【体験談】1歳5ヶ月、児童館で「15分の1」の現実。一人だけ立てなかった息子に「何かある」と悟った転換点

ライター:くら
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1歳直前で、ついにつかまり立ちをした息子のたまお。医師からも「1歳半まで様子見でいい」と言われ、ひとまず安心していました。しかし1歳5ヶ月の頃、ようやく参加できた児童館のイベントで、家の中だけでは気づけなかった「周囲との明らかな違い」を知ることになりました。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

「うちの子だけじゃない」という安心を求めて参加したイベント

1歳半前後になると、同級生との発達の差が目に見えて分かるようになってきます。周囲の人たちは「2歳までに歩けば大丈夫だよ」と、励ましの言葉をかけてくれましたが、私は勝手にほかの子とたまおを比べて、勝手に凹んで、心がざわついていた時期でした。

だからこそ、児童館の「同級生イベント」には期待していました。「ここに行けば、たまおと同じように、発達がゆっくりな子にも会えるはず」。そんな安心材料を探しに行くような気持ちでした。
1歳5ヶ月で参加した児童館イベントでの出来事
1歳5ヶ月で参加した児童館イベントでの出来事
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ダンスが始まった瞬間、目の前に広がったのは……

いざダンスの時間が始まると、驚きの光景が……
いざダンスの時間が始まると、驚きの光景が……
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イベントが始まると、さっそく楽しげな音楽が流れてきました。「さあ、みんなでお歌とダンスです!」というスタッフさんの声。

その瞬間、目の前の景色が一変しました。たまおの同級生たちが、一斉に立ち上がったのです。当然のように自分の足で立ち、リズムを取る子どもたち。座ったままのたまおの横で、私の視界に入ってきたのは、楽しそうに動くほかの子どもたちの「膝」ばかりでした。

「15分の1」という、直視せざるを得ない現実

同級生は立ってダンスをしている子ばかり
同級生は立ってダンスをしている子ばかり
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「15人中立てないのはわが子だけ」という現実に直面
「15人中立てないのはわが子だけ」という現実に直面
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焦った私は、必死に会場内を見渡しました。「誰か一人くらい、まだ立てない子がいるよね?」と、仲間を探すような気持ちで……。

けれど、どこを見ても座っている子はいません。参加した15組の親子の中で、立てないのはたまおだけ。

「15分の1」という現実を突きつけられ、これまで「個人差だから」「お医者さんに『様子見でいい』と言われたから」と自分に言い聞かせてきた言葉たちが、急に頼りなく思えました。
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「遅れているだけ」から「何かある」へ

それまでは「そのうち歩くでしょ」と楽観的に考えようとしてきました。でも、目の前の圧倒的な差は、もう無視できるものではありませんでした。「もしかして、たまおには何かあるんじゃないか?」「このまま、一生歩けなかったらどうしよう……」その場にいる誰もが楽しく過ごしている中で、自分たちだけがポツンと別の世界に放り出されたような、どうしようもない不安が込み上げてきました。

わが子と向き合い方が変わる「転換点」に

そんな私の心とは対照的に、何事もなかったかのようにイベントは終了しました。けれどあの日を境に、私の「たまおの発達の捉え方」は、それまでとは違うフェーズに入った気がします。

あの時、必死に周りの子を目で追っていた自分。それが、単なる焦りではなく「たまおの歩む道が、ほかの子とは少し違うのかもしれない」という現実を受け止めた、最初の瞬間だったかもしれないと、今は思います。

執筆/くら

専門家コメント 室伏佑香先生(小児科医)

くらさんの、その当時のご不安やご苦労が強く伝わってきました。経験を共有してくださり、ありがとうございます。読まれた保護者の方の中にも、「自分だけじゃない」と少し気持ちが軽くなった方が多かったのではないでしょうか。

歩き始める時期が遅れる背景にはさまざまな要因がありますが、一般的には「1歳半までに歩けるかどうか」が一つの目安になることが多いです。というのも、1歳半までに歩行がみられる場合、運動をつかさどる脳や脊髄、筋肉といった“運動のシステム”に重い病気がある可能性は低くなると考えられるからです。そのため、医療の現場でもまず「1歳半」という区切りがよく使われます。

そして、1歳半で歩けるようになった場合、その後は運動面も言語や社会性の面も特に困りごとなく成長していくお子さんもいれば、時間がたってから別の気になる点が見えてくることもあります。目安をクリアした場合も、逆に療育や相談先につながらず、その後何か気になることがあっても、保護者の方が「どこに相談したらいいのだろう」と迷ってしまうケースも少なくありません。

親御さんの直感は、とても大切なサインです。もし少しでも心配なことがあれば、一人で抱え込まずに、保健センターや発達支援センター、医療機関などに相談してみてください。早めに相談することで必要な支援につながりやすくなり、お子さんがより安心して過ごせる環境づくりにつながっていくはずです。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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