【宿泊行事の不安】「泊まらない」選択肢もアリ?息子との事前相談、学校の先生と決めた参加の形
ライター:楽々かあさん
「うちの子、みんなと一緒にお泊まりできる?」と、不安を感じることもありますよね。宿泊を伴う学校行事は、発達が気になる子にとって、いつもと違う環境での寝泊まりや食事、集団行動、多彩なスケジュールなど、負担が大きくなりやすい場面でもあります。
本記事では、修学旅行や野外活動に向けた事前相談の進め方や、実際に受けた合理的配慮の実例を交えながら、「行く・行かない」だけではない、その子に合った参加の形を、わが家の体験をもとにご紹介します。
監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。
多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。
「うちの子、みんなと一緒にお泊まりできる?」と悩んだときに……
こんにちは。『担任の先生に伝わる!子どもがラクになる合理的配慮サポートブック』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。
修学旅行や野外活動(林間学校)などの、小中学校の宿泊体験行事への参加に、不安があるご家庭も多いことと思います。
特に、発達障害・グレーゾーンの子の場合、いつもと違う環境で寝ることや、班行動や部屋での友だち関係、食事や体調、多彩な日程、持ち物の管理などなど……心配ごとが尽きませんよね(分かります)。
また、小学校高学年以降の修学旅行等では、小さな頃とは違った悩みもあるでしょう。
プレ思春期と呼ばれる時期では、周りのお子さんたちが急に大人びたり、人間関係が複雑になったりする中で、
「うちの子は、クラスのみんなと一緒にお泊まりできるだろうか」
「サポートしたいけど、親が介入するのは過保護? 甘やかし?」
「担任の先生に、どこまでお願いしてもいいの?」
などと、お悩みの保護者さんもいることと思います。
今回のコラムでは、「そんな時に、うちではどうしてきたのか」、宿泊体験行事の前の事前相談や、お願いできた合理的配慮など、学校との連携のプロセスも含めて、実際の体験を元に、お話ししたいと思います。
修学旅行や野外活動(林間学校)などの、小中学校の宿泊体験行事への参加に、不安があるご家庭も多いことと思います。
特に、発達障害・グレーゾーンの子の場合、いつもと違う環境で寝ることや、班行動や部屋での友だち関係、食事や体調、多彩な日程、持ち物の管理などなど……心配ごとが尽きませんよね(分かります)。
また、小学校高学年以降の修学旅行等では、小さな頃とは違った悩みもあるでしょう。
プレ思春期と呼ばれる時期では、周りのお子さんたちが急に大人びたり、人間関係が複雑になったりする中で、
「うちの子は、クラスのみんなと一緒にお泊まりできるだろうか」
「サポートしたいけど、親が介入するのは過保護? 甘やかし?」
「担任の先生に、どこまでお願いしてもいいの?」
などと、お悩みの保護者さんもいることと思います。
今回のコラムでは、「そんな時に、うちではどうしてきたのか」、宿泊体験行事の前の事前相談や、お願いできた合理的配慮など、学校との連携のプロセスも含めて、実際の体験を元に、お話ししたいと思います。
「行く・行かない」だけでなく、「参加の形」も柔軟に
まず、うちの考え方として、「行く・行かない」の二択には、しませんでした。
そして、どんなに親が不安でも、子ども本人が「行きたい」と言うなら、「どうすれば/どこまでなら、参加できるか」を柔軟に考え、小学校の修学旅行や野外活動では、学校と事前相談をして、可能な範囲での配慮をお願いしました。
逆に、親が体験させたいと思っても、子どもが「どうしても無理だ」と言ったら、参加を見合わせたこともあります。
参加する場合も、しない場合も、事前に子ども本人の意思を十分確認をすることが、まずは大事だと思っています。
その上で、「絶対行きたい!」「できれば行ってみたいけど、心配」「ちょっとだけ、興味はある……」などの場合には、
・何をどれだけ、不安・負担に思っているのか
・どうしたら安心できるか、どこまでなら負担がないか
・家でできるサポートや工夫と、学校にお願いできる配慮は何か
などを、子どもと話し合いながら、「行く・行かない」の二択で考えず、その子にとって無理のない「参加の形」も一緒に探してきました。
