合唱部での出会いがくれた「自分は自分でいい」という自信

そして迎えた中学校生活。 特別支援学級に進んだ息子に、驚くべき変化が訪れました。

きっかけは部活動でした。音楽好きの息子が入部したのは、当時は女子部員ばかりだった「合唱部」。男子が一人入ったことで、みんなから「ありがとう!」と感謝され、温かく迎え入れられたのです。合唱部の仲間たちとは好きなものが近く、部活以外でも話をしたり、一緒に帰ったりするようになりました。

かつて「みんなと同じでありたい」ともがいていた息子は、今、こう言います。
「自分は自分でいいと思えるようになった。そのままでも受け入れてもらえている事実があるから」
他学年の先生や通級指導教室の生徒とも関わりが増え、テスト前には自分から机に向かうようにもなりました。特別支援学級という守られた環境にいながら、部活動という外の世界で認められた経験。その両方が、息子の自己肯定感を大きく育ててくれたのです。
「自分は自分でいいと思えるようになった」という息子
「自分は自分でいいと思えるようになった」という息子
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「この進学先でよかった」。迷いと葛藤の先に見つけた答え

小学校から中学校への進学という大きな節目。もしあの時、通級指導教室を選んでいたら、学習の遅れや周囲とのギャップなどが生まれた可能性もあり、まったく別の道に進んでいたかもしれません。今は「この進学先を選んでよかった」と心から思っています。進学先選びは本当に悩みますし、正解などないのかもしれません。ただ、自身の体験から言えることがあるとすれば、「なるべく本人の希望を第一に決めて、進ませてあげてほしい」ということです。

わが家の場合、最初は特別支援学級を拒否していた息子ですが、検査を受けて自分の特性を知り、納得して進路を決めました。そのプロセスがあったからこそ、「自分は自分でいい」という自信につながっているのだと思います。
イラスト/志士ノまる
エピソード参考/あずさ

(監修:新美先生より)
中学進学という大きな節目で、学びの場をどのように選んでいったのか、丁寧に聞かせていただきありがとうございます。通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校は、制度の運用や実際の雰囲気が地域や学校によって大きく異なります。そのため、「どこが良いか」を一般論だけで決めるのは難しく、地域の実情を踏まえた検討がとても大切になります。

学びの場を考える際には、学力だけでなく、友だちとの関係性、コミュニケーションの得意・不得意、情緒の安定、感覚の過敏さなど、さまざまな要素が絡み合います。さらに、担任の先生やクラスメイトとの相性といった、数値では測れない要因も大きく、「これが正解」と言い切れないからこそ、保護者の方が悩まれるのは自然なことだと思います。

その中で、息子さんが進学を前に自ら「クリニックに行きたい」と言い出したという点は、とても印象的でした。自分自身のことを知りたい、向き合いたいという気持ちが芽生えていたからこその行動であり、この経験がその後の選択を支える大きな土台になったのだと思います。検査結果を一つの材料として、専門家や周囲と相談しながら、最終的にご本人が納得して進路を選べたことは、何よりも大切なプロセスでしたね。進学先を選ぶ際には、先入観やイメージだけで判断せず、情報を集め、可能であれば実際に見学をし、現場の声にも耳を傾けながら、本人が「ここなら頑張れそう」と思える場所を一緒に探していくことが大切です。この体験談は、その過程そのものが、お子さんの自己理解と成長につながっていくことを教えてくれています。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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