「大人は約束を守ってくれない」年長発達障害息子、お泊まり保育で不満爆発!?幼稚園を嫌がるように…

ライター:河野りぬ
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現在、小学2年生で特別支援学級在籍のASD(自閉スペクトラム症)+ADHD(注意欠如多動症)診断のある息子。療育に通うきっかけにもなった最初の“行きしぶり”のお話です。

幼稚園年長の5月(連休明け頃)から徐々に登園しぶりが始まり、お泊り保育をきっかけに、ついに幼稚園に入ることさえできなくなってしまいました。

「先生たちは嘘ばっかり!」と強く主張し、誰の声にも耳を貸さなくなった息子。
小学校入学を目前に母親としての焦りと、子どもの特性を理解する難しさを実感した出来事です。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

徐々に始まった「行きしぶり」。きっかけは、友だちとの遊び方の変化

現在、小学2年生で特別支援学級在籍のASD(自閉スペクトラム症)+ADHD(注意欠如多動症)診断のある息子。療育に通うきっかけにもなった最初の“行きしぶり”のお話です。

春が過ぎ、年長さんになった頃。クラスの子たちは少しずつ成長し、個別の遊びから小さい集団の遊びを経て、「鬼ごっこ」や「だるまさんが転んだ」など大人数での遊びを楽しむようになってきていました。

もともと息子は、自分の世界観の中で冒険ごっこや空想遊びを広げていくのが好きなタイプ。いつも同じ仲の良い友だちを巻き込んで、自分の意見が通りやすい少人数で遊んでいました。そんな彼にとって「みんなで遊ぶ」スタイルは馴染みのない子が突然入ってきたり、集団のルールや空気を読まなければならない事が増えたりで、そういった事への苦手さから不安や緊張に繋がってしまったのかもしれません。

保育参観や普段の送迎の前後、遠くから様子を見ていると、園の中で「◯◯やろうぜ!」と人が集まりだした時に、あーあ……という感じで、スッとその場から離れていく様子を見かける事が増えました。そしてだんだんと朝になると「行きたくないな」「つまんない」とつぶやくことが増え、少しずつ「行きしぶり」が始まりました。

「すぐ帰れるって約束したのに!」 お泊り保育キッカケで不満爆発

お泊まり保育にもあまり前向きになれなかった息子
お泊まり保育にもあまり前向きになれなかった息子
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そういった経緯もあってか、息子はお泊まり保育にもあまり前向きになれず、当日の朝も「嫌だ! 絶対行かない!」の大合唱。それでも「もし嫌になったら、すぐ迎えに行くから大丈夫だよ」と約束をして、なんとか当日、園へ送り出しました。先生にもそのことは伝えてありましたが、「せっかくの経験だからできるだけ長く参加してもらいたい」と、帰りたがる息子をあの手この手で引き止めてくださっていたようです。

もちろん、先生たちは息子のことを思って声をかけてくれていたのですが、その“引き止める言葉”の数々が、息子には「約束と違う」「嘘をつかれた」と感じられてしまったようでした。

「○○したら帰れるって言ったのに、また“もうちょっと頑張ってみようか”って、嘘ばっかり!」という具合に、このイベントを境に先生との信頼関係が崩れてしまったのです。夜になっても、どうしてもみんなと一緒に眠ることができず、「帰る」の一点張り。
結局、困り果てた先生から夜の11時頃になって「お迎えをお願いします」と連絡が入りました。

こういった対応をされた時、きっと多くの子は振り返ってみた時に「なんだかんだ、あの時に引き止めてもらえてよかった」と感じることが多いと思います。しかし息子の場合はそうしたポジティブな気持ちにはつながらず、「大人は約束を守ってくれない。信じられない」という印象だけが強く残ってしまいました。

今思うと、こうした受け止め方や言葉の受け取り方の独特さも、息子の特性の一つなのかもしれないなと思っています。
「大人は約束を守ってくれない。信じられない」という印象が強く残ってしまい……
「大人は約束を守ってくれない。信じられない」という印象が強く残ってしまい……
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「約束したよね?」「前に言ったじゃない!」パニックになる息子

その日をきっかけに、息子の「幼稚園に行きたくない」という気持ちは、より強固なものになっていきました。朝、登園しようとすると断固として拒否。説得を試みると、パニックになってしまうこともありました。しかも息子は、私や先生のちょっとした発言をとてもよく覚えていて、「前にこう言ったよね?」「約束したじゃないか!」「前と同じことがまた起きる!」と、細かいことまで繰り返し訴えてきたのです。

大人としては「励まし」や「配慮」のつもりだった言葉も、息子にとっては「約束を破られた」「信じていたのに裏切られた」といった体験として、深く心に残ってしまっていたようでした。

それからしばらくの間は、私が一緒に教室に入り、“1時間だけ保育室で過ごして帰る”という日々を繰り返すことに……。最初の頃は、教室でも私にしがみついたまま周囲を見ることもできず、目をつぶって、周りの声かけにも反応しない様子でした。

クラスの友だちは、息子が急に目を合わせなかったり、挨拶しなかったりする様子に戸惑いながらも、「まあいいか」としばらくすると気に留めず受け止めてくれるようになりました。「いろんな子がいるよね」という空気がある園だったことは、本当に救いでした。

その頃も療育にはなんとか通えていたものの、なかなか支援員さんを信用することができず、「ああ言ったかと思えば、こう言ったり」と、まるで試すような振る舞い(試し行動)が続きました。
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