見つけた居場所を、また見失う
そうして順調な滑り出しを見せたかのように思われた放課後等デイサービスの利用なのですが、数回行ったのち、息子はやはり行けなくなってしまいました。
理由は、いくつかあります。
特に、部活帰りであろう高校生と帰宅時間が重なる帰り道がつらかったようです。制服姿の高校生たちが集団で自転車を漕ぎ、キラキラと楽しそうに笑っている。その横を、「小学生と遊んだ帰り道」の自分が通り過ぎる……。その落差は叫び出したくなるほど苦しく、「みんなと同じように学校に通えていたら、自分も歩めていたかもしれない別の未来」を、目の前に突きつけられているようだったのだと思います。そのことで、帰り道にパニックを起こしたこともありました。
そして、息子と改めて話をし「ゆっくりでいいから、学校への再登校を目指そう」というところにたどり着きました。
本当は、不登校になり始めた小学生の頃に居場所探しができていたらよかったのかもしれません。けれど当時は、息子の心も体も外に出られる状態ではありませんでしたし、今のように小中学生の支援もたくさんあるという訳ではなくちょうど過渡期だったのではないかなと思います。居場所を探すために外へ出られたのはやはり『今』でしたし、どうしても居場所を見つけたいという思いを手放すのも『今』なのだということに、親子で納得しています。
理由は、いくつかあります。
- 高校生の利用者がいなかったこと(中学生までが中心だった)
- 小学生との合同活動が、年齢差ゆえに負担になったこと
- 帰宅時間が高校生の下校時間と重なってしまったこと
- 「本来なら自分もあの中にいたかもしれない」という思いから、強い衝動を抑えられないこと
特に、部活帰りであろう高校生と帰宅時間が重なる帰り道がつらかったようです。制服姿の高校生たちが集団で自転車を漕ぎ、キラキラと楽しそうに笑っている。その横を、「小学生と遊んだ帰り道」の自分が通り過ぎる……。その落差は叫び出したくなるほど苦しく、「みんなと同じように学校に通えていたら、自分も歩めていたかもしれない別の未来」を、目の前に突きつけられているようだったのだと思います。そのことで、帰り道にパニックを起こしたこともありました。
そして、息子と改めて話をし「ゆっくりでいいから、学校への再登校を目指そう」というところにたどり着きました。
本当は、不登校になり始めた小学生の頃に居場所探しができていたらよかったのかもしれません。けれど当時は、息子の心も体も外に出られる状態ではありませんでしたし、今のように小中学生の支援もたくさんあるという訳ではなくちょうど過渡期だったのではないかなと思います。居場所を探すために外へ出られたのはやはり『今』でしたし、どうしても居場所を見つけたいという思いを手放すのも『今』なのだということに、親子で納得しています。
つながりは諦めない!探し続ける息子の居場所
居場所探しを諦めたからといって、人と関わることを諦めた訳ではありません。息子はオンラインではいくつかのグループに所属して、その時々の自分の気持ちや人間関係を見ながら、無理のない距離感で行き来しています。先日はオンラインでのゲーム大会にも出場しました。その様子を見守りながら、私も支援者の方も、息子のコミュニケーション能力は決して低くないと感じています。
また、18歳になれば就労支援の利用も可能になるので息子や自治体の方と相談しながら検討していきたいと思います。そういった状況をオンラインの友達も応援してくれていて、就労支援に通っている友だちが自身の経験からアドバイスをくれることもあります。やはり思春期の時期に同年代と悩みを分かち合うのは大切で、そこで言語化できたことで病院での自分の症状の説明や薬の効果を説明する力にもつながっているように思います。
障害のある不登校の高校生にとって、居場所探しは簡単なことではありません。家庭がいちばんの居場所でありたいと願うのは当然なのですが、家族以外にも助けを求めたい時、心の拠り所はたくさんあった方がいいと思います。そして、不登校の子どもを支える保護者の方にも、その迷いや痛みを分かち合える居場所がもっと増えたらいいなと心から願っています。
また、18歳になれば就労支援の利用も可能になるので息子や自治体の方と相談しながら検討していきたいと思います。そういった状況をオンラインの友達も応援してくれていて、就労支援に通っている友だちが自身の経験からアドバイスをくれることもあります。やはり思春期の時期に同年代と悩みを分かち合うのは大切で、そこで言語化できたことで病院での自分の症状の説明や薬の効果を説明する力にもつながっているように思います。
障害のある不登校の高校生にとって、居場所探しは簡単なことではありません。家庭がいちばんの居場所でありたいと願うのは当然なのですが、家族以外にも助けを求めたい時、心の拠り所はたくさんあった方がいいと思います。そして、不登校の子どもを支える保護者の方にも、その迷いや痛みを分かち合える居場所がもっと増えたらいいなと心から願っています。
執筆/花森はな
専門家コメント(臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
