感染症で家族全員ダウン!?食事の心配も…自閉症兄妹の「お母さんは寝てて」に母感動
ライター:花森はな
Upload By 花森はな
わが家には通信制高校2年生のASD(自閉スペクトラム症)と強度行動障害のある息子と、同じくASD(自閉スペクトラム症)の娘がいます。不登校にまつわる心身の不調はありましたが、元々ふたりとも体が丈夫で、日頃からの感染対策もあり、これまで風邪や感染症にかかることはほとんどありませんでした、しかしこの度、とうとう家族全員がコロナで倒れてしまったのです。今回はその時の話を書きたいと思います。
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
忍び寄るコロナ…まさかのトップバッターは!?
学校関連のこととなると、「体が動かない」「起き上がれない」「頭痛がする」「お腹が痛い」……など、途端に不調を訴えるわが家の子どもたちですが、実は風邪をひくことは数年単位でありませんでした。私自身もほとんど風邪とは無縁で、家族そろって病気知らず。明らかに不摂生と思われる生活をしている息子でさえ、健康診断はオールクリア。血液検査に至っては、児童精神科の担当医も驚いたほどです。感染対策も続けてはいたものの、少し気持ちの油断もあったのかもしれません。コロナ禍に突入してから一度もかかっていないこともあり、「このまま逃げ切れるかもしれない……!?」という淡い期待も心のどこかにありました。
そんな時、コロナは忍び寄ってきたのです。
最初に感染したのは、実はほぼひきこもりだった息子でした。感染する少し前から、積極的に散歩に出るようになっていて、その散歩中にどこかでもらってきたようです。しかし、早すぎたためかかかりつけの小児科での検査は陰性。熱で体力をかなり奪われていたので、点滴をしてもらい帰宅すると翌日にはかなり元気になっていました。
問題はその翌々日です。娘と私が突然高熱を出しました。今まで経験した熱とは完全に違い「あぁこれはコロナだな。終わった……」と瞬間的に思いました。
そんな時、コロナは忍び寄ってきたのです。
最初に感染したのは、実はほぼひきこもりだった息子でした。感染する少し前から、積極的に散歩に出るようになっていて、その散歩中にどこかでもらってきたようです。しかし、早すぎたためかかかりつけの小児科での検査は陰性。熱で体力をかなり奪われていたので、点滴をしてもらい帰宅すると翌日にはかなり元気になっていました。
問題はその翌々日です。娘と私が突然高熱を出しました。今まで経験した熱とは完全に違い「あぁこれはコロナだな。終わった……」と瞬間的に思いました。
備えあれば憂いなし!…でも調理はどうしよう?
私と娘にコロナの陽性反応が出たので、息子も今なら判定が出ると思ったのですが、体の大きな息子をもう一度病院に連れて行くことは今の私の体力ではとてもじゃないけど無理でした。幸い息子はすぐに解熱し、点滴でかなり元気になっていたため、そのまま様子見。私と娘は療養生活に入りました。
日頃から、食料の備蓄だけはしっかりとしていました。その理由は、もし大きな災害が起きた時、集団が苦手な子どもたちはきっと避難所には行けないだろうから、限界まで自宅にいる覚悟をしていたのです。食材の定期配達も頼んでいましたし、SNSで状況を呟くと、友人たちが救援物資を送ってくれました。物資的には足りていたのですが、「世の中から見放されていない」「心配してくれる人がいる」ことが心の底からありがたく、高熱で弱りきった心にじんわりと響きました。
そして備蓄している食料はあるものの、問題は調理です。いくら簡便とはいえ、さすがにセッティングしなきゃダメだよな……でも体がつらくて動けないな……と思っていたところに、2日早く罹患していた息子の登場です。
