【自閉症・未就学児】「長袖じゃないと嫌!」着替えで1時間パニック。今までの常識が通用しない「こだわり」の裏にあった意外な感覚【読者体験談】

ライター:ユーザー体験談
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真夏でも長袖長ズボンにこだわる息子。着替えのたびに繰り広げられる毎朝のバトルに、私はすっかり疲弊していました。そんな朝の時間を救ってくれた児童発達支援の先生からの提案と、一方で近所中に響き渡るほど大騒ぎしてしまった休日の出来事。今だから分かる息子の「感覚」について綴ります。【発達ナビではユーザーさんからの子育てエピソードを募集中!今回は「感覚過敏による衣服へのこだわり」についてのエピソードをご紹介します】

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。

毎朝の「着替えバトル」に疲弊する日々

この記事で分かること

  • 「季節に合った衣服を着てほしい」親心と、感覚過敏がある子どものすれ違い
  • 登園時の遅刻や着替えバトルを解消した、児童発達支援の先生からの柔軟な提案
  • 「暑さ」よりも「不快な服」への拒否感が勝ってしまう、特性の強さ
  • こだわりを受け止め、親子ともに楽になるための関わり方のヒント

お子さんのプロフィール
  • 年齢:11歳
  • 診断名:知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)
  • 診断時期:知的障害(知的発達症)3歳、ASD(自閉スペクトラム症)2歳、ADHD(注意欠如多動症)10歳
  • エピソード当時の年齢:3~5歳

息子がまだ小学校に入学する前、特に年少から年中の頃のことです。どんなに暑い日でも、息子は「長袖長ズボンがいい」と主張し、毎朝の着替えのたびに激しいバトルを繰り広げていました。

当時の息子はまだ単語しか話せず、自分の気持ちをうまく言葉にできませんでした。長袖長ズボンを持ってくるたびに「暑いから半袖半ズボンだよ」と言い聞かせようとしても、毎回怒り出し、手がつけられなくなります。試しに半袖半ズボンの格好をさせてみた際に、息子は必死に肘や膝を隠そうとしていたので、おそらく肘や膝が出る感覚そのものが嫌だったようです。

言葉での説得が通じないため、私はどう声かけをしていいか分からず、ただひたすら同じことを繰り返すばかりでした。着替えが思うように進まず、朝ごはんの時間も遅れ、児童発達支援事業所への登園時間もどんどん後ろ倒しになっていきます。下の子もまだミルクや離乳食が必要な時期。息子の着替えに数十分も取られることで、朝のスケジュールは崩壊していきました。当時の私は感覚過敏やこだわりに関する知識がなかったので、「なぜこれほど嫌がるのか」と不思議で仕方がないのと同時に、どうにもできない切なさも抱えていました。
「暑いから半袖半ズボンだよ」と言い聞かせようとしても、毎回怒り出してしまう息子
「暑いから半袖半ズボンだよ」と言い聞かせようとしても、毎回怒り出してしまう息子
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張り詰めた糸がほどけた、先生の一言

そんなある日、児童発達支援事業所の先生に登園時間が遅い理由を尋ねられ、思い切って現状を相談しました。すると先生は、「それほど朝が大変なら、長袖長ズボンで登園して、こちらで半袖半ズボンに着替えることにしましょう」と提案してくださったのです。
その言葉を聞いた瞬間、張り詰めていた糸がほどけ、心から「助かった」とほっとしました。この日を境に、毎朝の風景は劇的に変化します。息子は長袖長ズボンならスムーズに着替えてくれるため、出発までの数十分のロスがなくなり、わが家の朝にようやく平和が訪れたのです。

母子通園の事業所だったので、園に着いてから私や先生が「着替えようね」と声をかけると、時には嫌がる素振りを見せながらも着替えることができました。特にプールや泥んこ遊びなど、「目的のため」であれば、園でも自宅でもすんなり着替えることができたのは救いでした。
「それほど朝が大変なら、長袖長ズボンで登園して、こちらで半袖半ズボンに着替えることにしましょう」と提案してくれた先生に感謝
「それほど朝が大変なら、長袖長ズボンで登園して、こちらで半袖半ズボンに着替えることにしましょう」と提案してくれた先生に感謝
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「お店に行きたいのに着替えられない」炎天下での大騒ぎ

平日の問題は解決しましたが、休日は難関でした。家の中では本人の望む通り長袖長ズボンで過ごしていたものの、外出となるとそうはいきません。ある夏の、外が猛烈な暑さに見舞われた日のことです。息子の大好きなお店へ買い物に行くことになり、私は「長袖長ズボンでは出かけられないよ」と伝え、以前息子と話した際に出た“折衷案”である、七分袖・七分丈ズボンへの着替えを促しました。ところが、息子は火がついたように大騒ぎ。買い物に行きたい気持ちは強いので、家に戻って着替えをさせようとする私の手を振り払い、車に乗ろうとします。

近所中に響き渡るくらいの大声で泣き続けるため、事情を知らない人が見たら「虐待されているんじゃないか」と誤解されかねないほどです。室内は冷房で涼しいけれど、外は体温に近いほどの酷暑。「好きなお店に行きたいのに、どうして着替えられないの?」と、私にはまったく理解ができず、1時間もの間、家の前でそのやり取りを繰り返し、ただただ疲労困憊していました。

最終的に息子はパニックがおさまり、こちらの言葉が耳に入るようになったのか、諦めて着替えることができました。こだわりや感覚が嫌な気持ちというのは、「暑いから涼しい格好をしたい」という生理的な欲求を上回るくらい強いものなんだな、と驚かされました。
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