一般的に、高校進学の志望校は夏休み前にはおおよその方向性が決まり、夏休み中に学校見学やオープンスクールに参加するご家庭が多いと思います。しかし当時の息子は、通信制高校という選択肢をまったく考えていませんでした。むしろ「就職したい」と話しており、私は就労支援の合同説明会に足を運んだほどです。ところが、就労支援の利用は18歳以上が対象。中等部卒業直後に就職することは現実的ではありません。ならば「通学できなくても特別支援学校高等部に形だけでも進学しようか……」というところでした。

そんな時、特別支援学校の先生が「じゃあ通信制高校はどう!?」と勧めてくださり、そのひと言が息子の気持ちを大きく動かしました。そしてその日の夜からすぐに、私の『通信制高校探し』の日々が始まりました。

各学校から資料を取り寄せ、説明会に行き始めたのは9月でした。おそらく中学3年生の保護者のスタートとしてはかなり遅いと思います。でも立ち止まってはいられません。週末ごとにどこかの学校の説明会や個別相談へ参加し、とにかく情報を集めることに必死でした。

調べてみると、通信制高校のオープンキャンパスや学校説明会は12月ギリギリまで開催しているところが意外と多くありました。どうやら、わが家と同じように進路がまだ固まっていないご家庭も少なくないようでした。その中で、複数の学校が一度に集まる「合同説明会」に参加してみることにしました。

合同説明会では各学校で開催される大人数の説明会とは違い、それぞれのブースで直接質問できる貴重な場です。私は、事前に息子の特性に関する質問をいくつかメモして臨みました。

通信制高校には（一般の高校と同様に）特別支援学級がありません。さらに、保健室自体を設けていない学校もあります。だからこそ、どうしても確認しておきたいことがありました。

・息子のパニック発作が起きた場合、学校側でどのような対応が可能なのか
・1人で公共交通機関に乗れないため、慣れるまで母子付き添い登校は可能か

この2点は、息子が安心して通えるかどうかを判断するために、どうしても欠かすことのできない質問でした。

ここで一番苦労したのは、パニック発作に関する説明と理解です。

息子の場合、人が多いところや緊張が高まると、震えてその場にいられなくなったり、大声で叫んだり暴れることがあります。大抵は静かで涼しい場所に移動し、水分を取らせ、話題を変えて不安を取り除いていくと落ち着くのですが、学校はやはりそれが難しい場所です。

・別室で落ち着けるよう配慮します
・特別支援の資格を持つ先生がいるので対応できます

など力強い回答が帰ってくる学校もありました。一方で「近くに病院があるので大丈夫です」とだけ答える学校もありました。ここで誤解してほしくないのは「配慮を！」と大きな声で言いたいのではなく、なるべく迷惑をかけずに安心して通える学校を選びたいということです。無理なことは無理だと学校側からもあらかじめ言っていただけることが、双方のためでもあります。

せっかく直接お話を伺える機会ですので、進学への不安はすべて相談しました。その結果、「ここなら大丈夫」と思える最終候補の2校に絞れたのは、11月の終わりでした。それでもなお、学校見学を行っている学校はまだありました。