「自分のごはんは自分でするから。お母さんは寝とき」
と言って、比較的軽症だった娘と共に、自分たちの食事の用意をしてくれたのです。長年うつのような状態でひきこもっている息子を見てきた私は、驚きのあまり涙が引っ込んでしまいました。
日頃から、食料の備蓄だけはしっかりとしていました。その理由は、もし大きな災害が起きた時、集団が苦手な子どもたちはきっと避難所には行けないだろうから、限界まで自宅にいる覚悟をしていたのです。食材の定期配達も頼んでいましたし、SNSで状況を呟くと、友人たちが救援物資を送ってくれました。物資的には足りていたのですが、「世の中から見放されていない」「心配してくれる人がいる」ことが心の底からありがたく、高熱で弱りきった心にじんわりと響きました。
そして備蓄している食料はあるものの、問題は調理です。いくら簡便とはいえ、さすがにセッティングしなきゃダメだよな……でも体がつらくて動けないな……と思っていたところに、2日早く罹患していた息子の登場です。
「自分のごはんは自分でするから。お母さんは寝とき」
と言って、比較的軽症だった娘と共に、自分たちの食事の用意をしてくれたのです。長年うつのような状態でひきこもっている息子を見てきた私は、驚きのあまり涙が引っ込んでしまいました。
いつのまにか増えていた、子どもたちの「できること」
小学校6年生から始まった息子の不登校生活は、「昼食を自分で用意してもらうこと」から始まりました。最初は冷凍食品の温めからスタートしましたが、今では動画サイトやSNSのレシピを見ながら簡単な調理もサクッとできます。その積み重ねが、今まさに実を結んだのです。
調理をしてくれたのは息子だけではありませんでした。中学1年生の娘も、熱が下がって動けるようになると自分の分は自分で用意するようになりました。娘は偏食がかなりひどく、食材を極端に細かく切り刻んだり、その時ブームなものを毎日延々と食べ続けたりと、食に対するこだわりが一番強い子です。それでも今回は、いまだに熱が長引く私を気遣ってか、自分の食べられるものを自ら考え作ってくれました。本当に助かりました。
結果、一番症状が長引いたのは親である私なのですが、子どもたちの心配をしながらハラハラ寝込むのではなく己の回復だけに集中して療養させてもらえたのは母になって初めてで、少しずつ料理に触れさせてきてよかったと心から思いました。
投薬管理はさすがに私でないとできないので、その時はなんとか布団から這い出て服薬させましたが、いつかこれも自分たちで管理できるようになる日が来るのかもしれません。
調理をしてくれたのは息子だけではありませんでした。中学1年生の娘も、熱が下がって動けるようになると自分の分は自分で用意するようになりました。娘は偏食がかなりひどく、食材を極端に細かく切り刻んだり、その時ブームなものを毎日延々と食べ続けたりと、食に対するこだわりが一番強い子です。それでも今回は、いまだに熱が長引く私を気遣ってか、自分の食べられるものを自ら考え作ってくれました。本当に助かりました。
結果、一番症状が長引いたのは親である私なのですが、子どもたちの心配をしながらハラハラ寝込むのではなく己の回復だけに集中して療養させてもらえたのは母になって初めてで、少しずつ料理に触れさせてきてよかったと心から思いました。
投薬管理はさすがに私でないとできないので、その時はなんとか布団から這い出て服薬させましたが、いつかこれも自分たちで管理できるようになる日が来るのかもしれません。
回復したらそのあとは…?これからのわが家の課題
コロナ療養期間が終わっても、免疫力の低下からかもう一度風邪を引いてしまったりと、中々体調が戻らなかったのですが、体調が戻ってすぐにしたことは掃除でした。そして次に、備蓄食品の見直しを改めて行いました。今回いざ備蓄食品に頼ろうとしたところ、いくつか賞味期限切れのものが見つかったからです。