そして、家でできることはしてみた上で、担任の先生に本人が自分で相談したり、親・担任・管理職の先生などを交えた事前面談をしたりして、必要に応じて、不安や負担を減らす合理的配慮をお願いしてきました。
では、具体的なうちのエピソードを交えて、実体験をご紹介しますね。
そして、どんなに親が不安でも、子ども本人が「行きたい」と言うなら、「どうすれば/どこまでなら、参加できるか」を柔軟に考え、小学校の修学旅行や野外活動では、学校と事前相談をして、可能な範囲での配慮をお願いしました。
逆に、親が体験させたいと思っても、子どもが「どうしても無理だ」と言ったら、参加を見合わせたこともあります。
参加する場合も、しない場合も、事前に子ども本人の意思を十分確認をすることが、まずは大事だと思っています。
その上で、「絶対行きたい!」「できれば行ってみたいけど、心配」「ちょっとだけ、興味はある……」などの場合には、
・何をどれだけ、不安・負担に思っているのか
・どうしたら安心できるか、どこまでなら負担がないか
・家でできるサポートや工夫と、学校にお願いできる配慮は何か
などを、子どもと話し合いながら、「行く・行かない」の二択で考えず、その子にとって無理のない「参加の形」も一緒に探してきました。
そして、家でできることはしてみた上で、担任の先生に本人が自分で相談したり、親・担任・管理職の先生などを交えた事前面談をしたりして、必要に応じて、不安や負担を減らす合理的配慮をお願いしてきました。
では、具体的なうちのエピソードを交えて、実体験をご紹介しますね。
長男が自分で先生と相談。安心することで参加できた野外活動
長男が小学校5年生のときのことです(当時は特別支援学級に在籍)。
夏の野外活動(林間学校)のことを、長男は一年以上前から、「イヤだ」「行きたくない」と言い続けていました。
そこまで嫌がるなら、無理に参加しなくてもいいのでは……と、私も親として思っていました。
けれど、改めてじっくり話を聞いてみると、少し様子が違っていました。
もともと家族旅行でもキャンプなどの経験があり、「全部が絶対にイヤ」というわけではなく、少しは興味もある様子だったのですが、「いつもと違う環境」への不安が大きかったようでした。
そこで、「行くか・行かないか」を決める前に、まずは長男の話を聞きながら、不安に思うことを整理してみました。
学校から配られた資料をもとに、当日のスケジュールをふせんに細かく分けて書き出し、一つひとつ、
・できること
・心配なこと
・どうしても難しいこと(ムリなこと)
に、本人と一緒に相談シートに仕分けると、「なんとなくイヤ、ムリ」だと感じていたことが、細かく分解すれば、具体的な「困りごと」として見えてきました。
漠然とした不安ではなく、「〜することが不安・心配」まで理由が分かれば、具体的に対応することができます。
夏の野外活動(林間学校)のことを、長男は一年以上前から、「イヤだ」「行きたくない」と言い続けていました。
そこまで嫌がるなら、無理に参加しなくてもいいのでは……と、私も親として思っていました。
けれど、改めてじっくり話を聞いてみると、少し様子が違っていました。
もともと家族旅行でもキャンプなどの経験があり、「全部が絶対にイヤ」というわけではなく、少しは興味もある様子だったのですが、「いつもと違う環境」への不安が大きかったようでした。
そこで、「行くか・行かないか」を決める前に、まずは長男の話を聞きながら、不安に思うことを整理してみました。
学校から配られた資料をもとに、当日のスケジュールをふせんに細かく分けて書き出し、一つひとつ、
・できること
・心配なこと
・どうしても難しいこと(ムリなこと)
に、本人と一緒に相談シートに仕分けると、「なんとなくイヤ、ムリ」だと感じていたことが、細かく分解すれば、具体的な「困りごと」として見えてきました。
漠然とした不安ではなく、「〜することが不安・心配」まで理由が分かれば、具体的に対応することができます。
たとえば、
・朝食の内容が分からない
・いつもと同じ時間に寝られない
などを、長男は特に不安に思っていました。
ですから、まずは家でできる範囲で、一緒に施設のWebサイトを確認したり、資料を見ながら丁寧に説明したりしました。
学校に配慮をお願いする前に、家庭で子どもの不安な気持ちを受け止め、納得できる説明などを分かりやすい言葉で伝えれば、解決することも意外と多いように思います。
それでも難しいことは、本人が支援級の担任の先生に、直接相談することにしました。
