余暇活動で大事にしている2つのポイント

余暇活動を実施するうえでのルールもありますが、押しつけがましくならないように、できるだけ柔軟に運用しています。というのも、最初は不安だったり、警戒したりしている参加者の子が少なくないからです。筆者の運営する「サードプレイス」はNPOなどではなく、筆者の研究活動がきっかけで生まれた場のため、私の研究や実践を知った大人(教師や支援者、保護者の人たち)に連れてこられたお子さんが多いです。その場合、本人にとっては「いきなり知らない場所に連れてこられた」感覚が強いこともあります。だからこそ、まず大切にしているのは、安心して過ごせる環境づくりです。

具体的には、2つのポイントを重視しています。1つは「正しいコミュニケーション」よりも「楽しいコミュニケーション」を大事にする、ということです。いわゆる社会的多数派(ソーシャルマジョリティ)の社会に適応するための社交的なふるまいを求めません。とっさに言葉が出なくて時間がかかってもいい。長い沈黙があってもいい。言い直してもいい。たどたどしくてもいい。コミュニケーションには正解も間違いもありません。自分の考えや思いを表現して相手に聞いてもらえる手応えと安心を感じること、それがコミュニケーションの出発点です。

そして、もう1つのポイントは、「その子の『好き』を決して否定しない」、もっと言えば、子どもに限らずその場にいるすべての人の「好き」が決して否定されない環境を保障することです。好きな作品やキャラクター、ゲームや鉄道、海洋生物などなど……。「好き」は言語の巧拙を超えて共有されやすく、他者との関係を結び直す入口になります。その「好き」の良し悪しは評価せず、「好き」があるという事実そのものを大切にします。「好き」はその人がその人らしく生きていくための原動力です。「好き」のエネルギーが少しずつ他者との関係をつなぎ、世界を広げていくプロセスを、余暇活動の場を通じて支えたいと考えています。

今後について

今後は、筆者が長年取り組んできた実践の1つ「TRPG」を題材にしながら、その活動の詳細や背景、子どもたちの参加の様子、活動を実施する際に工夫していること・大切にしていること、あと「起きそうなトラブル」を減らすための環境調整などについて、順を追って具体的にご紹介できればと思っています。また、TRPGだけでなく、好きな話題を言葉で共有する「趣味トーク」の実践などについても、別の機会に取り上げたいと思います。もちろんそれ以外の余暇活動の実践についても紹介しますし、「余暇」や「余暇活動」について、筆者の運営するグループの主な参加者である、「ASD(自閉スペクトラム症)」やその傾向のある子どもたちのことについてなど、活動自体の背景や根本についても触れていきたいと思っています。

家庭とも学校とも違う場、「サードプレイス」という場を発見したり創り上げたり継続したりするためには、その場をファシリテートしていくための工夫や役割分担、安全配慮などのことも気になると思います。そのあたりも含めて、このコラムが読者の皆さんを誘(いざな)う「地図」になっていければ幸いです。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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