今回子どもたちに 調理をしてもらったことによって、「現在の子どもの好み」や「何が本当に役に立つか」が見えるきっかけにもなりました。
「このフリーズドライスープはまた買っておいてほしい」
「じゃあローリングストックにしよう」
「このレトルトはあんまりやった。まだ残ってるけど」
「次からは買わんとこう」
「お菓子はもうちょっとあってもいいと思う」
「そうやなぁ、非常食にもなるもんなぁ。ロングライフパンも助かったな」
そんな会話をしながら、保存食品も子どもたちが取りやすい場所へ移動しました。病気はできることならあまりしたくないけれど、自分以外の視点が入ることで、改めて生活動線を見直せるのはいいなと思いました。
そしてふと、自分自身が子どもの頃、病気の時に隣の部屋に親がいるのを確認して安心した時の気持ちを思い出しました。今回子どもたちがいてくれたことが、私にとって、ものすごく救いになりました。
どうしても日頃は子どもの「できないこと」に着目してしまいがちです。特に支援が必要な子どもなら尚更で、私も必要以上に手助けしすぎていたのかもしれません。意外と子どもたちは生活できましたし、自分にできることをそれぞれきちんとこなせました。これは「いざとなったらなんとかできる」という子どもたちの自信にもなったのではないかなと思います。
今回子どもたちに 調理をしてもらったことによって、「現在の子どもの好み」や「何が本当に役に立つか」が見えるきっかけにもなりました。
「このフリーズドライスープはまた買っておいてほしい」
「じゃあローリングストックにしよう」
「このレトルトはあんまりやった。まだ残ってるけど」
「次からは買わんとこう」
「お菓子はもうちょっとあってもいいと思う」
「そうやなぁ、非常食にもなるもんなぁ。ロングライフパンも助かったな」
そんな会話をしながら、保存食品も子どもたちが取りやすい場所へ移動しました。病気はできることならあまりしたくないけれど、自分以外の視点が入ることで、改めて生活動線を見直せるのはいいなと思いました。
そしてふと、自分自身が子どもの頃、病気の時に隣の部屋に親がいるのを確認して安心した時の気持ちを思い出しました。今回子どもたちがいてくれたことが、私にとって、ものすごく救いになりました。
どうしても日頃は子どもの「できないこと」に着目してしまいがちです。特に支援が必要な子どもなら尚更で、私も必要以上に手助けしすぎていたのかもしれません。意外と子どもたちは生活できましたし、自分にできることをそれぞれきちんとこなせました。これは「いざとなったらなんとかできる」という子どもたちの自信にもなったのではないかなと思います。
最終目標は「みんなが安心して寝込めるシステム」に
今回こうしてコロナになって痛感したのは「子どもたちの成長」でした。かつてインフルエンザに同時に罹患した時は、熱で朦朧とする中子どもたちの食事を作っていたけれど、今は子どもたちが自分で自分の食事を用意し、なんなら私にも「食べれる?いるなら作ろうか?」と気遣ってくれます。高熱で気を失いそうになりながら子どもたちを目で追いかけなくても、それぞれ自分のことをしてくれています。
特性ゆえの「片づけが苦手」というのがあるので、キッチンの流し台はちょっと大変なことになっていましたが、それも少しずつ教えていきたいと思います。家族全員が安心して寝込めるシステム作りをしていきたいです!
特性ゆえの「片づけが苦手」というのがあるので、キッチンの流し台はちょっと大変なことになっていましたが、それも少しずつ教えていきたいと思います。家族全員が安心して寝込めるシステム作りをしていきたいです!
