【実体験】宿題に苦しむ息子の「できない正体」を観察。スモールステップのつきっきり支援で育んだ自立の土台

ライター:メイ
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こんにちは。メイです。
息子のトールは現在中学2年生。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。
トールがまだ通常学級に通っていた小学校低学年の頃、彼にとって宿題はとても高いハードルになっていました。今回は、大変だった状況をどのように乗り越えていったのかをお話ししたいと思います。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

宿題に身動きが取れなかった低学年時代

小学校低学年の頃のトールは、宿題に対してとても複雑で強いストレスを抱えていました。宿題をすることもつらく、かといって「さぼりたい」わけではないため、やらないことも嫌だと思っていて、身動きが取れなくなっていたようでした。
私もどうしてあげたらいいのか分からず途方に暮れた時もあったのですが、ペアレントトレーニング(ペアトレ)の講習を受けたことをきっかけに良い方向に進んでいきました。

「できない」の正体は?観察から見えてきた息子の特性

まずはトールが宿題をやり終えるまでに何をしなければならないのか、一体どのような工程が必要なのかを細かく書き出すことから始めました。そして、どこで立ち止まり、どこならスムーズに進めるのかを、一歩引いた視点から冷静に観察してメモにまとめることにしたのです。
「できない」の正体は?観察から見えてきた息子の特性
「できない」の正体は?観察から見えてきた息子の特性
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観察をしてみることで、いくつかの発見がありました。例えば、計算カードと音読は一度始めれば最後までやり遂げられること。また、漢字の書き取りは5文字程度なら集中を切らさずにすんなり書けることなどが分かりました。

反対に、改善すべき具体的なポイントも浮き彫りになってきました。
そもそも宿題をランドセルから出すのに時間がかかり、そこでエネルギーを消耗してしまうこと。ノートを開いてから実際に書き始めるまでに時間がかかること、少し書き進めてはほかのことに気を取られたり、プリントがほかの書類に紛れて行方不明になったり……。一つ終わってから次の宿題へ移る際、気持ちを切り替えてスムーズに移行するのが難しいという課題も見えてきたのです。

本人の「やりやすさ」を最優先した工夫

どこでつまずいているのか、その原因が具体的に分かってからは、トールが少しでもスムーズに行えるようなサポートを模索しました。

これまでのトールは、苦手な漢字の書き取りを最初に着手していましたが、それはやめて、短時間でストレスが少なく終えられる計算カードや音読を先にスタートすることにしました。本人が一番リラックスできるのか、この2つは玄関で寝転がりながら進めることも多かったです。
本人の「やりやすさ」を最優先した工夫
本人の「やりやすさ」を最優先した工夫
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漢字の書き取りが5文字程度ならできることもあり、「ここまで書いたらチョコを食べられることにしよう」などとルールも決めました。私が一文字ずつ確認し、合格のサインとしてチョコを差し出す――そうすると、トールはその一粒を楽しみにして、また次の一文字へとペンを動かします。
それまでは、すべて終わったらおやつにしようという考えでしたが、トールの場合は「少しできたら少し食べられる」といったスモールステップの評価のほうが折れそうな意欲を繋ぎ止める大きな力になるようで、私自身も考え方を変えることにしました。

そのほかにも、トールが「宿題以外のこと」でつまずかないよう、細心の注意を払いました。プリントや消しゴムが行方不明にならないように整理したり、漢字ドリルのやり直しをスムーズにできるように準備したり。また、トールの表情や雰囲気から強いストレスを感じ取った際には、煮詰まる前に気分転換を提案したりなど、つきっきりでサポートするようにしました。
もちろん、つきっきりなので大変ではありますが、結局このスタイルがトールにも私にも負担が少なく、宿題を終えるまでの時間の短縮にもなるので良かったと思います。
「宿題以外のこと」でつまずかないよう、細心の注意を払いました
「宿題以外のこと」でつまずかないよう、細心の注意を払いました
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「いつまで続くの?」という不安の先に。つきっきりの日々が作った自立の土台

その後、特別支援学級に移ったことやトール自身の気持ちの安定に伴って、少しずつ宿題も自分でできるようになっていきました。
サポートをしている最中には「こんなに手取り足取りサポートしていて、自立につながるのかな」「この生活はいつまで続くんだろう」と考えたこともありました。でも、当時の私を突き動かしていたのは「とにかく今のトールの状態をどうにかしてあげたい」という思いで、その時の私にできる精一杯の応援を、ただひたすらに続けていたのだと思います。
「いつまで続くの?」という不安の先に。つきっきりの日々が作った自立の土台
「いつまで続くの?」という不安の先に。つきっきりの日々が作った自立の土台
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この時の経験を通して、何か壁にぶつかったと感じた時には、まずは「何ができていて、何ができていないのか」を具体的に把握することの重要性を学びました。この「冷静に観察する」という姿勢は、宿題に限らず、その後の生活にも生かされていると思っています。
執筆/メイ

専門家コメント 室伏佑香先生(小児科医)

トールさんの宿題への向き合い方や、メイさんが試行錯誤しながら支えてこられた過程を共有してくださり、ありがとうございました。メイさんが積み重ねてこられた工夫や関わり方に、「うちでも取り入れてみたい」と感じた親御さんも多かったのではないでしょうか。

お子さんを丁寧に観察し、「今何ができていて、何が難しいのか」を具体的に理解して、その子に合ったサポートを試行錯誤しながら考えていくことは、発達特性の有無に関わらず、すべてのお子さんの成長を支える上でとても大切な視点だと思います。
今回共有してくださった工夫の数々も、簡単に見つけ出せた方法ではなく、メイさんが日々トールさんの様子をよく観察し、「どうしたら少しでもやりやすくなるだろう」と悩み、考え、実践を重ねてこられたからこそ辿り着いたものなのだと思います。どのような方法が合うかはお子さんによって異なりますし、そのときどきの成長段階によっても変化していくものだと思います。だからこそ、「実際にやってみること」と、「その反応を見ながら調整していくこと」を積み重ねていくことがとても大切なのだと思います。

勉強やお手伝いに対して、おやつなどの“ご褒美”を取り入れることについては、多くの親御さんが悩まれる部分かもしれませんし、抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。このような方法は、習慣化を促すきっかけとして有効であることも分かってきていますので、「まずは習慣づくりためのサポート」として考えてみると、取り入れやすくなるかもしれませんね。最初はご褒美が必要だったとしても、繰り返すうちに「やること」が生活の流れとして自然に定着し、自分から取り組めるようになったり、やがては物ではなく、「できたね」「頑張ったね」といった言葉だけでも十分な励みになっていくこともありますよね。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35031037
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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