【新1年生】入学直後に激しい行きしぶりで大号泣…休ませる?登校させる?「5分待つ」と決めた2ヶ月間とその後

ライター:河野りぬ
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小学校入学後、わが子に強い行きしぶりが見られるようになりました。大泣きで教室に入れない日が続く中、「休ませるべきか、それとも通わせるべきか」と迷い続ける日々。本人の様子や学校との関わりを手がかりに判断を重ねていった経過と、その中で感じたことを振り返ります。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。

入学前のわが子の様子と、小学校へのイメージ

備えていたけど、やっぱり強い行きしぶり
備えていたけど、やっぱり強い行きしぶり
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ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)のある息子、小学校は情緒級(自閉症・情緒特別支援学級)に入学しました。
年長の頃にも、一度大きな行きしぶりの波があったのですが、園生活の中でなんとか持ち直し、卒園までには毎日通えるようになっていました。

そんな中での進学でした。

小学校に通う前の息子は、「小学校に通うんだな」と理解はしており、事前の特別支援学級の見学では、少人数のクラスになることに安心した様子を見せていました。

また、小学校までの距離が遠かったことや特別支援学級のルールもあり、登下校班には参加せず、入学後の登校は保護者が送迎する予定にしていました。
そうした不安になりにくい環境を整えて迎えた4月だったのですが、それでも入学直後に大きな行きしぶりの波がやってきました。

入学してすぐ始まった行きしぶり

昇降口で悲痛なさけび……
昇降口で悲痛なさけび……
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昇降口までは行けるものの、入口で「行きたくない」「このまま帰る」と涙ぐみます。
下駄箱まで進めず、私の手を握ったまま動けなくなりました。
最終的には、見かねた先生に抱えられる形で、大泣きしながら教室へ向かう日が続くようになりました。

大きな環境の変化や本人の特性を考えれば無理もないとは思いつつも、泣き声と伸ばされた手を前に、私は「これでいいのか」と強く迷うようになります。

「行きしぶり」と調べると、「無理に行かせないほうがいい」「休ませたほうがいい」という情報も多く出てきます。
まだ小学校1年生。環境にも慣れていない時期に、ここまで強く拒否する状態を見て、「このまま通わせていいのか」と迷いがありました。

「休ませる?通わせる?」と迷い続けた毎日

罪悪感に悩まされる日々
罪悪感に悩まされる日々
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毎朝、大号泣で必死にすがる姿を見るたびに、「このままでいいのか」と迷い続けていました。
それでも、通い続けるという選択をしたのには理由があります。
学校から帰ってきたあと、「大丈夫だった」「楽しかった」と、幼稚園の頃より少し達成感や自信が感じられる表情で話すことがあったからです。

本人の性格的に、気を使って気持ちを偽るタイプではないと感じていました。
そのため、この「行ったあとの様子」を一つの手がかりに、まずは続けてみようと考えました。
同時に、学校や先生の関わりを信じたいという気持ちもありました。

その後、息子の様子に少し変化が現れます。
昇降口で大号泣していた状態から、学校に着いても、車を降りられない日が増えていきました。
毎回、車の中で5分ほど、「行きたくない」という気持ちと向き合う時間が続きます。
経験的に、無理に急がせるよりも待つほうがよいと感じていたため、「5分は待つ」と決めていました。

ただ内心では、「このままでは登校時間に間に合わないのではないか」という焦りや戸惑いも……。
入学から2ヶ月ほどは、「休ませるべきか」「このまま任せてよいのか」と、判断に迷い続けていた時期でした。
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先生や学校との関わりの中で見えてきたこと

その後、「先生の声が大きくて怖い」「怒られる」といったことも話すようになりました。
そのため、「先生の関わり方が合っていないのではないか」「指導が厳しいのではないか」とも考えるようになりました。

ただ、入学前や入学後の参観日での様子を見ると、クラス全体は落ち着いていて、子どもたちも穏やかに過ごしています。
その様子から、「この環境をつくっている先生なのだから、怖いだけの存在ではないのかもしれない」と感じるようになりました。
同時に、「自分自身が小学校という場に対して先入観を持っているのかもしれない」「息子だけでなく、自分も“初めての小学校”に向き合っている段階なのだ」と考えるようにもなりました。
そのため、まずは学校や先生を信じてみよう、という方向に気持ちが変わっていきました。

