「遅れているだけ」から「何かある」へ

それまでは「そのうち歩くでしょ」と楽観的に考えようとしてきました。でも、目の前の圧倒的な差は、もう無視できるものではありませんでした。「もしかして、たまおには何かあるんじゃないか?」「このまま、一生歩けなかったらどうしよう……」その場にいる誰もが楽しく過ごしている中で、自分たちだけがポツンと別の世界に放り出されたような、どうしようもない不安が込み上げてきました。

わが子と向き合い方が変わる「転換点」に

そんな私の心とは対照的に、何事もなかったかのようにイベントは終了しました。けれどあの日を境に、私の「たまおの発達の捉え方」は、それまでとは違うフェーズに入った気がします。

あの時、必死に周りの子を目で追っていた自分。それが、単なる焦りではなく「たまおの歩む道が、ほかの子とは少し違うのかもしれない」という現実を受け止めた、最初の瞬間だったかもしれないと、今は思います。

執筆/くら

専門家コメント 室伏佑香先生(小児科医)

くらさんの、その当時のご不安やご苦労が強く伝わってきました。経験を共有してくださり、ありがとうございます。読まれた保護者の方の中にも、「自分だけじゃない」と少し気持ちが軽くなった方が多かったのではないでしょうか。

歩き始める時期が遅れる背景にはさまざまな要因がありますが、一般的には「1歳半までに歩けるかどうか」が一つの目安になることが多いです。というのも、1歳半までに歩行がみられる場合、運動をつかさどる脳や脊髄、筋肉といった“運動のシステム”に重い病気がある可能性は低くなると考えられるからです。そのため、医療の現場でもまず「1歳半」という区切りがよく使われます。

そして、1歳半で歩けるようになった場合、その後は運動面も言語や社会性の面も特に困りごとなく成長していくお子さんもいれば、時間がたってから別の気になる点が見えてくることもあります。目安をクリアした場合も、逆に療育や相談先につながらず、その後何か気になることがあっても、保護者の方が「どこに相談したらいいのだろう」と迷ってしまうケースも少なくありません。

親御さんの直感は、とても大切なサインです。もし少しでも心配なことがあれば、一人で抱え込まずに、保健センターや発達支援センター、医療機関などに相談してみてください。早めに相談することで必要な支援につながりやすくなり、お子さんがより安心して過ごせる環境づくりにつながっていくはずです。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35030944
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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