働くと障害基礎年金をもらえない?就労と年金の実態、受給のポイント
ライター:渡部 伸
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行政書士として多くの方をサポートされている、「親なきあと」相談室の渡部伸先生による事例解説企画。ご家族のリアルな相談事例をもとに、わが子の将来を支えるための具体的なヒントやアドバイスをご紹介します。
今回は「働きながら障害年金は受給できる?」という疑問に回答します。
執筆: 渡部伸
行政書士
親なきあと相談室主宰
社会保険労務士
慶應義塾大学法学部卒後、出版社勤務を経て、行政書士、社会保険労務士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。現在、渡部行政書士社労士事務所代表。自身も知的障害の子どもを持ち、知的障害の子どもをもつ親に向けて「親なきあと」相談室を主宰。著作、講演など幅広く活動中。
親なきあと相談室主宰
社会保険労務士
「親なきあと」相談事例|就労と障害年金
「親なきあと」相談室の渡部伸と申します。当相談室で実際に受けた具体的な相談事例とアドバイスをもとに、コラムを書かせていただいています。
発達が気になるお子さんの保護者や家族からの相談について、それぞれのケースではどのような制度が使えるか、親なきあとの生活をどう想定し、私がどのようなアドバイスをしたか、ご紹介していきたいと思います。
※なお、ここに紹介した事例は、いずれも実際にあった事例に基づいて、家族や環境などは個人が特定できないように変更を加えています。
発達が気になるお子さんの保護者や家族からの相談について、それぞれのケースではどのような制度が使えるか、親なきあとの生活をどう想定し、私がどのようなアドバイスをしたか、ご紹介していきたいと思います。
※なお、ここに紹介した事例は、いずれも実際にあった事例に基づいて、家族や環境などは個人が特定できないように変更を加えています。
働いていても年金はもらえますか?
【相談内容】
息子は障害者雇用での一般就労を目指しています。先日、障害基礎年金の申請を予定しているので、主治医にそのことを話したところ、「働いていると障害基礎年金はもらえないのではないか」と言われました。特別支援学校の年金の勉強会では「働いていてももらえる可能性はあります」と教えてもらったことがあります。実際はどうなのでしょうか。
- ●当事者:特別支援学校高等部2年生、中度の知的障害(知的発達症)
- ●相談者:母親
息子は障害者雇用での一般就労を目指しています。先日、障害基礎年金の申請を予定しているので、主治医にそのことを話したところ、「働いていると障害基礎年金はもらえないのではないか」と言われました。特別支援学校の年金の勉強会では「働いていてももらえる可能性はあります」と教えてもらったことがあります。実際はどうなのでしょうか。
回答
【アドバイス】
- ●「障害者雇用」などの場合、働きながらでも受給できる可能性はあります
- ●申請書類において、職場での制限や会社からの「特別な配慮」を具体的に伝えることが重要です
結論から言うと、働いていても受給できる場合はあります。厚労省の資料(令和元年調査)によると、障害年金を受給している人で、就労している人の割合は、知的障害で58.6%、精神障害で34.8%となっています※1。この就労には、就労継続支援A型・B型などの福祉的就労も含まれていますが、一般就労の場合でも、障害者雇用枠であれば可能性は十分あると思います。
ただし、「あまり問題なく(一般就労の社員と同じように)働けている」となると、受給は難しいかもしれません。
障害年金には障害の程度(1級〜3級※)が定められていますが、審査で重要視されるのは、「就労はしているが、実はこれだけの支障があり、会社から配慮を受けている」という実態だからです (※知的障害の方が申請する「障害基礎年金」は1級・2級のみとなります)。
国の指針でも「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えない」とされています。申請時に、例えば以下のような状況を「診断書」や「病歴・就労状況等申立書」でしっかり伝える必要があります。
こういった職場の状況は、診断書を書く医師にはなかなか把握できないので、職場の上司や指導員の方に書面にしてもらって、医師に見せて診断書に反映してもらう、あるいは「意見書」のかたちで年金申請の添付資料として提出するといった方法もあります。
障害基礎年金は、本人の生活を安定させるための大きな支えになります。手続きをする前にあきらめてしまわず、就労後の働き方が今回ご紹介したような状況であれば、必要な準備をした上で申請してみてください。
ただし、「あまり問題なく(一般就労の社員と同じように)働けている」となると、受給は難しいかもしれません。
障害年金には障害の程度(1級〜3級※)が定められていますが、審査で重要視されるのは、「就労はしているが、実はこれだけの支障があり、会社から配慮を受けている」という実態だからです (※知的障害の方が申請する「障害基礎年金」は1級・2級のみとなります)。
国の指針でも「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えない」とされています。申請時に、例えば以下のような状況を「診断書」や「病歴・就労状況等申立書」でしっかり伝える必要があります。
- ●業務の内容:単純・反復的な作業に限定されている
- ●勤務時間:通常の社員より短い時間しか働けない
- ●サポート体制:常時の指導や見守りが必要
- ●職場でのトラブル:指示を理解するのが難しかったり、不適切な行動をすることがある など
こういった職場の状況は、診断書を書く医師にはなかなか把握できないので、職場の上司や指導員の方に書面にしてもらって、医師に見せて診断書に反映してもらう、あるいは「意見書」のかたちで年金申請の添付資料として提出するといった方法もあります。
障害基礎年金は、本人の生活を安定させるための大きな支えになります。手続きをする前にあきらめてしまわず、就労後の働き方が今回ご紹介したような状況であれば、必要な準備をした上で申請してみてください。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。