1歳半健診で要観察。多動だと思ったらASD!?保健師の指摘で始めた療育教室での様子は【実体験】

ライター:えなめる
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一歳半健診で要経過観察となった娘ですが、言葉も出ており、癇癪が強いだけで発達障害だなんて考えすぎかもしれないと私自身は思っていました。しかし、市の保健師さんとの面談での「支援が必要な子どもに見える」との指摘から、市の発達支援センターにつながることになりました。今回はその時の様子を紹介したいと思います。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

「気にしすぎですよ」と言われると思っていた保健師さんとの面談

一歳半健診で激しい癇癪を起し、「要観察」となったことをきっかけに娘の発達に悩み始めた私は、娘に療育を受けさせたいと思うようになり、市の発達支援センターに相談してみることにしました。

しかし、電話先で娘がまだ二歳なこと、発語があること、二語文を話していることなどを告げると「まだ支援が必要な状態か分からないので市役所に行き保健師さんに相談に乗ってもらってからでもいいのではないか」と言われました。知り合いの保育士さんやほかのお母さんに相談しても「もっと発達の遅い子はたくさんいる」「個性の範囲内では」と言われることも多く、もしかして私の気のし過ぎかもしれないと思うようにもなりました。
「もしかして、私の気のし過ぎかもしれない」と思うように
「もしかして、私の気のし過ぎかもしれない」と思うように
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しかし市役所の発達相談の日。予定より早く着きすぎたため時間つぶしに市役所の隣にある公園に寄ったところ、時間になっても遊びを切り上げられず、娘は地面に転がって泣きわめいてしまいました。その結果、体中が土と落ち葉だらけで激しく泣いた状態で面談を行うこととなりました。この時はなぜ今日に限ってと思いましたが、逆にコンディションの悪い状態の様子を見てもらえたことで娘の問題点が伝わりやすかったと思います。

娘が少し落ち着いたところで簡単な面談が始めりました。娘は椅子に座ってと言われても座ることなく椅子からすり抜け、部屋のおもちゃに一直線。保健師さんが絵本を開いて「これは何?」などと質問をしても一切答えず自分の世界で好きなことを話し続けていました。そんな娘の様子を見て、保健師さんは「娘さんは少し育てづらいタイプのお子さんに見えます。療育に通うことをお勧めします」と言いました。

その言葉を聞いて、ショックだったと同時に「やはりほかの人の目から見ても娘は育てづらそうな子どもに見えるのだな」と少し安心しました。娘は普通なのに自分の育児能力が足りないせいで手を焼いているのではと思うこともありましたが、そうではないと分かったからです。
保健師さんに「娘さんは少し育てづらいタイプのお子さんに見えます。療育に通うことをお勧めします」と言われる
保健師さんに「娘さんは少し育てづらいタイプのお子さんに見えます。療育に通うことをお勧めします」と言われる
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娘はADHD(注意欠如多動症)ではなくASD(自閉スペクトラム症)?

市役所での保健師さんとの面談から数か月後、今度は発達支援センターで本格的な心理相談と発達検査を行うこととなりました。
ここでの検査で心理士さんに「ASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある」と指摘されました。この頃、私は娘のことをASD(自閉スペクトラム症)ではなく、ADHD(注意欠如多動症)ではないかと思っていたので驚きました。言葉は出ているし、このころの主な困りごとというと、癇癪のほかには椅子にじっと座っていられない、手をつないで歩けない、すぐに走り出すといった多動に関するものが多かったからです。
心理士さんより「ASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある」との指摘が
心理士さんより「ASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある」との指摘が
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しかし成長するにつれて多動は徐々に収まり、今度は言葉の意図が上手くくみ取れない、会話のキャッチボールが上手くいかない等のコミュニケーションの問題が気になるようになってきたので、やはりわが子にはASD(自閉スペクトラム症)の特性があるのだなと納得しています。