家で困りごとを仕分け、自分で整理したシートを持参し、それを見ながら先生と相談すると話がスムーズになりました。
その中で、いくつかの配慮もしていただけることになりました。
特に長男が不安に思っていた就寝時間のことは、おとなしい子が多い部屋に長男を配置していただいた上で、「どうしても難しければ、先生と同じ部屋で休んでもいい」という選択肢も提案していただけました。
その言葉で安心し、「行けそうな気がする。ちょっと楽しみになってきた」と、前向きに参加を決めることができました。
最終的には、先生の部屋のお世話にならずとも、無事に野外活動に参加することができました。
・朝食の内容が分からない
・いつもと同じ時間に寝られない
などを、長男は特に不安に思っていました。
ですから、まずは家でできる範囲で、一緒に施設のWebサイトを確認したり、資料を見ながら丁寧に説明したりしました。
学校に配慮をお願いする前に、家庭で子どもの不安な気持ちを受け止め、納得できる説明などを分かりやすい言葉で伝えれば、解決することも意外と多いように思います。
それでも難しいことは、本人が支援級の担任の先生に、直接相談することにしました。
家で困りごとを仕分け、自分で整理したシートを持参し、それを見ながら先生と相談すると話がスムーズになりました。
その中で、いくつかの配慮もしていただけることになりました。
特に長男が不安に思っていた就寝時間のことは、おとなしい子が多い部屋に長男を配置していただいた上で、「どうしても難しければ、先生と同じ部屋で休んでもいい」という選択肢も提案していただけました。
その言葉で安心し、「行けそうな気がする。ちょっと楽しみになってきた」と、前向きに参加を決めることができました。
最終的には、先生の部屋のお世話にならずとも、無事に野外活動に参加することができました。
不安な環境の中、長男が「信頼できる先生」と相談し、修学旅行に
長男が小学校6年生での、修学旅行のこと(当時は通常学級に在籍)。
歴史が大好きだった長男にとって、京都を巡る修学旅行は、まさに聖地巡礼。
慣れない環境や、班での集団行動に不安はあるものの、「行きたい」気持ちは強くありました。
でも、当時の長男は、クラスの人間関係や担任の先生との関わりにやや不安があり、「配慮を受けられるなら参加したいけど、担任の先生とは相談しづらい」状況でした。
私は環境に不安を感じて、「中学受験の勉強への負担も大きいし、参加は見合わせたほうがよくない?」と提案しましたが、長男は「歴史スポットを実際に見てみたい」とのこと。
そこで、本人と親が信頼している特別支援コーディネーターの先生に連絡を取り、私は今の状況と本人の気持ちをそのまま伝え、「本人の相談に乗っていただけないでしょうか?」とお願いしました。
長男は、昨年同様、自分が不安に思うこと(主に、部屋や班行動のことなど)を、特支コーディネーターの先生に相談。
すると、部屋割りや班編成に配慮していただいた上で、昨年同様、「困ったら、先生の部屋に行っていい」と安心させてくれました。
また、別の支援級のお子さんも修学旅行に参加する予定で、顔なじみの介助員の先生も同行することになっていました。
そこで、長男のこともついでに、班の自由行動の時間などでも、可能な範囲での見守りや声かけなどをしてくれました。
修学旅行中、私は長男のことが心配で予定を入れずに家で待機しましたが、3泊4日の間、学校から特に連絡はありませんでした。
無事に帰宅した長男は、「大政奉還のあった場所を実際に見ることができた。行ってよかった」と話していました。
クラス環境や担任の先生に不安がある場合でも、別ルートで相談し、可能な配慮をしていただけたこと、本当にありがたく思いました。
歴史が大好きだった長男にとって、京都を巡る修学旅行は、まさに聖地巡礼。
慣れない環境や、班での集団行動に不安はあるものの、「行きたい」気持ちは強くありました。
でも、当時の長男は、クラスの人間関係や担任の先生との関わりにやや不安があり、「配慮を受けられるなら参加したいけど、担任の先生とは相談しづらい」状況でした。
私は環境に不安を感じて、「中学受験の勉強への負担も大きいし、参加は見合わせたほうがよくない?」と提案しましたが、長男は「歴史スポットを実際に見てみたい」とのこと。
そこで、本人と親が信頼している特別支援コーディネーターの先生に連絡を取り、私は今の状況と本人の気持ちをそのまま伝え、「本人の相談に乗っていただけないでしょうか?」とお願いしました。