執筆/花森はな
(監修:初川先生より)
一家全員新型コロナ感染症に罹患されたとのこと、大変でしたね……!しかし、その際に、息子くんや娘さんの成長に気づかされ、救われ、はなさんご自身は療養することができたとのこと、何よりです。不幸中の幸いを超えて、禍を転じて福と為すというほどの、お子さん方の成長っぷりでしたね。
息子くんの不登校生活の中で、昼食を自分で用意することに挑戦済であったことが今回大きな意味を持ちましたね。お子さんが不登校になると昼食どうするのかが悩ましい問題ではありますが、お子さんの興味や学年に応じて、自分でできる範囲の準備をしてもらうようにするのは1つ良い方法です。偏食のある娘さんも、自分で用意するからこそ、自分の食べられるものを工夫して準備できたのもよかったです。栄養のこと等気になる面もあるかもしれませんが、ピンチの際にはそんなことを言っていられないので、まずは数日しのげる食べ物を準備できればと思います。そして、日ごろからの食料の備蓄も奏功したとのこともよかったですね。障害のある方が災害時に福祉避難所にうまくいければいいですが(※福祉避難所についてはぜひ自治体のWebサイトなどからご確認ください)、近くの一般的な避難所に行くことを考えるとなかなか困難を伴いそうな場合は、どうしても自宅で過ごすことを検討されるのではと思います。そして、食料の備蓄は一度揃えればいいというものではなく、ローリングストックしていかないとうっかりダメにしてしまうので、維持し続けるのは結構大変だと感じていますが、そこの見直しまで今回及んだのもさすがだなと思いました。
日ごろは「できないこと」に目が向きがちで、と書かれていましたが、保護者の立場からすると、お子さんの日々や将来を案じることが多いのでどうしてもそうなりますね。ただ、こうした家族的には大きな事件、大ピンチに見舞われると、家族で助け合うしかないので、お子さんの成長に気づく機会にもなります。「私も必要以上に手助けしすぎていたのかもしれません。意外と子どもたちは生活できました」という気づき、まさにこれが禍を転じて、という感じがします。子どもたちは大変だったでしょうが、自信のつく出来事にもなったと思います。感染症で一家みんなダウンみたいなことはそうそう起きてほしくはないですが、そうしたピンチに、実は培われていた成長が確認できたとのこと、本当によかったと思います。
一家全員新型コロナ感染症に罹患されたとのこと、大変でしたね……!しかし、その際に、息子くんや娘さんの成長に気づかされ、救われ、はなさんご自身は療養することができたとのこと、何よりです。不幸中の幸いを超えて、禍を転じて福と為すというほどの、お子さん方の成長っぷりでしたね。
息子くんの不登校生活の中で、昼食を自分で用意することに挑戦済であったことが今回大きな意味を持ちましたね。お子さんが不登校になると昼食どうするのかが悩ましい問題ではありますが、お子さんの興味や学年に応じて、自分でできる範囲の準備をしてもらうようにするのは1つ良い方法です。偏食のある娘さんも、自分で用意するからこそ、自分の食べられるものを工夫して準備できたのもよかったです。栄養のこと等気になる面もあるかもしれませんが、ピンチの際にはそんなことを言っていられないので、まずは数日しのげる食べ物を準備できればと思います。そして、日ごろからの食料の備蓄も奏功したとのこともよかったですね。障害のある方が災害時に福祉避難所にうまくいければいいですが(※福祉避難所についてはぜひ自治体のWebサイトなどからご確認ください)、近くの一般的な避難所に行くことを考えるとなかなか困難を伴いそうな場合は、どうしても自宅で過ごすことを検討されるのではと思います。そして、食料の備蓄は一度揃えればいいというものではなく、ローリングストックしていかないとうっかりダメにしてしまうので、維持し続けるのは結構大変だと感じていますが、そこの見直しまで今回及んだのもさすがだなと思いました。
日ごろは「できないこと」に目が向きがちで、と書かれていましたが、保護者の立場からすると、お子さんの日々や将来を案じることが多いのでどうしてもそうなりますね。ただ、こうした家族的には大きな事件、大ピンチに見舞われると、家族で助け合うしかないので、お子さんの成長に気づく機会にもなります。「私も必要以上に手助けしすぎていたのかもしれません。意外と子どもたちは生活できました」という気づき、まさにこれが禍を転じて、という感じがします。子どもたちは大変だったでしょうが、自信のつく出来事にもなったと思います。感染症で一家みんなダウンみたいなことはそうそう起きてほしくはないですが、そうしたピンチに、実は培われていた成長が確認できたとのこと、本当によかったと思います。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。