息子くんの「居場所」探しについてのコラムをありがとうございます。「不登校」が広く知られるようになり、不登校の児童生徒の居場所が昨今増えました。ただ、花森さんが書かれていたように、対象年齢が小中学生であるところは多い印象があります。高校生を(も)対象とした居場所は、自治体によって児童館の中高生版が設けられていたり、あるいは、NPO団体等が運営する若者向け(だいたい15歳~24歳向け)の居場所があったりするかなと思います。多くの場合、高校生が日中は登校しているという想定の下、夕方以降に賑わいを見せる開室状況なのではと思います。ただ、このあたりも、障害のある子に特化したものではないこともあり、パニックやトラブルが生じた際に、うまく対応してもらえるかといったあたりは実際に問い合わせて見学等してみないと分からないところでもあります。放課後等デイサービスは18歳まで利用できる枠組みではありますが、高校生年代のお子さんが多く集まるところかどうかは事業所によるかもしれませんね。
そういった意味で、「同世代の子と話したい」(単に話せればいいというだけでなく、安心安全である、不測の事態に対応できるスタッフがいる等の条件が見えない条件としてある場合)は、なかなか難しいかもしれません。学校という装置がいかにさまざまな機能を持っているのかということも感じますね。地域性(移動のしやすさ)の問題もあり、居場所はあってもアクセスしづらいエリアにお住まいの方もいるかもしれません。そこで、ネット上での仲間というのは1つ大きな存在だと感じます。単にコミュニケーションを取る以前に、ネットでの付き合いは概ね「好き」な何かのコミュニティから始まることが多いように感じます。何かしら共通点がある状態で関係を始められることはメリットですね。また、音声や文字、絵などのデータなど、交流方法も得意なものから始められる良さもあるように感じます。
居場所に関して思うのは、どの居場所でもそうですが、集う人たちとうまく関係を築けたとしてもその関係は永続的とは限らないということです。スタッフや利用者の入れ替わりがあったり、対象年齢が定められているところではいつか上限に達する日が来ます。そういう意味で、お子さんにとって大切にしたいと思うところをいくつか持っておけることは大事だろうと思います。ネット上の関係性も1つですし、リアルな場ももちろん大事な居場所です。のんびり過ごせる居場所のみならず、ときどき参加するゲームの大会もきっと大切な場の1つだと思います。定期的に行く、嫌じゃない美容室も心の拠り所になるかもしれませんし、好きなもの(食べ物や趣味の物)を売っているお店も店員さんと話せるときが来るかもしれません。ボランティア活動や地域活動がきっかけに交流が広がることもあります。はじめは挨拶程度の浅い付き合いでも、何度か顔を出していると“いつもの子”になることがあるだろうと思います。
実際には、コミュニケーションに関しては、居場所たる場所が見つかって、関係性ができ始めてからが(コミュニケーションの)学びや試行錯誤の始まりです。相談等の個別のコミュニケーションやサポートの場を並行して使えると、居場所での出来事を振り返り、次のやり取りに活かすという点で心強いように感じます。(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
そういった意味で、「同世代の子と話したい」(単に話せればいいというだけでなく、安心安全である、不測の事態に対応できるスタッフがいる等の条件が見えない条件としてある場合)は、なかなか難しいかもしれません。学校という装置がいかにさまざまな機能を持っているのかということも感じますね。地域性(移動のしやすさ)の問題もあり、居場所はあってもアクセスしづらいエリアにお住まいの方もいるかもしれません。そこで、ネット上での仲間というのは1つ大きな存在だと感じます。単にコミュニケーションを取る以前に、ネットでの付き合いは概ね「好き」な何かのコミュニティから始まることが多いように感じます。何かしら共通点がある状態で関係を始められることはメリットですね。また、音声や文字、絵などのデータなど、交流方法も得意なものから始められる良さもあるように感じます。
居場所に関して思うのは、どの居場所でもそうですが、集う人たちとうまく関係を築けたとしてもその関係は永続的とは限らないということです。スタッフや利用者の入れ替わりがあったり、対象年齢が定められているところではいつか上限に達する日が来ます。そういう意味で、お子さんにとって大切にしたいと思うところをいくつか持っておけることは大事だろうと思います。ネット上の関係性も1つですし、リアルな場ももちろん大事な居場所です。のんびり過ごせる居場所のみならず、ときどき参加するゲームの大会もきっと大切な場の1つだと思います。定期的に行く、嫌じゃない美容室も心の拠り所になるかもしれませんし、好きなもの(食べ物や趣味の物)を売っているお店も店員さんと話せるときが来るかもしれません。ボランティア活動や地域活動がきっかけに交流が広がることもあります。はじめは挨拶程度の浅い付き合いでも、何度か顔を出していると“いつもの子”になることがあるだろうと思います。
実際には、コミュニケーションに関しては、居場所たる場所が見つかって、関係性ができ始めてからが(コミュニケーションの)学びや試行錯誤の始まりです。相談等の個別のコミュニケーションやサポートの場を並行して使えると、居場所での出来事を振り返り、次のやり取りに活かすという点で心強いように感じます。(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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