長男は、昨年同様、自分が不安に思うこと(主に、部屋や班行動のことなど)を、特支コーディネーターの先生に相談。
すると、部屋割りや班編成に配慮していただいた上で、昨年同様、「困ったら、先生の部屋に行っていい」と安心させてくれました。
また、別の支援級のお子さんも修学旅行に参加する予定で、顔なじみの介助員の先生も同行することになっていました。
そこで、長男のこともついでに、班の自由行動の時間などでも、可能な範囲での見守りや声かけなどをしてくれました。
修学旅行中、私は長男のことが心配で予定を入れずに家で待機しましたが、3泊4日の間、学校から特に連絡はありませんでした。
無事に帰宅した長男は、「大政奉還のあった場所を実際に見ることができた。行ってよかった」と話していました。
クラス環境や担任の先生に不安がある場合でも、別ルートで相談し、可能な配慮をしていただけたこと、本当にありがたく思いました。
次男も一緒にチームで事前面談。「泊まらない」日帰り参加という形
次男が小学5年生の時の、野外活動のことです(通常学級在籍)。
次男は、明確な診断のないASD(自閉スペクトラム症)グレーゾーンで、聴覚過敏などから集団生活では疲れをためやすく、また、この頃よりIBS(過敏性腸症候群)の症状があって、学校を休みがちに。
そんな中、体調面の不安から、宿泊を伴う野外活動への参加を悩んでいる時期に、担任の先生のほうから連絡があり、「みんなで作戦会議しませんか?」と、面談のご提案をいただきました。
次男と私が指定の時間に教室に行くと、担任の先生だけでなく、学年主任、保健室の先生、隣のクラスの先生などもチームで同席してくれました(多くの先生方に囲まれて、最初は親子でびっくりしましたが……)。
次男は不慣れな環境での宿泊や食事で「お腹が痛くなったら、どうしよう」という不安が強く、私も「参加は難しいのでは……」と日頃の様子から思っていました。
でも、先生方からは、活動・食事内容などの詳しい説明のあと、「もし、参加する場合は、どのような形や配慮が可能か」を、ご提案いただきました。
そのお話の中で、次男と同じクラスに、同じように不登校気味のお子さんがいたのですが、「〇〇ちゃんは、お母さんが近くで待機していて、参加できる活動だけして、泊まらないんですよー」と聞き、私は目からウロコ。
てっきり、宿泊体験の行事なのだから、参加するなら当然、「みんなと一緒に泊まるのが大前提」だと思っていたのですが、「えっ、いいんですか?そんな感じでも」と、学校側の柔軟な対応に驚きました。
そして、それを聞いた次男は、「泊まらないなら、最初の日の活動は全部できそう」と、諦め気味だった参加を前向きに考え、相談の結果、初日だけ日帰りで参加し、夫が車で迎えに行って、キャンプファイヤーの後で家に帰ることになりました。
後日、部分的にでも、無事参加できたことが次男の自信にもなり、クラスの友だちとも、楽しい思い出をつくることができました。
「参加する・しない」だけではない選択肢があることを、親子で実感した出来事でした。
次男は、明確な診断のないASD(自閉スペクトラム症)グレーゾーンで、聴覚過敏などから集団生活では疲れをためやすく、また、この頃よりIBS(過敏性腸症候群)の症状があって、学校を休みがちに。
そんな中、体調面の不安から、宿泊を伴う野外活動への参加を悩んでいる時期に、担任の先生のほうから連絡があり、「みんなで作戦会議しませんか?」と、面談のご提案をいただきました。
次男と私が指定の時間に教室に行くと、担任の先生だけでなく、学年主任、保健室の先生、隣のクラスの先生などもチームで同席してくれました(多くの先生方に囲まれて、最初は親子でびっくりしましたが……)。
次男は不慣れな環境での宿泊や食事で「お腹が痛くなったら、どうしよう」という不安が強く、私も「参加は難しいのでは……」と日頃の様子から思っていました。
でも、先生方からは、活動・食事内容などの詳しい説明のあと、「もし、参加する場合は、どのような形や配慮が可能か」を、ご提案いただきました。
そのお話の中で、次男と同じクラスに、同じように不登校気味のお子さんがいたのですが、「〇〇ちゃんは、お母さんが近くで待機していて、参加できる活動だけして、泊まらないんですよー」と聞き、私は目からウロコ。
