかなか止まらず、「もう遅いからやめてね」と何度声をかけたことか。
そんな変化の中で心配なことも出てきました。帰宅時間が遅くなることで、一人での寄り道が増えたのです。特に気になったのは「道端での石拾い」。タクは昔からキレイな石や面白い形の石を見つけるのが好きで、部活帰りに立ち止まっては夢中になって石を集めていました。部活の疲れを忘れてしまうほど熱中してしまい、気づけば日が暮れかけていることも。「ちゃんと帰れるかな?事故にあってないかな?誰かの敷地内で石拾いしてないかな?」と親としては心配が尽きませんでした。
さらに朝の登校時間にも影響が出始めました。ある日、先生から「タクくんが遅刻しました」と連絡があり、理由を聞くと「校庭で石を拾っていて、気づいたらチャイムが鳴っていた」とのこと。卓球への情熱と同じくらい、石拾いへの情熱も衰えてはいなかったようです。熱中できるものが見つかるのはうれしいけれど、好きな事には時間を忘れて夢中になりすぎてしまうタク。親としては「部活と日常生活のバランス、大丈夫かな?」と、少し気がかりな部分もありました。
その後、石拾いが収まるようにいろいろと対策をしてみました。校庭の砂利は希少石が含まれている可能性か限りなく低いことや、化粧砂利に使われている種類を実際に図鑑で調べたり、市街地で自然の化石が見つけられないことを説明し納得させるようにしました。日々の石探しは少しずつ減らしていき、そのかわりに天然石採掘で有名な観光地に家族旅行を計画したり、石の博物館に連れていき好奇心を満たしてあげられるようにしました。
思春期の友達トラブルに困惑……親としてできること
卓球部に入ってすぐ、タクの実力はぐんぐん伸びていきました。努力の成果が目に見えて分かるのはうれしいこと。でも、その急成長が思わぬトラブルを引き起こしました。
ある日タクが「最近、部活がちょっと嫌だなぁ」とぼそっとこぼしました。詳しく聞くと、一緒に練習していた友達がタクの上達を快く思わず嫉妬から無視をしたり、わざとラリーを途中でやめたりしてくるというのです。先生の目の届かないところで起きる静かな対立。中学生という多感な時期だからこそ生まれる、複雑な人間関係でした。
「なんでそんなことするんだろう?」とタクは戸惑っていました。勝ち負けにこだわるスポーツの世界ではライバル心が生まれるのは当然。でもタク自身は「卓球が楽しいからやっているだけ」。そんな純粋な気持ちでいるからこそ、友達の態度が理解できず、どう接したらいいのか悩んでいました。
私もすぐに解決策を見つけてあげることはできませんでした。無理に「気にしないで」と言うのも違う気がしたし、親が介入する問題でもない。でも一つだけできることがありました。それは、タクの気持ちに寄り添うこと。「それは嫌だったね」「そりゃモヤモヤするよね」とタクの話に同調しながら、時には「私だったらこう言い返すけどなー!」なんて冗談を交えたり。「そういうの、あるよね」「でもさ、タクが頑張ってる証拠でもあるよね」そんな風に話しているうちに、タクも少し気持ちが軽くなったようでした。
部活の中のトラブルは、どうしても避けられないもの。それでも一人で抱え込まずに家で話してくれて良かったなと思いました。
ある日タクが「最近、部活がちょっと嫌だなぁ」とぼそっとこぼしました。詳しく聞くと、一緒に練習していた友達がタクの上達を快く思わず嫉妬から無視をしたり、わざとラリーを途中でやめたりしてくるというのです。先生の目の届かないところで起きる静かな対立。中学生という多感な時期だからこそ生まれる、複雑な人間関係でした。
「なんでそんなことするんだろう?」とタクは戸惑っていました。勝ち負けにこだわるスポーツの世界ではライバル心が生まれるのは当然。でもタク自身は「卓球が楽しいからやっているだけ」。そんな純粋な気持ちでいるからこそ、友達の態度が理解できず、どう接したらいいのか悩んでいました。
私もすぐに解決策を見つけてあげることはできませんでした。無理に「気にしないで」と言うのも違う気がしたし、親が介入する問題でもない。でも一つだけできることがありました。それは、タクの気持ちに寄り添うこと。「それは嫌だったね」「そりゃモヤモヤするよね」とタクの話に同調しながら、時には「私だったらこう言い返すけどなー!」なんて冗談を交えたり。「そういうの、あるよね」「でもさ、タクが頑張ってる証拠でもあるよね」そんな風に話しているうちに、タクも少し気持ちが軽くなったようでした。
部活の中のトラブルは、どうしても避けられないもの。それでも一人で抱え込まずに家で話してくれて良かったなと思いました。
人との距離感が近いタク……でもそれが長所になるスポーツという場所
運動部に入ると他校との試合や合同練習があり、小学校との違いを感じました。遠征のたびに「ユニフォームを忘れた!」「シューズを忘れた!」と、私は振り回されっぱなし。準備の大切さを何度伝えてもなかなかうまくいきません。その頃は私自身も発達障害と診断されていて日々苦労の連続でした。それでも顧問の先生がサポートしてくださり、なんとか乗り越えることができました。具体的には、試合の日程の連絡は口頭だけではなくタクにメモを取るよう指示してくれたり、直接電話で連絡してくれたり本当に感謝ばかりの日々でした。
本番に弱いタクは、緊張からミスを連発し試合にはなかなか勝つことができませんでした。でも、試合後の合同練習では良い意味で目立っていました。顧問の先生は「どんどん他校の生徒と練習試合しておいで」と声をかけていましたが、ほとんどの子が遠慮して動きませんでした。そんな中、タクは持ち前の人懐っこさで初対面の子たちにもどんどん声をかけ、たくさんの試合をこなしていました。その事は他校の顧問の先生からも褒めていただいて、親として誇らしい気持ちになりました。
特別支援学級に在籍していることを知らない他校の生徒たちは、タクのことを特別視することなく自然に接してくれていたようです。タク自身も純粋に卓球を楽しみながら、いつの間にか仲間を増やしていました。中学校生活では、実は細かいトラブルもたくさんありました。それでも部活という存在のおかげでタクは良い汗をかき、充実した3年間を過ごせたのではないかと思います。
本番に弱いタクは、緊張からミスを連発し試合にはなかなか勝つことができませんでした。でも、試合後の合同練習では良い意味で目立っていました。顧問の先生は「どんどん他校の生徒と練習試合しておいで」と声をかけていましたが、ほとんどの子が遠慮して動きませんでした。そんな中、タクは持ち前の人懐っこさで初対面の子たちにもどんどん声をかけ、たくさんの試合をこなしていました。その事は他校の顧問の先生からも褒めていただいて、親として誇らしい気持ちになりました。
特別支援学級に在籍していることを知らない他校の生徒たちは、タクのことを特別視することなく自然に接してくれていたようです。タク自身も純粋に卓球を楽しみながら、いつの間にか仲間を増やしていました。中学校生活では、実は細かいトラブルもたくさんありました。それでも部活という存在のおかげでタクは良い汗をかき、充実した3年間を過ごせたのではないかと思います。
