「笑ってはいけない」場面が分からない!小6自閉症息子へのTPO教育。効果的な伝え方は?

ライター:星あかり
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息子のスバルは年相応と言うよりは少し幼く、小学6年生になった今でも下ネタを察知すると3歳の頃と同じテンションで笑い転げます。時には笑うには不謹慎だと思える場面でも笑ってしまいます。
子どもあるあるなので成長とともに学び、落ち着くものだと思っていましたが、スバルはなかなか落ち着きません。年齢が上がってきたのにいつまでも変わらない笑いのツボに危機感を覚えた私は、スバルと「笑ってはいけない日常生活におけるアレコレ」について話すことにしました。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

笑いのツボが幼い小6息子

笑ってはいけない場面で吹き出しそうになることは大人でもありますが、スバルの場合そもそも「笑ってはいけない場面」を年相応には理解できていない気がします。笑いのツボ自体も一般的な小学6年生より幼いように感じます。

具体的な笑いのツボは小学生にあるあるな下ネタなどです。全然笑うような場面じゃなくてもこれらのキーワードがトリガーとなり笑い転げてしまうのです。

以前夫が着替えている時、洋服の入った引き出しが落ちて夫を直撃してしまい、パンツ一丁で床に転げて痛みに悶えたことがありました。大きな音と夫の悲鳴を聞き、私とスバルは急いで寝室へ駆けつけました。私は状況を把握し、夫の無事を確認しましたが、スバルはパンツ一丁で床で悶える夫の姿に大爆笑していました。

ある時は私が体調を崩し、「体調不良で寝ていたいのに処方された薬の副作用で下痢が出て、何度もトイレに行くのがつらい」と話していました。客観的に見ればつらい状況にあるにもかかわらず、前後の文脈や状況を無視して「下痢」と言うキーワードだけに反応して笑い転げていました。

さすがにこれは良くない傾向だと思い、スバルに厳しめに注意することにしました。もちろんこれまでも、不謹慎な場面で笑った時には注意をしてきました。しかし家の中でのそう言う笑いは子どもあるあるだと思って「こんな時笑うもんじゃないよ」と軽く注意したりはするものの、なあなあになっていました。

しかしこの度、年齢が上がってきたのにいつまでも変わらない笑いのツボに危機感を覚えた私はスバルと真剣に話をすることにしました。

笑ってはいけない事例リスト

不謹慎な場面で笑ってしまった時「子どもだから」と許される年齢ではなくなってくること。スバルが笑うことで傷つく人、怒る人、悲しい人がいること。スバルが今まで実際に笑ってしまった場面を思いつく限り「なぜ笑ってはいけなかったのか」解説しながら、デメリットを説明しました。すぐに「基本的な笑ってはいけない場面」は理解することができました。

しかしこれで解決するほど簡単ではありません。
スバルが「以前、こんな場面で笑って注意されたから、同じ場面では笑わない」とその場面をルールとして認識しても、類似しているけど少し違う場面で応用できず笑ってしまうこともありました。

例えば、「悲しいニュースの途中でアナウンサーが言葉を噛んでしまった場面では笑わない」と認識していても、悲しいニュースの途中で映像が乱れてアナウンサーが半目のまま画面が固まってしまったときにスバルは笑っていました。
もしも小学生の頃の私が「真面目なニュースでアナウンサーが噛んでも笑ってはいけない」と注意されたなら、「アナウンサーが真面目なニュースの途中の半目になってしまった」ことも同じように笑ってはいけないと考えただろうと思いますが、スバルにとってそれはイコールで結びつかないようでした。

スバルが不謹慎な場面で笑うたびに、笑ってはいけない理由と過去の類似した事例を根気強く伝えました。頭の中で「笑ってはいけない事例リスト」が増えていき、少しずつ類似した事例を結びつけて笑いを堪えられるようになってきました。

判断が難しい?笑っても許される場面

笑ってはいけない事例リストを強化できても、判断が難しい場面もあります。

例えば本当は笑うには不謹慎な事例であっても、友だちだけ、家族だけしかいない場で笑ってしまうこともありますよね。それは暗黙の了解で「ほかの人には秘密」「ほかの人がいる場所では笑わない」があって成り立っていると思うのですが、スバルにはその判断が苦手なようです。
暗黙の了解の判断が難しい!
暗黙の了解の判断が難しい!
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この辺りの説明は難しいので、現時点では「笑っていいのかダメなのか判断がつかない時は、基本的には笑わない」と伝えています。まだまだ失敗はあるので今後も地道にスバルの中の「笑ってはいけない事例リスト」を増やして、どんな場面に遭遇しても自分で判断できるようになれば良いなと思います。
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