てっきり、宿泊体験の行事なのだから、参加するなら当然、「みんなと一緒に泊まるのが大前提」だと思っていたのですが、「えっ、いいんですか?そんな感じでも」と、学校側の柔軟な対応に驚きました。
そして、それを聞いた次男は、「泊まらないなら、最初の日の活動は全部できそう」と、諦め気味だった参加を前向きに考え、相談の結果、初日だけ日帰りで参加し、夫が車で迎えに行って、キャンプファイヤーの後で家に帰ることになりました。
後日、部分的にでも、無事参加できたことが次男の自信にもなり、クラスの友だちとも、楽しい思い出をつくることができました。
「参加する・しない」だけではない選択肢があることを、親子で実感した出来事でした。
わが子が参加できて……
このように、うちではそれぞれの子に合った形で、宿泊体験行事に参加してきました。
もちろん、子どもの意思や負担を考えて「行かない」という選択をした場合もありました。
でも、「行く」選択をした場合には、同世代の集団の中でしか得られない体験や、その時期のその子にしか届かないメッセージがあるのかもしれないなと、無事に家に帰った時のわが子の少し大人びた顔を見て、その都度、私は実感してきました。
もちろん、子どもの意思や負担を考えて「行かない」という選択をした場合もありました。
でも、「行く」選択をした場合には、同世代の集団の中でしか得られない体験や、その時期のその子にしか届かないメッセージがあるのかもしれないなと、無事に家に帰った時のわが子の少し大人びた顔を見て、その都度、私は実感してきました。
「参加できるか」よりも「その子に合った形」が選べること
こうして振り返ると、わが家では「参加できたか」よりも「その子に合った形」が選べたことが、大切だったように思います。
ちなみに、長女の小学校の修学旅行や、長男の私立中学の海外研修旅行などは、当時の新型コロナウイルスの影響で中止や代替措置(日帰り遠足や、オンライン交流など)になりました。
その時のわが子の様子や、みんなと共有する思い出の実体験が少なめになった世代の子どもたちへの影響を思うと、修学旅行や野外活動などは、家庭では経験できない貴重な場だと思います。
いずれにせよ、集団生活のハードルが高く、不慣れなことや環境に不安が強い、発達障害・グレーゾーンのお子さんなどが宿泊体験行事の参加を迷った時には、選択肢は「参加する・しない」「行く・行かない」の二択ではない、ということです。
その間には「合理的配慮を受けて参加する」「部分的に行く」などの、柔軟な選択肢だってあることを、ぜひ、保護者の方だけでなく、現場の先生方にも広く知っておいていただけたら嬉しいです。
大切なのは、子ども・親・先生が相談しながら、一緒に「どうしたら安心できるか」の方法を探していくことだと思います。
たとえ、小さくても、部分的でもいいんです。
お子さんに合った形で、成長の機会を少しずつ増やしていけることを願っています。
ちなみに、長女の小学校の修学旅行や、長男の私立中学の海外研修旅行などは、当時の新型コロナウイルスの影響で中止や代替措置(日帰り遠足や、オンライン交流など)になりました。
その時のわが子の様子や、みんなと共有する思い出の実体験が少なめになった世代の子どもたちへの影響を思うと、修学旅行や野外活動などは、家庭では経験できない貴重な場だと思います。
いずれにせよ、集団生活のハードルが高く、不慣れなことや環境に不安が強い、発達障害・グレーゾーンのお子さんなどが宿泊体験行事の参加を迷った時には、選択肢は「参加する・しない」「行く・行かない」の二択ではない、ということです。
その間には「合理的配慮を受けて参加する」「部分的に行く」などの、柔軟な選択肢だってあることを、ぜひ、保護者の方だけでなく、現場の先生方にも広く知っておいていただけたら嬉しいです。
大切なのは、子ども・親・先生が相談しながら、一緒に「どうしたら安心できるか」の方法を探していくことだと思います。
たとえ、小さくても、部分的でもいいんです。
お子さんに合った形で、成長の機会を少しずつ増やしていけることを願っています。
執筆/大場美鈴(楽々かあさん)
専門家コメント 新美妙美先生(小児科医)
宿泊を伴う学校行事について、「行くか行かないか」だけではなく、その子に合った参加の形を丁寧に模索されたご経験を共有してくださりありがとうございます。
