過干渉を卒業し、見守ることで見えた息子の自立
高専入学を機に、息子は私の実家で私の母と二人暮らしをすることになりました。私は「怒りのスイッチが入って暴れたりしないか」と不安が募りましたが、同時に「私のいない環境なら案外頑張ってくれるのではないか」という期待もありました。
離れての暮らしで気づいたのは、私自身が「過干渉」になっていたことです。夫の単身赴任でワンオペ状態だったこともあり、物を散らかしっぱなしの息子にイライラし、待つことができずに私が片づけてしまうなど、余裕がなかったのです。
久しぶりに会った息子は、中性的だった顔立ちが青年らしくなり、流暢で論理的な話し方をするようになっていました。私の心配をよそに、自分の世界をしっかり築いていたのです。
離れての暮らしで気づいたのは、私自身が「過干渉」になっていたことです。夫の単身赴任でワンオペ状態だったこともあり、物を散らかしっぱなしの息子にイライラし、待つことができずに私が片づけてしまうなど、余裕がなかったのです。
久しぶりに会った息子は、中性的だった顔立ちが青年らしくなり、流暢で論理的な話し方をするようになっていました。私の心配をよそに、自分の世界をしっかり築いていたのです。
一つでも「できたこと」を見つけて
かつての私のように、毎日のトラブルに頭を抱えている方に伝えたいことがあります。 「怒る」「しかる」は、あまり効果がありませんでした。小学校1年生の時、ランドセルの中身を全部忘れて帰ってきた息子に、翌日鉛筆が1本入っていただけで「1本だけど持って帰ってこれたね!」と不本意ながらも抱きしめたことがあります。すると翌日は筆箱、その次は……と、少しずつ改善していきました。
今は、息子から「友だちと映画に行く」「お祭りに行く」という報告があるだけで、今までの息子ではあり得なかった光景だとうれしくなります。
干渉ではなく、サポートを。何か一言発する前に、ぐっと飲み込んで考える。たくさんできたことを見つけて、笑顔を大切にして――子ども時代はあっという間だから、怒ることは最小限でいいのだと、今の私はそう思っています。
今は、息子から「友だちと映画に行く」「お祭りに行く」という報告があるだけで、今までの息子ではあり得なかった光景だとうれしくなります。
干渉ではなく、サポートを。何か一言発する前に、ぐっと飲み込んで考える。たくさんできたことを見つけて、笑顔を大切にして――子ども時代はあっという間だから、怒ることは最小限でいいのだと、今の私はそう思っています。
イラスト/もっつん
エピソード参考/みー
エピソード参考/みー
専門家コメント 森しほ先生(医師・公認心理師)
不安やご自分を責める気持ちの中で、お子さんの可能性を信じて頑張ってこられたのですね。
発達特性をもつお子さんでは、感覚過敏や社会的認知のズレといった特性から、「問題行動」と言われてしまう行動が見られることがあります。本人の努力不足のせいだと周囲から思われてしまい、しかられて自己肯定感が下がってしまうことも少なくありません。
一方、得意なことを把握して、環境調整をしっかり行ってあげると、うまく力が発揮できるようになります。
算数や理科など興味を持てる分野があれば、そこを評価して伸ばしてくれる場を探しましょう。自己効力感を得られて前向きな姿勢でがんばることができます。
保護者の方は、お子さんを心配する気持ちからどうしても過保護になりがちです。過保護ならまだしも、過干渉になってしまうとお子さんの自立の芽をつんで自主性を育てられなくなってしまいます。
お子さんの成長には、植物を育てるようなイメージを持つといいのではないでしょうか。「頑張って直す」よりも、「合う環境を考える」という視点を持つといいかもしれません。
お子さんの強みを意識して、環境調整を行い、関わり方を工夫するのです。
強みというのはテストの点数や成績だけではありません。どんな時に、どんなことに集中できるのかを見てみましょう。お子さんの興味が向くものを見つけるといいですね。
刺激の多い場所が苦手なら静かなクラス、対人負荷が高いなら少人数環境など、「合う場所」を選ぶようにしましょう。ほかの子と比較したり、ほかの子に合わせる必要はありません。学校や塾選びでは「理解があるか」「お子さんがそこを気に入るか」を基準に判断するといいですね。
また、状況によってお子さんと物理的・心理的な距離を調整することも大切です。
実家から通学する、一人暮らしをする、合宿に行く、家でなく自習室を使うなど、その時その時の状況に応じて親子の距離感を調整することもひとつの手です。
うまくいっていない時期は、先が分からなくて不安ですよね。そんなとき、親子があまりにも近くにいるとお互いにプレッシャーを感じてしまうこともあるのです。
放置するということではなく、距離を調節しながら見守るということも大切です。
親子ともども自分らしくのびのびと過ごせることを願っています。 (監修:医師・公認心理師 森しほ先生)
発達特性をもつお子さんでは、感覚過敏や社会的認知のズレといった特性から、「問題行動」と言われてしまう行動が見られることがあります。本人の努力不足のせいだと周囲から思われてしまい、しかられて自己肯定感が下がってしまうことも少なくありません。
一方、得意なことを把握して、環境調整をしっかり行ってあげると、うまく力が発揮できるようになります。
算数や理科など興味を持てる分野があれば、そこを評価して伸ばしてくれる場を探しましょう。自己効力感を得られて前向きな姿勢でがんばることができます。
保護者の方は、お子さんを心配する気持ちからどうしても過保護になりがちです。過保護ならまだしも、過干渉になってしまうとお子さんの自立の芽をつんで自主性を育てられなくなってしまいます。
お子さんの成長には、植物を育てるようなイメージを持つといいのではないでしょうか。「頑張って直す」よりも、「合う環境を考える」という視点を持つといいかもしれません。
お子さんの強みを意識して、環境調整を行い、関わり方を工夫するのです。
強みというのはテストの点数や成績だけではありません。どんな時に、どんなことに集中できるのかを見てみましょう。お子さんの興味が向くものを見つけるといいですね。
刺激の多い場所が苦手なら静かなクラス、対人負荷が高いなら少人数環境など、「合う場所」を選ぶようにしましょう。ほかの子と比較したり、ほかの子に合わせる必要はありません。学校や塾選びでは「理解があるか」「お子さんがそこを気に入るか」を基準に判断するといいですね。
また、状況によってお子さんと物理的・心理的な距離を調整することも大切です。
実家から通学する、一人暮らしをする、合宿に行く、家でなく自習室を使うなど、その時その時の状況に応じて親子の距離感を調整することもひとつの手です。
うまくいっていない時期は、先が分からなくて不安ですよね。そんなとき、親子があまりにも近くにいるとお互いにプレッシャーを感じてしまうこともあるのです。
放置するということではなく、距離を調節しながら見守るということも大切です。
親子ともども自分らしくのびのびと過ごせることを願っています。 (監修:医師・公認心理師 森しほ先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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