市の療育教室に通い始めて

現在、娘は民間企業の運営する放課後等デイサービスに通っていますが、この頃は市の主催する発達支援教室に通っていました。通う前は、療育に通う子や障害のある子どもを今まで見たことがなかったので、どんな子が通っているのかと少し緊張しました。しかし教室に入ってみると、そこに通う子どもたちは多少言葉が遅い程度で、親とも普通にやり取りができ、椅子にもきちんと座っていられる子どもたちばかり。私の目から見たら「普通」にしか見えない子たちばかりでした。

一方、娘はというと、大泣きして教室にも入れず、ようやく教室に入ったかと思うと椅子に座っていられず走り回っていました。
大泣きして教室にも入れず……
大泣きして教室にも入れず……
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教室に来る前は、うちの子は発達障害があるにしても軽いほうだろうと思っていたので、発達が気になる子の教室の中でも一番活動に参加できていない様子を見てショックでした。しかし、何回か活動を重ねるうちに集団行動にも慣れ、娘も徐々に活動に参加できるようになりました。間違ったことをしたり他人に迷惑をかけたりしても、きちんと見守ってもらえる環境が整っていることで、娘も安心して活動に取り組め、大きな自信に繋がったのだと思います。

活動の内容は、本格的な言語訓練やリハビリのようなものというよりは感覚遊びのようなものが多く、そのため中には「意味がなかった」と途中でやめてしまう人もいました。しかし個人的には、市の療育教室に通ったことで幼稚園や小学校での集団行動にスムーズに馴染むことができたので、早いうちから市の集団療育に通わせることができてて良かったと思っています。
早いうちから市の集団療育に通わせることができてて良かったと思っています
早いうちから市の集団療育に通わせることができてて良かったと思っています
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執筆/えなめる

専門家コメント(小児科医 室伏佑香先生)

保健師さんとの面談や、療育につながるまでのご様子を共有してくださり、ありがとうございます。早い段階で相談されたことで、りんさんの特性をご家族が周囲の方と一緒に整理して理解され、必要な支援につながるきっかけになったのではないかと思います。これは、りんさんにとってもご家族にとっても、とても大きな意味のある一歩だったのではないでしょうか。

えなめるさんのおっしゃられた通り、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんが一見「多動」に見えることはよくあります。これは、単に落ち着きがないというより、周囲の状況を理解しにくい、見通しが立ちにくい、感覚刺激に反応しやすいといったASD(自閉スペクトラム症)の特性が、結果として動きの多さとして表に出るためです。
たとえば、何をすればよいのか分からない場面、待つ時間が長い場面、急に予定が変わった場面では、不安や混乱が高まりやすくなります。その不安を自分で言葉にして伝えることが難しいと、走り回る、椅子から離れる、床に寝転ぶ、泣く、叫ぶといった行動として現れることがあります。
また、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは感覚の受け取り方に偏りがあることがあります。音、光、人混み、服の感触、においなどがつらくてその場にいられないこともありますし、逆に身体を動かす刺激を求めて走る、跳ぶ、回る、物に触るといった行動が増えることもあります。これは、本人なりに刺激を調整するために行っている行動である場合があります。

さらに、興味のあるものが目に入ると、周囲の指示よりもそちらに強く引き寄せられることがあります。保健師さんの質問に答えるより、おもちゃに一直線に行く、自分の好きな話を続ける、部屋の中を探索する、という行動は、多動というより「注意の向け方」や「社会的なやり取りの難しさ」が背景にあることがあります。

ADHD(注意欠如多動症)の多動は、衝動性や注意の持続困難が中心になりやすい一方、ASD(自閉スペクトラム症)で多動に見える行動は、見通しのなさ、不安、感覚過敏・感覚探求、興味の偏り、コミュニケーションの難しさから起きていることがあります。ただし、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)は併存することも多いので、実際にはどちらか一方と単純に分けられないこともあります。

大事なのは、どんな場面で動きが増えるのかを知ることです。待ち時間なのか、予定変更の時なのか、人が多い場所なのか、興味のある物がある時なのか、指示が分かりにくい時なのかを観察すると、その子に合った支援が見えてきます。多動に見える行動の裏にある、困っている理由を探すことが、その子への支援の出発点になります。
(監修:小児科医 室伏佑香先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35030987
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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