書字が苦手な発達障害の息子、習字で自由すぎる落書き。注意せず「おもしろい!」と思えた母の気持ちの変化
ライター:かなしろにゃんこ。
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ADHD(注意欠如多動症)と ASD(自閉スペクトラム症)の息子のリュウ太は学童期の頃習字が苦手でした。ですが、突然楽しくなったようで......!?
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
「習字やりたくない!」文句タラタラだった息子
ADHD(注意欠如多動症)と ASD(自閉スペクトラム症)の息子のリュウ太は学童期の頃習字が苦手でした。
板書も苦手なのですが、字をバランスよく書くことができず書く作業が苦手です。唯一できるのはデザイン文字で、ポスターや掲示物にレタリングっぽい英語やひらがなを書くことでした。
それ以外では極端に文字を書くことを嫌っていたので、「習字やりたくない!なんで筆で書かなくちゃいけないんだよ!」と文句タラタラでした。
板書も苦手なのですが、字をバランスよく書くことができず書く作業が苦手です。唯一できるのはデザイン文字で、ポスターや掲示物にレタリングっぽい英語やひらがなを書くことでした。
それ以外では極端に文字を書くことを嫌っていたので、「習字やりたくない!なんで筆で書かなくちゃいけないんだよ!」と文句タラタラでした。
習字の時間が楽しくなった!?
そんなリュウ太でしたが小5の頃、習字の時間が楽しいと思うようになったのでした。
習字の日に家に帰ってくると腕や足にたくさん墨がついているじゃありませんか!!
以前から習字の日は手や服に墨をつけて帰ってくることがありましたが、今回はウッカリ墨をつけた。というものではなく、意図的につけた感があるというか、よく見ると謎の模様が!!
ヤンチャな若者界隈や男の子の服のデザインで流行っていた幾何学的な模様がありまして、ゲームなどで知って自分も表現したい!と思ったのでしょう、筆で模様を表現できるじゃんとひらめいたのか!?後先考えずに思うがまま、感じるままに描いた感じでした。
私はそんなリュウ太を見て「おもしろいことするな~」と思ってしまいました。
習字の日に家に帰ってくると腕や足にたくさん墨がついているじゃありませんか!!
以前から習字の日は手や服に墨をつけて帰ってくることがありましたが、今回はウッカリ墨をつけた。というものではなく、意図的につけた感があるというか、よく見ると謎の模様が!!
ヤンチャな若者界隈や男の子の服のデザインで流行っていた幾何学的な模様がありまして、ゲームなどで知って自分も表現したい!と思ったのでしょう、筆で模様を表現できるじゃんとひらめいたのか!?後先考えずに思うがまま、感じるままに描いた感じでした。
私はそんなリュウ太を見て「おもしろいことするな~」と思ってしまいました。
息子なりにイイ感じに書けたと思っていたかもしれません。「どーよ」と言いたそうに見せてきたので「タトゥーを表現したんだね」と話しました。落書きではなくボディーペインティング的な感覚です。
リュウ太にとっては筆と墨もデザインするのにちょうどいい道具と捉えている感じでした。
リュウ太にとっては筆と墨もデザインするのにちょうどいい道具と捉えている感じでした。
リュウ太が発達障害の検査を受ける前の私は、習字の時間はきちんと習字だけをしましょう!腕に落書きをするなんてみっともない!ときつく注意をしてきたのです。
育児をする中で私は徐々に発達障害がある子の豊かな発想力をつぶしてはいけないと思うようになっていました。習字の授業に機嫌よく参加していることは良いこと、機嫌よく家に帰ってきたことも良いことだと思いました。
育児をする中で私は徐々に発達障害がある子の豊かな発想力をつぶしてはいけないと思うようになっていました。習字の授業に機嫌よく参加していることは良いこと、機嫌よく家に帰ってきたことも良いことだと思いました。
肝心な習字のほうはというとトメやはらい、などをあまり気にせず書いた字が教室に貼られておりまして、上達は感じなかったのですが、嫌がらずに習字を書けたことで良し!としようと思うことにしました。
その後、学童期では文字を書くことを極端に嫌っていましたが、中3の頃から小説を書くようになり苦手を克服していきました。リュウ太の部屋に置いてあったノートに一面に文字が並んでいるのをチラっと見て、おお!文字書いてるじゃない。と成長を感じたのです。
苦手も時間が経てばできるようになるのだな~と思いました。
その後、学童期では文字を書くことを極端に嫌っていましたが、中3の頃から小説を書くようになり苦手を克服していきました。リュウ太の部屋に置いてあったノートに一面に文字が並んでいるのをチラっと見て、おお!文字書いてるじゃない。と成長を感じたのです。
苦手も時間が経てばできるようになるのだな~と思いました。
執筆/かなしろにゃんこ。
専門家コメント(臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
リュウ太くんの習字エピソードをありがとうございます。文字を書くのを極端に嫌がっていたのに、筆と墨で書く面白さを知り、そして課題もしっかり書いていたとは成長を感じますね。習字に関しては、苦手としているお子さんは発達的な課題を持つ子だと多いように感じます。ゆっくり丁寧に書くことが苦手。準備と片づけの手間や手が汚れることが好きじゃない。「上手に書きたい」気持ちが強くてもなかなか一朝一夕に上手に書けないことも多く、怒りと不安と焦りで心が乱れる。回数的にもそんなに多くない習字の時間が本当に苦痛と語る子も少なからずいます。リュウ太くんの場合には、じっくり丁寧に、あるいは字形を整えて書くということよりも、筆を使う面白さから入った感じがありますね。日ごろのノートでの書字は苦手でも、筆で大きく数文字書くだけならとても上手に書く子もいますね。もしかしたらそれは字としてというよりも、筆を使って強弱やとめ・はらいなどを見本通りに表現することを頑張った結果なのかなと感じることもありますが、ともあれ、習字の時間に集中して取り組めたことや、筆と墨を使ってお手本の字を目指して頑張れたのは良い時間だったのではと感じます。
さて、私が個人的に一番胸を打たれたのは、リュウ太くんのボディペイントに対して、怒りや困惑ではなく「面白いことするな~」と思えたかなしろさんの反応です。すごい。リュウ太くんを「普通」や枠にはめて見るのではなく、リュウ太くんの工夫や成長として一つひとつを捉える習慣があるからではと感じました。私だったらきっと服や肌の汚れ(その墨汚れ、すぐには取れなそう!)を気にしてしまいそうですが、せっかくの“作品”を汚れと捉えてしまう自分の小ささを感じ入るところです。
(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
さて、私が個人的に一番胸を打たれたのは、リュウ太くんのボディペイントに対して、怒りや困惑ではなく「面白いことするな~」と思えたかなしろさんの反応です。すごい。リュウ太くんを「普通」や枠にはめて見るのではなく、リュウ太くんの工夫や成長として一つひとつを捉える習慣があるからではと感じました。私だったらきっと服や肌の汚れ(その墨汚れ、すぐには取れなそう!)を気にしてしまいそうですが、せっかくの“作品”を汚れと捉えてしまう自分の小ささを感じ入るところです。
(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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