また、特別支援学級では、下校時にその日の様子を共有していただくなど、日々のやりとりも丁寧に行われています。
私が抱えていた不安や息子の様子を率直に話し、意見のすり合わせをさせてもらいました。

そうした積み重ねもあり、「任せてみよう」「困ったときは相談しながら進めていこう」と思えるようになりました。

少しずつ見られた変化

明るく雰囲気のいい特別支援学級。先生を信じて……
明るく雰囲気のいい特別支援学級。先生を信じて……
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そうして、学校や先生を信じて関わりを続けていく中で、少しずつ落ち着きがみられるようになります。
結果として、行きしぶりが最も強かったのは入学直後の4〜5月でした。

その後も、車から降りられない時間は1学期のあいだ続き、夏休み明けもしばらくは同じような状態が見られました。
ただ、少しずつ変化もありました。

最初は涙が止まらなかった状態から、泣くことは減り、「気が向かないな」と言葉で伝えられるようになっていきました。
やがて、手をつないでであれば、スムーズに教室へ向かえる日も増えていきました。
学校から帰ってきたあとには、「楽しかった」と話したり、園生活の頃には出てこなかった友だちの様子を教えてくれることもありました。「怖い」と言っていた先生についても、「怖いけどやさしい」と、少しずつ捉え方が変わっていきました。

振り返って見えてきた、わが家なりの判断

だんだんと、お兄さんになった実感がでてきた
だんだんと、お兄さんになった実感がでてきた
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こうした変化を振り返ると、息子の場合は、環境の変化に慣れていくまでの抵抗が大きかったのではないかと感じています。
ただ、これはあくまで一例であり、お子さんによっては、環境そのものが合っていないケースもあると思います。

「このまま続けてよいのか」「休ませるべきなのか」
その判断に迷うこと自体が、多くのご家庭にとって大きな負担になるのではないでしょうか。
私自身も、正解が分からないまま、その都度判断を重ねていく感覚が続いていました。

そうした中で感じたのは、インターネットやSNSの情報だけに頼るのではなく、目の前の子どもの様子や、実際に関わっている先生、環境を丁寧に見ていくことの大切さです。
また、最初から対立的に構えるのではなく、「共有しながら考えていく」という姿勢で関わることで、見えてくるものもあるように感じました。

新しい環境に入るこの時期は、親にとっても負担の大きい時期だと思います。
同時に、子どもにとっても大きな変化の中にいる時期でもあります。
すぐに答えが出るものではありませんが、時間をかけ、それぞれのペースで折り合いをつけながら進んでいくことも、一つの形なのかなと思います。

執筆/河野りぬ

専門家コメント 新美妙美先生(小児科医)

新年度や進学のタイミングで不安が強まり、登校しぶりが見られることは珍しいことではありません。特に発達特性のあるお子さんにとっては、見通しの立たなさや環境の変化そのものが大きなストレスとなります。今回のように、家庭と学校が情報を共有しながら関わりを調整していくことで、不安が軽減され、徐々に環境に慣れていくケースも多く、その場合は1~2ヶ月ほどで落ち着いてくることが一般的に多い印象です。

一方で、不登校に至るお子さんの多くが、振り返ると幼少期から「一定期間の行きしぶり→再び通えるようになる」という波を何度か繰り返していることも、臨床の現場ではよく経験します。そのため、行きしぶりが繰り返される場合には、「慣れの問題」として捉えるだけでなく、集団生活そのものに継続的な負荷がかかっていないかという視点を持つことが大切です。

行きしぶりが長期化・反復する場合には、負担の強さに応じて環境調整や関わり方を柔軟に見直していくことも選択肢になります。登校そのものを目的にするのではなく、「その子が無理なく過ごせているか」という視点を軸に据えることが、結果的に安定した学校生活につながります。
筆者さんが、迷いながらもお子さんの様子を丁寧に観察し、その都度最善を探っておられる姿勢は、とても本質的で心強い関わりだと感じました。(監修:小児科医 新美妙美先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35030964
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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このコラムのコメント1件
河野りぬさん
2026/04/23 13:13
監修の先生のコメントで学びがありました!ありがとうございます。
「慣れの問題なのか」、「一度集団への関わりを土台から見直すべき事案なのか」の
判断基準がわからず、当時すごく葛藤したので、学ばせて頂けてありがたいです。

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