宿泊行事は、発達特性のあるお子さんや不安の強いタイプのお子さんにとって、実は非常にハードルの高いイベントです。長時間いつもと違う環境で過ごすこと、初めての活動、人間関係、食事や睡眠、持ち物管理など、「生活の土台」に関わる要素が一気に変化します。そのため、「行けば楽しいよ」「やってみれば何とかなる」といった励ましだけで送り出してしまうと、大きなダメージを受けて帰って来て、長期の不調につながることも決して珍しくありません。
一方で、友だちと楽しい経験を共有できたことが自信につながったり、自立への大きな一歩になることもあり、宿泊行事には大きな成長の可能性もあります。だからこそ重要なのは、「無理をして参加させること」ではなく、「安心して参加できる形を探すこと」なのだと思います。
大場さんが実践されていたように、早めにスケジュールや活動内容を確認し、「本人が何を不安に感じるのか」を具体的に整理していくことは、とても理にかなった準備です。漠然とした「イヤだ」「ムリ」を細かく分解していくと、「朝食の内容が分からない」「いつもと違う時間に寝るのが不安」など、実は対策可能な困りごとが見えてくることも少なくありません。
また、親のサポートが前提になっているADL面――例えば髪を結ぶ、内服、保湿剤を塗る、寝る準備を整えるなどについても、「一人でどこまでできるか」を事前に練習したり、必要なら学校に相談しておくことはとても大切です。加えて、班編成、部屋割り、バス席、支援の先生の同行の有無など、人間関係や安心できる大人の存在は、参加のしやすさを大きく左右します。
さらに印象的だったのは、「泊まらない参加」という柔軟な選択肢です。宿泊自体への不安が強い場合、日帰り参加や部分参加でも、安心して活動を楽しめた経験は十分大きな成功体験になります。きょうだいでも不安のポイントや参加しやすい形が違うように、「みんなと同じ参加」を目指す必要はありません。
その子に合った参加の形を探しながら、本人・家庭・学校が一緒に調整していく――その姿勢こそが、合理的配慮の本質なのだと、改めて感じさせていただく体験談でした。(監修:小児科医 新美妙美先生)
宿泊行事は、発達特性のあるお子さんや不安の強いタイプのお子さんにとって、実は非常にハードルの高いイベントです。長時間いつもと違う環境で過ごすこと、初めての活動、人間関係、食事や睡眠、持ち物管理など、「生活の土台」に関わる要素が一気に変化します。そのため、「行けば楽しいよ」「やってみれば何とかなる」といった励ましだけで送り出してしまうと、大きなダメージを受けて帰って来て、長期の不調につながることも決して珍しくありません。
一方で、友だちと楽しい経験を共有できたことが自信につながったり、自立への大きな一歩になることもあり、宿泊行事には大きな成長の可能性もあります。だからこそ重要なのは、「無理をして参加させること」ではなく、「安心して参加できる形を探すこと」なのだと思います。
大場さんが実践されていたように、早めにスケジュールや活動内容を確認し、「本人が何を不安に感じるのか」を具体的に整理していくことは、とても理にかなった準備です。漠然とした「イヤだ」「ムリ」を細かく分解していくと、「朝食の内容が分からない」「いつもと違う時間に寝るのが不安」など、実は対策可能な困りごとが見えてくることも少なくありません。
また、親のサポートが前提になっているADL面――例えば髪を結ぶ、内服、保湿剤を塗る、寝る準備を整えるなどについても、「一人でどこまでできるか」を事前に練習したり、必要なら学校に相談しておくことはとても大切です。加えて、班編成、部屋割り、バス席、支援の先生の同行の有無など、人間関係や安心できる大人の存在は、参加のしやすさを大きく左右します。
さらに印象的だったのは、「泊まらない参加」という柔軟な選択肢です。宿泊自体への不安が強い場合、日帰り参加や部分参加でも、安心して活動を楽しめた経験は十分大きな成功体験になります。きょうだいでも不安のポイントや参加しやすい形が違うように、「みんなと同じ参加」を目指す必要はありません。
その子に合った参加の形を探しながら、本人・家庭・学校が一緒に調整していく――その姿勢こそが、合理的配慮の本質なのだと、改めて感じさせていただく体験談でした。(監修:小児科医 新美妙美先生)
このコラムを書いた人の著書
担任の先生に伝わる! 子どもがラクになる合理的配慮サポートブック
合同出版2026
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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